Archive for the ‘不動産登記’ Category

完済したはずなのに抵当権の登記が残っている?

2019-06-19

いざマイホームを売却しようというときに、仲介を依頼している不動産屋さんから「抵当権が残っていますよ。完済しているのであれば早く抹消手続きをしてください。」と言われて慌てることがあります。

ご本人としては「何年も前に住宅ローンの返済は終わっているはずなのに抵当権残っているなんて・・」とそのまま司法書士事務所に相談にいらっしゃる方もいます。

住宅ローンの支払が全て終わると、ローン会社や銀行(抵当権者)から抵当権抹消登記手続に必要な書類が交付されます。

その書類をきちんと確認して抵当権抹消登記の手続をすれば良いのですが
「あぁやっと住宅ローンが終わった~」と安心して書類をそのままにしてしまう方もいます。

抵当権抹消登記手続に必要な書類としてローン会社や銀行(抵当権者)からは
■抵当権解除証書
■登記済証(登記識別情報)
■委任状
などが交付されますが、すぐに抵当権抹消登記手続をしないでいると上記のようにいざ不動産を売却しようとしても手続が止まってしまうことになりがちです。

特に
■抵当権解除証書
■委任状
については記載されている代表者(銀行だと頭取)がすでに交替してしまっていて代表者でなくなっているケースもよくあります。

この場合、
■抵当権解除証書
■委任状
を再発行してもらうとすると、すぐには対応してもらえないこともありますので事前に問い合わせるなどしてスケジュールを確認しておく必要があります。

また
■登記済証(登記識別情報)
はローン会社や銀行(抵当権者)が作成したものではなく法務局から発行されたものですので再発行はできません。

■登記済証(登記識別情報)をなくしてしまった、という場合は
通常の抵当権抹消登記申請手続とは別の手続で登記申請することになります。これが「事前通知による抵当権抹消登記手続」というものです。

「事前通知による抵当権抹消登記手続」

事前通知による抵当権抹消登記手続きの流れは以下のとおりです。

①ご本人がローン会社や銀行(抵当権者)に連絡をして「登記済証(登記識別情報)をなくしてしまった」旨を伝えます。そうすると、ローン会社や銀行(抵当権者)は、「事前通知による抵当権抹消登記手続」のために必要な書類を準備してご本人に交付してくれることになります。この交付してくれる書類のうち、通常の抵当権抹消登記申請手続とは異なる書類としては、ローン会社や銀行(抵当権者)の印鑑証明書があります。

②そのあとは法務局に抵当権抹消登記手続を申請します。

③登記申請を受け付けた法務局は、ローン会社や銀行(抵当権者)に対し、本人限定郵便で、「このような登記が申請されていますが、申請の内容が真実である場合は、通知を発送した日から2週間以内に委任状に押印した印を押印して、窓口に持参するか郵送してください」という内容の通知を発送します。

④③の通知を受け取ったローン会社や銀行(抵当権者)が、回答書を期限内に法務局に返送すれば確認されると、抵当権抹消登記が完了します。
もし回答期限内にローン会社や銀行(抵当権者)が回答書を返送しないと、抵当権抹消登記申請は却下されてしまいます。

(参考) 銀行やローン会社から書類の再発行をしてもらわずに昔交付された
■抵当権解除証書
■登記済証(登記識別情報)
■委任状
をそのまま利用して抵当権抹消登記手続きをする方法もあります。
不動産登記法第17条の規定(代理権不消滅)を利用した方法です。
ただこの規定は、当時の代表者(すでに退任しているはずです。)が今回登記申請をする人(本人又は司法書士)に在任当時、委任をした事実がないと利用することはできません。

このように住宅ローンを完済したのに、抵当権抹消登記手続をしないでいると手間のかかることになってしまいますので早めに手続きをすませた方がよいということになります。

小川直孝司法書士事務所では、「完済したはずなのに抵当権の登記が残っている場合」の手続についてもご相談を受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

相続登記の名義人を誰にするか

2019-04-07

相続登記を申請する場合、法定相続人全員の名前を登記しなければならないのか?
というと、そういう訳ではありません。

たとえば、Aさんが死亡し、その法定相続人がB・C・Dの3名だった場合、
相続登記の申請にあたっては、B・C・Dの3名で話し合い(遺産分割協議)をして
誰が登記名義人になるのかを決めてその人が登記申請をすれば足ります。

