受託者の帳簿作成、報告、保存の義務

家族信託がスタートすると受託者は、
「信託事務に関する帳簿」
「財産目録」
「収支計算書」
を作成して、保存しておく義務があります。

【信託事務に関する帳簿】

 信託事務を進める中で、信託財産は増えたり減ったりします。その都度必ず帳簿に記録をしていきます。
 帳簿の形式に決まりはありません。
 信託専用口座の通帳にその都度入出金の摘要をメモしていく人もいるようですし、現金出納帳で記録していっても信託事務に関する帳簿になります。

【財産目録、収支計算書】

 信託事務に関する帳簿をもとに、毎年12月末現在の財産目録、収支計算書といった信託財産の状況を開示できる書類を作成し、その内容を受益者に報告します。
 これは、信託契約にもとづいて受託者が適切に信託財産を管理していることを受益者に開示することで受益者と受託者との信頼関係を維持することにもなる大切な作業です。

【帳簿の保存期間】

 「信託事務に関する帳簿」は、作成した日から10年間、「財産目録」、「収支計算書」は、信託が終了するまで大切に保管する必要があります。

 

【まとめ】

 家族信託では多くの場合、親御さんの大切な財産をお子さんが当初定めた「信託の目的」にしたがって管理処分していくことになります。

 その管理・処分が適切に遂行されているかを帳簿の上からも明確に分かるようにしておく必要があります。

 「委託者である親から信用されて財産を預かっているんだから計算書類なんて・・・」という方は、そもそも家族信託の受託者としての適格性に欠けていることになります。

 

参考 信託法第37条(帳簿等の作成等、報告及び保存の義務)
第1項 受託者は、信託事務に関する計算並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託財産に係る帳簿その他の書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
第2項 受託者は、毎年一回、一定の時期に、法務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他の法務省令で定める書類又は電磁的記録を作成しなければならない。
第3項 受託者は、前項の書類又は電磁的記録を作成したときは、その内容について受益者(信託管理人が現に存する場合にあっては、信託管理人)に報告しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
第4項 受託者は、第1項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、その作成の日から十年間(当該期間内に信託の清算の結了があったときは、その日までの間。次項において同じ。)、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはそのすべての受益者、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人。第六項ただし書において同じ。)に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。
第5項 受託者は、信託財産に属する財産の処分に係る契約書その他の信託事務の処理に関する書類又は電磁的記録を作成し、又は取得した場合には、その作成又は取得の日から十年間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
第6項 受託者は、第2項の書類又は電磁的記録を作成した場合には、信託の清算の結了の日までの間、当該書類(当該書類に代えて電磁的記録を法務省令で定める方法により作成した場合にあっては、当該電磁的記録)又は電磁的記録(当該電磁的記録に代えて書面を作成した場合にあっては、当該書面)を保存しなければならない。ただし、その作成の日から十年間を経過した後において、受益者に対し、当該書類若しくはその写しを交付し、又は当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供したときは、この限りでない。

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