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家族信託と相続税
家族信託を利用すると、その設定の仕方次第で「相続対策」には有効な場合がありますが、
家族信託の利用が「相続税対策」に有効かというと、結論から言うと利用してもしなくても変わらないということになります。
家族信託を利用しても相続税の評価については、土地については路線価を、建物については固定資産税評価額を基準に評価するのは変わりません。小規模宅地の特例制度についても、家族信託を利用した場合も適用されます。
家族信託は相続税対策に有効だと誤解をされる方もいるようですが、「相続対策」と「相続税対策」とは違うということは理解しておく必要があります。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家族信託についての連載記事
11月18日の朝日新聞Beに家族信託についての連載記事「家族信託を知る」が出ていました。毎週土曜日に5回にわたって載るみたいです。
一般の人にわかりやすいようにイラスト付きで書かれていましたが、一回読んだだけでは何のことか分からないのではないかなぁと思いました。
NHKのあさイチでも紹介されるようですし、少しずつ認知されていけば良いなぁと思います。
家族信託が知られるようになれば、相続をめぐる実務も必ず大きく変化していくと思います。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
信託財産としての株式を事業承継対策に利用する
信託というと、金銭や不動産を対象として思い浮かべることが多いですが、株式も信託財産として設定することができます。
家族経営の中小企業や、起業をして1人株主で設立した会社経営者にとって、自社株式を信託することで、円滑な事業承継を進めることが可能になります。
ここでいう円滑な事業承継とは、現在の経営体制を維持していくということを想定していますので、家族内で話し合って「今後、会社経営をしていくのは、○○にしよう」というという合意ができていることが前提となります。
家族経営のような中小企業の場合、会社法以前の商法にもとづいて株式会社を設立していると、発起人(創業者メンバーとしての出資者=株主)が7名以上存在していることも多いですが、その株主たちが高齢になり、会社の意思決定をおこなう株主として議決権を行使することが難しくなるとか、亡くなって相続が発生すると株主としての地位が複数の相続人に分散してしまうことがあります。
相続によって株主としての地位が複数の相続人に移ったとしても、家族内なのだから問題ないじゃないかという考え方もありますが、相続によって配偶者やその子どもたちに株主としての地位が承継されたとしても、当の本人らは会社経営に興味がないことも多く、経済的価値(=配当金や株式の価値)のみに関心があるか、そもそもそういったことに一切関心がないこともあります。
ただ会社を経営している執行部(役員)としては、そのような人物が、もし会社の意思決定に必要な議決権の過半数を占めるような事態になったら、いつ会社の経営方針が180度転換してしまうかも分からず、安定した経営基盤を維持することはできなくなってしまいます。
具体的には、会社の重要な財産を処分するとか、金融機関等から資金調達をするとか、新役員を迎え入れるとかに際して、株主総会で承認決議を得ようとしても、スムーズにことが進まない恐れもでてくる訳です。
株主が死亡した場合に備えて、会社の定款で、株主が死亡した場合、会社は株主の相続人に対して株式売渡請求ができる旨を定めてあれば、会社経営に関与していなかった人物が株主になることを防止することができます(会社法第174条)。
ただし会社はその株主に相続があったことを知った日から1年以内に請求をしなければなりません(会社法第176条1項)し、株式の売買価格について協議が必要だとか、協議が整わない場合は、20日以内に裁判所に価格決定の申立をしなければならないとか、協議を経ずに裁判所に価格決定の申立をするケースもありますので迅速な対応が必要となってきます(会社法第177条)。
もし創業者メンバーが7名いたとして各々について相続が発生したとしたら、その都度このような対応をしていく必要があり、とても煩雑だけではなく対応に苦慮する可能性もあります。
ここで選択肢の1つとして登場するのが株式の信託です。
たとえば現時点で存在している株主どうしで話し合いをして合意形成をし、現在の株主7名を各々委託者兼受益者、現在のオーナー社長の後継者を受託者とする信託契約をする方法があります。
株式の信託によって受託者は、会社の全議決権を行使できるようになりますから、会社の意思決定に不安要素はなくなります。
もし信託契約締結時に存在していた株主が死亡した場合は、信託契約に定めた受益者変更手続きによって、その株主の相続人が新たな受益者になるとか、その受益権を会社が買い取るとか信託契約の定め方にもよりますが、少なくとも会社の経営基盤が危うくなるような事態にはならないようにすることができます。
現在のオーナー社長が亡くなった場合は、その時点での委託者の状況にもよりますが、信託は終了すると定めておくか、受託者が交替するように定めて信託を継続していくことも可能です。

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受託者と受益者の関係
信託法8条は、(受託者の利益享受の禁止)として「受託者は、受益者として信託の利益を享受する場合を除き、何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない。」と規定しています。
ここで「受益者として信託の利益を享受する場合を除き」とありますから、受託者は受益者を兼ねることができることを前提としています。
また「何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない」とありますから、受託者本人以外の名義を借りて受託者が実質的に信託の利益を受けることを禁止しています。
たとえば、受託者本人が受益権を得られるように自分の親族名義で受益権(信託の報酬は除く)を取得するような内容の信託を設定することはできません。
信託の設定を検討する場合は、委託者の意思を尊重することは当然ですが、受託者の意思も確認した上で手続きを進めていく必要があります。