もちろん、B・C・Dの3名が共同で登記名義人になることも可能です。

またB・C・Dの3名の持分についても民法では法定相続分が決められていますが
この法定相続分の定めと異なる割合で話し合いがつけば、その話し合いで決まった割合で登記することになります。

民法で定められた法定相続分で登記する分には、戸籍謄本や除籍謄本以外に特別な証明書類は必要ありませんが
民法で定められた法定相続分と異なる割合で登記申請をする場合は、その内容を証明する書類が必要となります。

具体的には
・遺産分割協議書
・特別受益証明書
などです。通常これら証明書は実印を押し、印鑑証明書も添付します。

ちなみに民法で定められた法定相続分の割合は以下のとおりです。

登記識別情報通知

2019-03-21

登記識別情報は昔の「権利証」と同じく大切に保管が必要です。
平成18年以降、売買や相続登記で登記名義人となった人には、「登記識別情報」という12桁の英数字の組み合わせで構成されたパスワードが発行されることになっています。
登記識別情報通知の見本は法務省のサイトから確認できます。

登記識別「情報」という名前がついていることからも分かりますが、以前までのような「権利証」のように、いつでも目で確認でき唯一のものとして保管しておけるものではなくなりました。

「権利証」であれば、貸金庫などで「現物」を大切に保管しておけばコピーを取られても安心だったかもしれませんが、登記識別情報の場合、12桁の英数字のパスワードを貸金庫で大切に保管しておいたとしても、そのパスワード自体を見知らぬ第三者にメモされたりしていたら、権利証が盗まれたと同じことになってしまいます。

一度パスワードが漏洩されてしまうと、悪用されてしまう可能性が高くなってしまいます。
このような意味でも登記識別情報の管理は徹底して行なう必要があります。

万が一、他人に登記識別情報を知られてしまったかもしれないという場合は、登記識別情報(パスワード)を失効させる手続きもあります。

ただし、一度登記識別情報(パスワード)を失効させてしまうとパスワードの再発行はできないことになっています。

また、「そんなに管理が大変なんだったら最初からパスワードは要らないよ」という方に対しては、登記識別情報の通知は不要ですと登記申請の際に申し出ることもできます。

相続登記と認知症

2019-03-21

相続登記と認知症

相続登記と認知症との間に何の関係があるのかと思われる方もいるかもしれません。
しかし、この2つの言葉は大変密接な関係があり司法書士は後見業務に携わっているいないにかかわらず日々の業務の中で「認知症」について常に意識をしています。

ちなみに「認知症」とは、「認知障害の一種であり、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下した状態」
(「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」より引用)をいうとされています。

■相続登記の申請人が認知症の場合

「認知症」の状態にもよりますが、少なくとも司法書士が「相続登記の申請人が認知症」ということを伝えられたり、直接認識したりまたはその疑いを持ったりしたら、そのまま登記申請をすることはありません。それは、認知症によって判断能力がない、または低下した状態で司法書士に「登記申請行為」の委任はできないはずだからです。
正式に相続登記申請の委任を受けていない以上、司法書士がその人からの相続登記申請の代理をすることはできないのは当然のことです。

ちなみにここでいう「判断能力」のことを法律の世界では「意思能力」という言葉で説明しています。
「意思能力」とは、意思表示などの法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力(精神状態)のことをいいます。

民法ではこれを類型化し
被後見人のことを「精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者」として規定しています(民法第7条)。
被保佐人のことを「精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者」として規定しています(民法第11条)。
被補助人のことを「精神上の障害により判断能力が不十分な者」として規定しています(民法第15条第1項本文)。

被後見人であれば自己の行為の結果を判断することが常にできないということになりますから、登記申請行為について司法書士に委任することは不可能ということになります。
つまり、認知症になって判断能力がない人は自身で登記申請人となることはできないし、司法書士に委任することもできないということになる訳です。

このように判断能力がなかったり低下した人は、自身では登記申請人になることができないので、本人を保護する後見人・保佐人・補助人が法定代理人として登記申請行為をすることになるわけです。

実際問題として、目の前にいる人の挙動が怪しいと感じて「意思能力がないのではないか」と認識した場合司法書士がどのように対処するかは悩ましい場面です。

というのも明らかに「この人は意思能力がない。」と判断できる状態であれば迷うことはないのですが微妙なケースというのがままあるからです。まさに当の司法書士の資質が問われることになります。

