代償分割を利用した遺産分割協議

故人の名義のマンションについて相続人A・B間の遺産分割協議の中で、相続人Aがそのマンションの名義を取得することになったけれど、そうするとAの相続分が、Bの相続分に比べてバランスが取れない(多すぎる)というケースがあります。

その分、Bには故人の預貯金を相続してもらえば良いのでしょうが、見合うだけの預貯金が遺されていない場合もあります。

ではこの場合、マンションの登記名義をA・B2名の共有にすれば良いという考え方もありますが、相続登記の名義を共有にしてしまうと、後々いざマンションを処分(売却)しようという段階になった場合、売主としてA・B双方がともに行動しなければならず、媒介契約、売買契約、残金決済等なにかと手間と時間がかかる場面で日程調整も含め苦労することが多くあります。

また相続登記を共有名義にしておくと、売る売らないの判断も独断で進めることができません。さらには、A・Bのうちどちらかが亡くなってしまい、さらに相続登記がされることになり、親戚とはいえ普段から交流のない者同士がマンションの共有名義となってしまうと、処分するのにもさらに苦労するかもしれません。

このような事態にならないようにマンションの名義はAさんのみとし、Bさんの相続分として、Aさん固有の財産(不動産でも金銭等でも可)をBさんに移転することを合意するという遺産分割協議の方法もあります。これを代償分割と呼んでいます。

相続税法基本通達19の2-8では、代償分割のことを「共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割」と定義しています。

また家庭裁判所で行われている遺産分割調停でも、家事事件手続法第195条で債務を負担させる方法による遺産の分割として、「家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。」と規定しており、代償分割の運用がなされています。

実際に、Aがもともと所有していた不動産をBに移転する内容の遺産分割協議が成立した場合には、「遺産分割による贈与」や「遺産分割による売買」などという登記原因でAからBに所有権移転登記をすることができます。

 

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