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農地の時効取得
農地を時効取得する場合、農地法の許可は不要です。
以下、最高裁判所第一小法廷昭和50年9月25日判決の判示です。
時効による農地所有権の取得については、農地法3条の適用はない。
「農地法3条による都道府県知事等の許可の対象となるのは、農地等につき新たに所有権を移転し、又は使用収益を目的とする権利を設定若しくは移転する行為に限られ、時効による所有権の取得は、いわゆる原始取得であつて、新たに所有権を移転する行為ではないから、右許可を受けなければならない行為にあたらないものと解すべきである。時効により所有権を取得した者がいわゆる不在地主である等の理由により、後にその農地が国によつて買収されることがあるとしても、そのために時効取得が許されないと解すべきいわれはない。」
つまり農地法の許可が必要な所有権移転というのは、新たに所有権を移転する行為を指すので、時効取得のような原始取得はこれにあたらないということです。

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代償分割を利用した遺産分割協議
故人の名義のマンションについて相続人A・B間の遺産分割協議の中で、相続人Aがそのマンションの名義を取得することになったけれど、そうするとAの相続分が、Bの相続分に比べてバランスが取れない(多すぎる)というケースがあります。
その分、Bには故人の預貯金を相続してもらえば良いのでしょうが、見合うだけの預貯金が遺されていない場合もあります。
ではこの場合、マンションの登記名義をA・B2名の共有にすれば良いという考え方もありますが、相続登記の名義を共有にしてしまうと、後々いざマンションを処分(売却)しようという段階になった場合、売主としてA・B双方がともに行動しなければならず、媒介契約、売買契約、残金決済等なにかと手間と時間がかかる場面で日程調整も含め苦労することが多くあります。
また相続登記を共有名義にしておくと、売る売らないの判断も独断で進めることができません。さらには、A・Bのうちどちらかが亡くなってしまい、さらに相続登記がされることになり、親戚とはいえ普段から交流のない者同士がマンションの共有名義となってしまうと、処分するのにもさらに苦労するかもしれません。
このような事態にならないようにマンションの名義はAさんのみとし、Bさんの相続分として、Aさん固有の財産(不動産でも金銭等でも可)をBさんに移転することを合意するという遺産分割協議の方法もあります。これを代償分割と呼んでいます。
相続税法基本通達19の2-8では、代償分割のことを「共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割」と定義しています。
また家庭裁判所で行われている遺産分割調停でも、家事事件手続法第195条で債務を負担させる方法による遺産の分割として、「家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。」と規定しており、代償分割の運用がなされています。
実際に、Aがもともと所有していた不動産をBに移転する内容の遺産分割協議が成立した場合には、「遺産分割による贈与」や「遺産分割による売買」などという登記原因でAからBに所有権移転登記をすることができます。

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特別養子の相続権
特別養子とは、子どもの福祉のための養子縁組制度です。いろいろな事情によって実父・実母が養育できない場合、その子が家庭で養育を受けられるようにすることを目的としています。
特別養子縁組ができるのは、子どもの年齢が6歳になるまでです。ただし、6歳未満から事実上養育していたと認められた場合は8歳未満まで特別養子縁組が可能となっています。
特別養子が成立すると、特別養子になった子と、実父・実母との間の親族関係は終了することになります(民法第817条の9)。ただし婚姻障害事由(近親婚の禁止)は残ります。
よって特別養子となった子と実父・実母との間の相続関係は生じません。司法書士が相続登記の手続きをする場合、注意が必要な点です。
ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出子を特別養子とする場合は、実父・実母やその血族との親族関係は終了しません(民法第817条の9ただし書)。

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抵当権抹消書類をそのままにしていた
住宅ローンを完済して、銀行や取り扱いの会社から書類が送られてきたけど中味を確認しないままそのままにしていた。
先日書類の中味を確認したところ抵当権抹消登記をするようにとのことで抹消登記申請に必要な書類が入っていた。
しかも、書類には3ヶ月の有効期限があるとのことで、当然その期限は過ぎてしまっている。どうしたら良いか。というお問い合わせを頂くことがあります。
「3ヶ月の有効期限がある書類」というのは、抵当権者である金融機関等の代表者事項証明書のことを指していると思われます。
この代表者事項証明書自体は、法務局で誰でも(その金融機関以外の人でも)取得することができますので、有効期限である3ヶ月以内のものは追完可能です。またそもそも会社法人等番号を提供すれば代表者事項証明書の添付は省略できます。
ただし、住宅ローン完済当時の抵当権者(ほとんどの場合、会社)の代表者が、現在の代表者と違っている場合もあります。
その場合、送られてきた抵当権抹消書類のなかに入っている登記申請用の委任状には、住宅ローン完済当時の抵当権者の代表者が委任者として記載されているため、現在の代表者事項証明書に記載されている代表者と不一致となってしまいます。
もし会社法人等番号を提供しても住宅ローン完済当時の抵当権者の代表者の資格を証明することができないような場合は、登記事項証明書を添付する必要があります(平成27年10月23日民二第512号)。
このような場合、住宅ローン完済当時に抵当権者の代表者の代理権(当該登記申請に関するもの)は、代表者の退任をしても消滅しないことになっています(不動産登記法第17条)。
よって冒頭のお問い合わせに対する回答としては、当時の書類を利用することは可能ということになります。
ただ、実際には現在の抵当権者の代表者が誰なのかを確認する必要がありますし、場合によっては登記事項証明書を取得する必要もあります。抵当権者である相手方に問い合わせをして登記事項証明書の再発行をお願いすると先方で手配してくれるケースもありますが有料となることもあるようです。
また、司法書士が抵当権抹消登記の申請を代理する場合は、本人確認手続きが必要ですので、抵当権者に問い合わせをすることになり、結果として抵当権抹消書類の再発行手続きしてもらい、現在の代表者の名前で委任状や抵当権解除証書を再発行してもらうことも多くあります。

