意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」が意思決定支援ワーキング・グループによって策定されたことが私も所属している成年後見センター・リーガルサポートのホームページで公表されました。裁判所のホームページでも公表されています。

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(裁判所)

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(成年後見センター・リーガルサポート)

意思決定支援ワーキング・グループは
・最高裁判所
・厚生労働省
・日本弁護士連合会
・成年後見センター・リーガルサポート
・日本社会福祉士会
によって構成されていました。

これまでの経緯としては
平成28年5月13日に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行

これにもとづいて内閣府に成年後見制度利用促進委員会が設置され具体的に議論

平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定

平成30年6月21日に成年後見制度利用促進専門家会議を設置

令和2年3月17日に成年後見制度利用促進専門家会議による成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書

といった流れがありました。

成年後見制度利用促進委員会や成年後見制度利用促進専門家会議には実務家・学者のほか、家族会の代表なども委員として議論に参加しています。
少なくとも利用者を無視した机上の議論にはなってはいないのではないかと思います。

「成年後見制度利用促進基本計画」というと「利用促進」という用語に目が行ってしまいがちですが実際の基本計画では、利用促進以外にも「利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善」が含まれています。

特に中間報告書等にある「意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされているものもある」という指摘は、いまだに「後見人は財産管理だけをしておけば良いんだ」などと考えている(と思われる)一部の専門職後見人に対する厳しい批判ともいえます。

また上記ガイドラインに関する意思決定支援ワーキング・グループに最高裁判所も加わっているということや裁判所のホームページでも公表されていることから、専門職後見人に対する監督機関としての家庭裁判所としても被後見人等に対する後見人の意思決定支援を重要視していくことになるのだと思います。

上記ガイドラインでは後見人が本人の意思決定支援をする際にその都度アセスメントシートを作成し記録していくことになっています。
後見人として意思決定支援をした結果はもとより、意思決定支援をした過程を明確にするようになっています。

被後見人本人と後見人との関係はとかく外部から見えにくいものになりがちですが、このようなアセスメントシートがあれば被後見人本人の意思決定支援の過程も検証できるようになると思います。

実際の後見実務は、利用者ごとに事情が異なっていて定型的な対応をしていれば良いというものではありませんし、後見人も日々試行錯誤を繰り返して利用者本人や周囲の人々に接していますが、人間関係も含め本当に難しい仕事です。

成年後見センター・リーガルサポートの会員向け研修でも講師が話をされていましたが、意思決定支援を踏まえた後見事務において大事なことは、いろんな人から意見を求めて意思決定支援をすること、1人で決めないことに尽きるようです。

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