家族信託は自分たちだけでもできますか?

家族信託は自分たち家族だけで準備して契約書も作りたい、という方もいらっしゃいます。

  • 「専門家に頼むと費用がかかるから」
  • 「自分たちでもできそう」といった理由で「自分たちだけで家族信託を」ということになるようです。

実際に「自分たちだけで家族信託」という選択肢は現実的なのかという点について3つの視点をご紹介します。
1.どのような家族信託の内容にするのか
2.家族信託の契約書作成
3.家族信託専用口座の開設
以下具体的に見ていくことにします。

【どのような内容の家族信託にするのか】

 家族信託は、財産管理等を託したいという「委託者」とその管理等を引き受ける「受託者」との間で「信託契約」を結ぶことになりますから、その二者が合意すれば契約は成立するということになります。

 ただ一口に家族信託といってもどのような仕組み(体制)を作り上げれば良いのか、市販の書籍を読んでなんとなく「家族で家族の財産を守っていく」というイメージはできていても実際に形にするとなると躊躇してしまう方もいるようです。
 また、ご家族の希望する仕組みを実現するために家族信託の契約書を作るとなると内容が複雑になることが多くなります。
 市販の家族信託に関する書籍を参考に契約書を作るというのも1つの考え方ですが、内容をよく理解しておかないと後々「そんなつもりじゃなかった」という事態にもなりかねません。

 専門家を標榜するものの、実際は家族信託についてあまり詳しくないというケースもあるようで、余談ですが信託に関する実務研修会に参加すると「いい加減な信託の契約書が多い」と講師から苦言も耳にします。

【家族信託の契約書を作成すること】

 家族信託の契約書については、公正証書の形にしておかなければならないという法律の決まりごとはありません。
ということで家族信託の契約書を私製のもの(市販の書籍を参考に)でと考える方もいるようですが、家族信託専用口座を銀行で開設してもらう際に「信託契約書は公正証書で作成されたものであることが必須」というところが多くあります。
 これは契約書の内容や契約当事者の本人確認・意思確認について公証人のチェックを経たものを銀行は必要としているということになります。

 このようなことからすると法律で決まっているわけではありませんが、家族信託の組成を自分だけで進めたいという方も、契約書については公正証書で作成することを念頭に考えておいた方が良いということになります。

【信託専用口座の開設】

 家族信託では、委託者から信託された財産について不動産であれば信託による所有権移転登記、金銭であれば信託専用口座で管理していくことになりますが、この信託専用口座を銀行で開設することが難しい場合があります。
銀行によって取り扱いは様々で、そもそも家族信託用の口座などというものは取り扱わないという銀行もあります。
 また家族信託専用口座を取り扱うとしているものの個人からの申し込みには対応しない、弁護士や司法書士などの専門職を通じた申込みのみに対応するという銀行もあります。
 さらには家族信託専用口座のような体裁をとった「屋号付口座」で取り扱いをする銀行もあるようです。

 そもそも信託専用口座とはどのような性質のもの指すのかについても現状では明確に定義されている訳ではありません。
 しかし家族信託においては少なくとも法律上も税務上も信託契約に基づいて分別管理がされていることがはっきり判るような口座で信託財産を管理しておくことは受託者の義務です。その義務を果たすためにどのような方法で信託専用口座を開設すれば良いのか、銀行の担当者とどのようなやりとりをすれば良いのか等、専門家に依頼しないと判断に迷うかもしれません。

【まとめ】

 家族信託は主に認知症対策として「大切な家族の財産を家族で守っていく」ために活用していきたい制度です。
 ただ、いざ手続きを進めるとなると専門家のサポート(特に法律・税務)は欠かせないものとなっています。
 また銀行や証券会社の多くも専門家のサポートを前提として家族信託の口座開設等に対応してくれています。
 このようなことからすると、家族信託を検討するにあたっては家族信託の実務に精通した専門家のサポートを利用するのがベストということになると思います。

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