■遺産分割協議の参加者が認知症の場合

被相続人の法定相続人が2名以上いて、その話し合いで遺産の帰属者を決めた場合、相続登記をするために遺産分割協議書を作成し、署名捺印の上その証拠とする場合が多くあります。

遺産分割協議も法律行為ですから、その前提として意思能力が必要です。
法定相続人のうちの誰かが認知症になっていると、遺産分割協議に参加することができない、または参加する判断能力がないのではないかということになるはずです。

このような場合すなわち、法定相続人のうちの一人が認知症になっている、またはその疑いがあるという場合は、成年後見制度を利用してその人の判断能力に応じて後見人・保佐人・補助人を就けてもらい、その人に遺産分割協議に参加してもらう等という手続きを踏む必要があります。

さらに注意が必要なのは、後見人・保佐人・補助人が付いている場合、遺産分割協議では認知症になった本人の権利保護のため必ず法定相続分以上の権利を取得させる内容であることが求められるという点です。
これは、成年後見制度を監督する機関である家庭裁判所からこれに反する内容の遺産分割協議、たとえば当の認知症になっている被後見人が法定相続分より少ない遺産しか取得できていないといった内容だと後見人等に再考を求められるということになります。

相続登記に関与する司法書士として当の相続人にどの程度関与しているかにもよりますが、認知症の方が当事者にいる場合は、これらの点も十分吟味して登記手続きを進める必要があり、意思確認ができない等の場合は、依頼をお断りすることもあります。

ご自分のケースではどうなのかも含め、ご相談を受け付けております。
お問い合わせ・ご予約は当サイト専用フォームからお願いします。

遺産分割協議書の作成

2019-03-17

相続によって遺産の名義変更をする場合、民法で定められた法定相続の割合と異なる割合で分配をする場合、遺産分割協議で「誰が何を相続するか」を決めることが多くあります。

 

遺産分割協議が整ったら、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、被相続人の特定に必要な事項を記載し、被相続人の遺産について誰が何を取得するのかを記載します。そして遺産分割協議に参加した法定相続人が署名・捺印(実印)をします。

 

遺産について

遺産が不動産(土地・建物)や預貯金、有価証券(株式・投資信託等)複数にわたるときは、遺産目録を作成し、まとめておくと分かりやすいです。

 

被相続人について

被相続人の特定に必要な事項としては、氏名だけでも特定できる場合もあるかもしれませんが、同姓同名の場合(特に銀行の場合)や登録されている住所が最後の住所と異なる場合などのために、氏名のほかに最後の本籍・最後の住所・生年月日・死亡年月日等も記載しておくことをお勧めします。

 

遺産分割協議書で、被相続人の特定のための記載例

「被相続人A (1970年2月28日生・2019年3月15日死亡)

最後の本籍 千葉県柏市中央町5番

最後の住所 千葉県柏市中央町5番21号」

 

相続人について

遺産分割協議に参加するのは、被相続人の法定相続人全員となります。

遺産分割協議に参加する法定相続人が欠けていると、せっかく作成した遺産分割協議書も意味をなさなくなってしまうことがありますので法定相続人の確定には十分注意が必要です。「しまうことがあります」と表現したのは登記実務上、同一内容の遺産分割協議書であれば、法定相続人全員が一枚の遺産分割協議書に署名・捺印をしていなくても全部の遺産分割協議書をあわせて1つの遺産分割協議書として取り扱うことも可能とされているからです。ただしこの取り扱いは登記実務での話なので、銀行や証券会社では対応してくれないかもしれません。

 

遺産分割協議書で、相続人Bが土地を相続する場合の記載例

「別紙遺産目録1.記載の土地については、Aが相続する。」

 

遺産分割協議書で、相続人Cが預金を相続する場合の記載例

「別紙遺産目録2.記載の預金については、Cが相続する。」

 

遺産分割協議に参加した法定相続人の署名・捺印

遺産分割協議書の内容に納得した証(あかし)として、遺産分割協議に参加した法定相続人は、署名・捺印をします。署名・捺印ではなく、記名・押印(署名欄があらかじめ印刷されている状態の書面に押印する方法)でも登記実務上は構いませんが、後日の証拠とするためには記名・押印ではなく署名・押印をしておくことをお勧めしています。また銀行や証券会社の対応としても記名・押印ではなく、署名・捺印を要求するケースがあります。

 

