未成年者を養子にする場合の親権

相続税対策の1つとして自分の孫である未成年者を養子にしている場面に遭遇することがあります。

前提知識

未成年者を養子にする場合、養子となった未成年者の親権者は、それまでの実親から養親になります(民法第818条第2項)。

未成年者を養子とする場合で養親が婚姻している場合は、養親夫婦が共同で縁組をしなければなりません(民法第795条)。

親権は、父母の婚姻中は、原則として父母が共同して行う必要があります(民法第818条第3項)。

これらの前提知識をもとにすると、たとえば
祖父A、祖母B、ABの長男甲、甲の長女C(未成年)という親族関係で、ABとCが養子縁組をした場合

Aさんが自分の孫Cを養子にすると、それまで甲がCの親権者だったのが、祖父母ABがCの共同親権者になるということになります。

Aさんとしては、養子を迎えることで法定相続人が増えるので、相続税の基礎控除が増えることを期待して、という事情があるように思われます。

しかし、未成年者を養子にする場合、以下のような場面も想定しておく必要があります。

未成年者の養親が死亡した場合の親権者は?


このような状況下で、Cが成年に達する前に、「養親ABが死亡してしまった場合」、未成年者であるCの親権者がいなくなってしまうことになります。

養子縁組によって親権者はABになったけど、親権者がいなくなったのならば
もともと親権者だった実親に親権を戻せば良い、という考え方もありますが
実務上取り扱い・通説は
「養親双方が死亡しても、ただちに養子縁組の効果は解消しないから(民法第811条6項)、実親の親権は復活しない」とされています。

それでは親権者は誰になるのか?ということになりますが、

「未成年者に対して親権を行う者がないとき」として、「未成年後見」が開始することになります(民法第838条第1号)。

この場合、家庭裁判所に対し親権者変更の申立てをして実親を親権者としてもらうこともありますが、親権者変更を認めるかどうかは
家庭裁判所であり、諸事情を考慮した結果「子の利益のため必要がある」と判断されるかどうかによります(民法第819条第6項)。

「未成年後見」は、家庭裁判所に「未成年後見開始」の申し立てをし、「未成年後見人」を選任してもらうことからスタートします。
誰が「未成年後見人」に選任されるかは、家庭裁判所の判断によりますが、「未成年後見人」は当該未成年者のために監護養育、財産管理、契約等の法律行為などを行います。

冒頭に相続税対策として未成年者を養子に迎えることがあると書きましたが、場合によってはこのような状態になることも想定しておく必要があるということになります。

当該未成年者が成年に達すれば、未成年後見は終了することになります。

(参考)養子が未成年のときに、離縁をした場合は、養親が死亡した場合と異なり実親の親権が復活することになります。