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物件所有者が亡くなっている場合の抵当権抹消登記
住宅ローンが付いていたマンション物件の所有者が亡くなったので、団体信用生命保険の適用で住宅ローンが解除になった場合、抵当権抹消登記ができるようになりますが、当該マンションの相続登記をしないままで抵当権抹消登記の申請ができるでしょうか?というお問い合わせを頂くことがあります。
結論から言うと相続登記をしないままで抵当権抹消登記を申請することはできません。
相続による所有権移転登記をした後で、登記名義を受けた人が申請となって抵当権抹消登記を申請することになります。
ただし、マンションの名義が共有になっている場合、たとえばAB共有でAが死亡しAに関する相続登記をしていない場合、抵当権抹消登記が必要な場合ですと、共有に関する保存行為としてB1人から抵当権抹消登記の申請ができます。
なお抵当権抹消登記は、物件の所有者と抵当権者との共同申請で行いますので、司法書士は物件の所有者と抵当権者の双方から委任を受けて登記申請手続きを行うことになります。

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コンビニ交付に係る証明書等を提供して不動産登記の申請がされた場合の取扱
コンビニ交付に係る証明書等を提供して不動産登記の申請がされた場合の取扱いについて法務省民二・民商第240号として法務省民事局民事第二課長法務省民事局商事課長から通知が出ています。
この通知によると、コンビニで発行される証明書とは、コンビニエンスストアに設置されているタッチパネル式の端末装置の IC カードリーダに事前に証明書等のコンビニ交付を受けるための情報が入力された住民基本台帳カードをかざして、本人確認を行った上、交付手数料を納めると、印鑑証明書や住民票の写し等として交付されるものとされています。
コンビニで発行される証明書等には、偽造防止策として、証明書等をコピー機で複写した場合に「複写」という文字(けん制文字)が浮かび上がる措置に加えて、証明書等の裏面に偽造防止検出画像及びスクランブル画像を印刷する措置が施されています。
このコンビニで発行される証明書等を提供して不動産登記の申請がされた場合の法務局側の取扱いについて、上記通知によると、従来の市役所等で発行された証明書と取り扱いが異なる点としては、証明書等の「裏面」について、専用の読取機を使用して偽造防止検出画像の確認を行うことになっています。
法務局においてこの審査を行っても、なお証明書等の真贋について疑義があるときは、当該証明書等を発行した市区町村に対して偽造の有無等を問い合わせて確認をするものとし、その問い合わせ方法については、次のとおりとするとなっていて
(1)印鑑証明書については、あらかじめ印鑑証明書を発行した市区町村の担当者に連絡を取った上で、印鑑証明書の原本を当該市区町村あてに持参又は送付をする方法によるものとする。なお、送付の方法による場合には、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによるものとする。おって、この場合には、市区町村から問い合わせに対する回答がされるまでの間、印鑑証明書の写しを申請情報と併せて保管しておくものとする。
(2)住民票の写しについても、(1)と同様とする。
ただし、市区町村に対して住民票め写しに記載された事項を電話やファックスにより確認することができる場合には、これらの方法によることも差し支えない。
という取り扱いのようです。
上記の確認を行った場合には、当該確認を行った旨を申請情報又は証明書等の適宜の欄に記載するものとする。となっています。
今回この通知を記事にしたのは、相続登記の添付情報として印鑑証明書の原本還付を受ける際に印鑑証明書のコピーを添付するのですが、いつものとおりに印鑑証明書の表面だけをコピーして登記申請をしたところ、コンビニ発行の印鑑証明書については、表面だけではなく裏面もコピーするようにと法務局から指摘を受けたのがきっかけです。
上記通知にもあるように、コンビニ発行の印鑑証明書には裏面に偽造防止検出画像があり、友人の司法書士に確認したところ、それを専用の読取機を使用して偽造防止検出画像の確認を行っている関係で裏面のコピーも必要なのではないかとのことでした。

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