完済したはずなのに抵当権の登記が残っている?

いざマイホームを売却しようというときに、仲介を依頼している不動産屋さんから「抵当権が残っていますよ。完済しているのであれば早く抹消手続きをしてください。」と言われて慌てることがあります。

ご本人としては「何年も前に住宅ローンの返済は終わっているはずなのに抵当権残っているなんて・・」とそのまま司法書士事務所に相談にいらっしゃる方もいます。

住宅ローンの支払が全て終わると、ローン会社や銀行(抵当権者)から抵当権抹消登記手続に必要な書類が交付されます。

その書類をきちんと確認して抵当権抹消登記の手続をすれば良いのですが
「あぁやっと住宅ローンが終わった~」と安心して書類をそのままにしてしまう方もいます。

抵当権抹消登記手続に必要な書類としてローン会社や銀行(抵当権者)からは
■抵当権解除証書
■登記済証(登記識別情報)
■委任状
などが交付されますが、すぐに抵当権抹消登記手続をしないでいると上記のようにいざ不動産を売却しようとしても手続が止まってしまうことになりがちです。

特に
■抵当権解除証書
■委任状
については記載されている代表者(銀行だと頭取)がすでに交替してしまっていて代表者でなくなっているケースもよくあります。

この場合、
■抵当権解除証書
■委任状
を再発行してもらうとすると、すぐには対応してもらえないこともありますので事前に問い合わせるなどしてスケジュールを確認しておく必要があります。

また
■登記済証(登記識別情報)
はローン会社や銀行(抵当権者)が作成したものではなく法務局から発行されたものですので再発行はできません。

■登記済証(登記識別情報)をなくしてしまった、という場合は
通常の抵当権抹消登記申請手続とは別の手続で登記申請することになります。これが「事前通知による抵当権抹消登記手続」というものです。

「事前通知による抵当権抹消登記手続」

事前通知による抵当権抹消登記手続きの流れは以下のとおりです。

①ご本人がローン会社や銀行(抵当権者)に連絡をして「登記済証(登記識別情報)をなくしてしまった」旨を伝えます。そうすると、ローン会社や銀行(抵当権者)は、「事前通知による抵当権抹消登記手続」のために必要な書類を準備してご本人に交付してくれることになります。この交付してくれる書類のうち、通常の抵当権抹消登記申請手続とは異なる書類としては、ローン会社や銀行(抵当権者)の印鑑証明書があります。

②そのあとは法務局に抵当権抹消登記手続を申請します。

③登記申請を受け付けた法務局は、ローン会社や銀行(抵当権者)に対し、本人限定郵便で、「このような登記が申請されていますが、申請の内容が真実である場合は、通知を発送した日から2週間以内に委任状に押印した印を押印して、窓口に持参するか郵送してください」という内容の通知を発送します。

④③の通知を受け取ったローン会社や銀行(抵当権者)が、回答書を期限内に法務局に返送すれば確認されると、抵当権抹消登記が完了します。
もし回答期限内にローン会社や銀行(抵当権者)が回答書を返送しないと、抵当権抹消登記申請は却下されてしまいます。

(参考) 銀行やローン会社から書類の再発行をしてもらわずに昔交付された
■抵当権解除証書
■登記済証(登記識別情報)
■委任状
をそのまま利用して抵当権抹消登記手続きをする方法もあります。
不動産登記法第17条の規定(代理権不消滅)を利用した方法です。
ただこの規定は、当時の代表者(すでに退任しているはずです。)が今回登記申請をする人(本人又は司法書士)に在任当時、委任をした事実がないと利用することはできません。

このように住宅ローンを完済したのに、抵当権抹消登記手続をしないでいると手間のかかることになってしまいますので早めに手続きをすませた方がよいということになります。

小川直孝司法書士事務所では、「完済したはずなのに抵当権の登記が残っている場合」の手続についてもご相談を受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

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