予告登記とその抹消手続き

平成16年に不動産登記法が改正されていますが、改正前の不動産登記法では「予告登記」という制度がありました。
「予告登記」とは、登記原因の無効や取消しを理由として、裁判所に登記抹消や登記回復の訴訟が起こされた場合に、裁判所が「登記をめぐって裁判が行われている最中なので、裁判結果によって影響を受ける可能性があるよ」ということを登記簿(登記記録)を見た人に予告するために登記することをいいます。裁判所は、法務局に登記するようにと嘱託して法務局が予告登記として登記することになります。

たとえばA名義の土地についてBに売買を原因として所有権移転がなされた場合、Aが原告として、Bを被告として、ABの間の売買契約の無効を主張して所有権移転登記の抹消登記請求訴訟を提起した場合に、この予告登記がされていました。

この土地を買い受けようとする第三者は、登記簿(登記記録)を見れば現在B名義となっているのだからBから買い受ければ良いと思って売買契約を締結しようと思うかもしれませんが、AB間に売買契約をめぐるトラブルがあって訴訟の結果によっては、所有権を取得できなくなる恐れがあります。そこで一般の第三者に警告するために、現在この土地については訴訟が提起されていますと公示するように裁判所が法務局に嘱託して登記をするという制度でした。

この予告登記は、単に警告の効果を持つだけで登記としての対抗力(権利を第三者に法的に主張できる効力)はありませんが、この制度を悪用して競売の邪魔をしたりする事例やそもそもの存在意義の乏しさが指摘されてきたこともあり平成16年の不動産登記法の改正によって制度自体が廃止されました。

ところが、平成16年の不動産登記法改正前に登記されてきたこの「予告登記」が現在も残っている場合があります。

そのような場合、制度自体が廃止されていますので予告登記の抹消手続きが必要となるわけですが、不動産登記規則附則18条にその手順についての規定があり、「不動産登記法の施行に伴う登記事務の取扱いについて(通達)(平成17年2月25日法務省民二第457号)」にも説明があります。

■不動産登記規則附則18条
(予告登記の抹消)
第18条  登記官は、職権で、旧法第三条に規定する予告登記の抹消をすることができる。
2  登記官は、この省令の施行後、登記をする場合において、当該登記に係る不動産の登記記録又は登記用紙に前項の予告登記がされているときは、職権で、当該予告登記の抹消をしなければならない。

■平成17年2月25日法務省民二第457号
(予告登記の取扱い)
既存の予告登記の職権抹消
(2)規則附則第18条の規定により職権で予告登記を抹消するときは、権利部の相当区に「不動産登記規則附則第18条の規定により抹消」と記録するものとする。

ということで、対象となる不動産について、何か登記申請をする際に合わせて、残っている「予告登記」を法務局(登記官)の職権で抹消手続きをしてもらえるということになっています。

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