居住用不動産の夫婦間贈与の特例

2018-11-10

【居住用不動産の夫婦間の贈与とは】

居住用不動産の贈与をした場合は、贈与を受けた人に贈与税が課税されます。

しかし、婚姻期間が20年以上であれば贈与税が非課税となる特例があります。

贈与税の基礎控除は年間110万円ですが、これに加えて最高2,000万円まで控除されることになります。
ただしこの特例を受けるためには、税務署への申告(贈与税の申告)が必要です。

居住用不動産の夫婦間贈与の特例を受けるためには以下の要件が必要とされています。
(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2)配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

贈与税の申告には以下の書類が必要とされています。
(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3)居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
※金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)

小川司法書士事務所では、居住用不動産の夫婦間贈与についてご相談を受け付けております。

電話04-7160-4488

 

 

 

遠方の登記簿謄本

2018-09-27

遠方にある不動産、たとえば実家が遠い場所にあって、そこの登記簿謄本を取得したいという場合、以前はその所在地を管轄する法務局に直接行くとか、郵送で請求するとかしないと登記簿謄本を入手することができませんでした。

しかし、現在では全国の法務局がオンラインでつながっていますので、たとえば「沖縄県那覇市・・町・・番の土地」を指定すれば、千葉県柏市にある千葉地方法務局柏支局の窓口で登記簿謄本(登記事項証明書)を入手することができます。

また、わざわざ法務局に出向かなくても、法務省のオンライン申請システムを利用してご自宅に登記簿謄本(登記事項証明書)を郵送してもらうことも可能です。

ただし、オンライン申請システムに適合しない物件や閉鎖事項に関する謄本、情報が大量なもの等については、請求することができないので、窓口で交付申請をするか郵送で交付申請をすることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

法務局で遺言書を保管してくれる法律が成立

2018-07-16

平成30年7月6日に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立し(平成30年法律第73号)7月13日に公布されました。

高齢化による相続トラブルを防止するためにできた制度ということで、自筆証書遺言を作成した本人が法務局に自筆証書遺言書を保管する申請をすることになります。

法務局では「遺言書保管官」という役職の人が保管をするそうです。

実際に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」は、公布されただけで、公布の日から2年以内に施行されることとされています。

いますぐ法務局に遺言書の保管を申請しても受付られませんので注意が必要です。

相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置

2018-04-02

個人が相続によって土地の所有権を取得したのに、相続の所有権移転登記をしないまま死亡した場合、その死亡した人の名義にする登記については登録免許税がかからないことになりました(租税特別措置法第84条の2の3第1項)。

適用期間は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間とのことです。

このような規定ができたのは、相続登記が未了のまま放置されることが多くなっていることへの対応策のようです。

具体的に現在生きている人の誰が財産を取得するかは話し合いが付いていないけど、その前の代の名義(自分たちの亡父母など)にすることまでは話が付いているような場合には、利用できる制度なのかもしれません。

高齢者職権消除の取り扱い

2018-02-04

成年後見業務や相続登記業務で戸籍謄本や除籍謄本を目にする機会が多いのですが、戸籍上では生存していることになっているけれども、生年月日から推測すると明らかに生存しているわけないでしょうという年齢に達しているのに死亡の記載がなく、住民登録も消除されていて戸籍の附票にも記載がないケースがあります。

戸籍上の生年月日から推定すると、どうみても生存しているとは思われないような場合には、役所が職権で死亡した旨を戸籍に記録する運用があります(平成2年3月1日法務省民事局二課通達)。

この場合、戸籍に死亡の記載がされても戸籍行政上の便宜的な取り扱いなので法律的に死亡したということにはなっていません。

なので戸籍に高齢者職権消除の記載がされただけでは、相続が開始したとはいえず相続登記も進められないことになります。

この理由としては、被相続人の戸籍に死亡の記載がなされても単に戸籍行政上の便宜によるもので失踪宣告のような法的効果を生ずるものでないからと考えられています。

つまり、戸籍上で高齢者職権消除の処理がされただけでは、相続登記はできないということは気をつけておかなければなりません。

では法的にその人が死亡したと認めてもらうためにはどうしたら良いかということになりますが、
考えられる方法としては3つで、
1.失踪宣告の制度を利用するか、
2.死亡届を提出できるかを検討するか、
3.戸籍法第89条の規定による死亡の報告によるか
になります。

戸籍を見ていて「高齢者につき死亡と認定平成30年2月4日許可同月日除籍」という記載があったら要注意です。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

0471604488電話番号リンク 問い合わせバナー