「保佐」とは、ふだんの買い物くらいは一人でできるけど、自宅のリフォーム契約や有料老人ホームの入所契約、自宅の処分など、重要な財産行為を一人で進めるのは難しいというような場合、保佐開始の申立を受けて「本人の判断能力が著しく不十分」であると家庭裁判所が認めた場合に利用できる制度です。
民法第12条では「保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。」と規定されています。「保佐開始の審判」とともに「代理権付与の審判」も求めることが通常です。
保佐開始の審判をするにあたり、保佐開始自体について、本人の同意は必要ありませんが、保佐人に代理権を付与するためには本人の同意が必要とされています(民法第876条の4第2項)。
保佐開始の申立書を家庭裁判所に提出する際には、可能であれば本人が書いた「代理権付与についての同意書」を添付することが多いです。
本人が「代理権」の内容に同意していないとか、保佐制度自体を理解できていない等の事情があって同意書が添付できない場合もよくありますが、そのような場合は、そのまま申立書を家庭裁判所に提出することになります。
家庭裁判所の調査官は、本人と面接をおこない、代理権の付与について同意するかどうかを確認します。本人のこれからの生活にとって、保佐人に代理権を付与することが必要なのかどうか、余計な代理権を付与したり、本人の生活をかえって不自由にしてしまうような代理権を付与することがないように1つ1つの代理権について、本人に説明をしながら同意の有無を確認しているようです。
もっとも「保佐開始の申立書」に「本人の同意書」が添付されていても、家庭裁判所の調査官は本人と面接を行い、同意書の記載内容に間違いがないか確認することが多いので、この点からも「保佐開始の申立書」の提出にあたり同意書の添付がどうしても必要ということではないと言えます。