コロナ禍における成年後見人の役割

 

【コロナ禍で後見人が医療で直面していること】

 新型コロナウィルスに関連して成年後見制度を利用している方のワクチン接種の問題を含めコロナ禍で成年後見人が医療で直面する課題は様々ですが、2019年5月に厚生労働省から発表されている「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」がありますので、成年後見人としては「意思決定が困難な人への支援」の1つとしてこれを参考にする必要があります。

 そもそも 医療行為については、成年後見人には同意権限がありませんから、成年後見制度を利用している人(被後見人)本人の意思を確認するのが原則です。その上で、本人の医療に係る意思決定が困難であるということであれば、成年後見人はその意思決定を支援するために行動しなければなりません。

 上記ガイドラインでは、意思決定が求められる時点で被後見人本人の意思が確認できない場合には、本人にとって最善の方針をとることを基本に、医師だけではなくケアマネジャー、介護事業者など本人に関係する人たちとの間(医療・ケアチーム)で話合いを行っていくことが必要とされています。

【プロセスガイドライン】

 しかし単に「本人にとっての最善の方針」と言っても何を基準に話し合えば良いのか、ということになってしまいそうですが、2018年3月に厚生労働省から発表された改訂「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(プロセスガイドライン)の考え方も踏まえるようにと上記ガイドラインでは案内されています。

 このプロセスガイドラインでは、

①家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
②家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
③家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、 本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
④このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。

とされています。

 成年後見人としては独善的に判断し行動することなく、日常の後見業務において本人を取り巻く関係者と定期的に意見交換をしつつ、本人に医療行為が必要になった場合でも即応できるような体制を構築しておく必要があります。特に被後見人本人は高齢者であったり常に介護が必要な環境にある方が多く「いつ何があるか分からない。」ということが日常となっています。

 また上記プロセスガイドラインの④にあるように記録を残しておくことも成年後見人の責任の所在を命確認する上でも非常に大切なことといえます。

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