Archive for the ‘成年後見’ Category

認知症になっても家族が預金の解約ができる制度?

2021-03-13

 2021年3月22日から三菱UFJ銀行などで予約型代理人制度というサービスがスタートするそうです。

 預金口座を持っている親御さんが元気なうちに「配偶者または2親等内の血族」等を代理人として銀行に登録しておいて(代理人の予約)、いざ親御さんが認知症になってしまったときは、その代理人が銀行所定の診断書を提出することで預金者が認知症になっても代理人が銀行から預金や投資信託の解約等ができるようになるとのことです。

 これまででも一部の金融機関では親族に対して「代理人カード」の発行をしてくれていましたが、2021年2月に全国銀行協会が公表した金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方に即応したサービスといえます。

このようなサービスを利用することで、親御さんの医療費や生活費にあてることができる、というメリットがあります。

このサービスや上記全国銀行協会のプレスリリースを見て「もう成年後見制度は必要ないじゃないか。」とか「家族信託は必要ない。」などと誤解される向きもあるようですが、このようなサービスはあくまで銀行等の個別の対応です。

 成年後見制度との比較でいうと、成年後見制度はサポートが必要となるご本人の財産管理だけでなく身上監護(生活全般のサポート)も対象となります。
 認知症等でサポートが必要な方にとってはたとえばA銀行の預金の引き出しを親族ができるようになるだけでは十分とはいえない場合もあります。

 家族信託との比較でいうと、家族信託で受託者が委託者のために管理するのは信託契約で定めた信託財産ですから、たとえば「A銀行の預金口座」ではなく、「不動産」や「金銭」といったものになります。
 認知症対策で家族信託が有効だと利用者の多くが実感するのは、この「不動産」の管理・処分の場面が多いようです。

 また実際にこのサービスを利用して代理人に予約された特定の親族が、認知症になった親御さんの預金の引出しをした場合、その使途(何に使ったのか)を監督したり精査したりする仕組みが用意されているのか、用意されてない場合トラブルの元にならないのかが気になります。

 高齢者の保有資産の有効活用という視点も透けて見える気がするのですが、成年後見制度の利用促進との関係も含めて今後の運用に注目です。

 

成年後見制度利用促進のご案内

2021-03-01

「成年後見制度利用促進のご案内」という厚生労働省のバナー広告をポータルサイトを開くと目にするようになりました。2021年2月26日にホームページができたようです。

ちょっと堅苦しいイメージがありますが自分が知りたい情報のページにたどり着けるようにはなっています。

一般の方は相談先を探したいと思うのですが、相談先一覧がpdfファイルになっていてぱっと見た感じは表示が細かいのではないかと思いました。これから改良されていくのだとは思いますが。

小川司法書士事務所の成年後見のページ

 

 

成年被後見人名義の既存口座への後見設定の際、成年後見人の負担が軽減されます?

2021-02-13

 2021年2月12日に総務省行政評価局行政相談管理官室から成年被後見人名義の既存口座に後見設定する際の金融機関における被後見人の本人確認-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせんに係る金融庁の取組-がリリースされました。

 成年後見人が被後見人がもともと持っていた銀行口座について、成年後見人の設定手続きをしようとする場合、成年後見に関する登記事項証明書だけで完了できるように銀行を監督する立場の金融庁に対しあっせんをし金融庁監督局も傘下の金融機関に通知をしたとのことです。

 たとえばAさんについて司法書士小川直孝が成年後見人に就任したとします。
 Aさんがもともと持っていた銀行口座については、成年後見人である司法書士小川直孝が責任をもって管理していくことになりますので
銀行に対して成年後見人に就いた旨の届出をし、通帳の名義も「A」ではなく「A成年後見人小川直孝」などという形式に変更してもらう必要があります。

 この後見設定の手続きをする際に、銀行に対して何の書類を提出する必要があるのか?ということになりますが上記あっせんでは、「成年後見に関する登記事項証明書」で足りるとなっています。

 この点、私も実際に経験があるのですが被後見人であるAさんの本人確認書類の提出を求められたことがありました。
 すでに判断能力が衰えていたりして本人の権利擁護の観点から成年後見の届出をしようとしているのに「うちではこれが決まりですから」と本人しか保管していない公的証明書等の提出を強く求めてきた銀行もありました。

 また被後見人であるAさんが届けていた銀行印を後見設定届に押すように求めてきた銀行もありました。
 Aさんの意思が確認できない状態なのにAさんが銀行に届けていた印鑑を別人の成年後見人に押させる意味があるのでしょうか。

 コロナ禍も重なって脱ハンコの流れが進んでいるようですが上記あっせんはこれとは違う理由、つまり「成年後見人であることの証明は裁判所の審判をもとに成年後見の登記事項証明書で尽くされており被後見人の本人確認書類としてもこれで足りる。」ということによるものだと思います。

ただ実際の成年後見の設定手続きでは、「成年後見に関する登記事項証明書」だけではなく
・成年後見人の本人確認書類
・成年後見人として届け出る印鑑
・Aさんがこれまで使用していた通帳やキャッシュカード(手元にあれば)
も必要となります。

 今回の通知がされることで今後の成年後見業務を担う人たちがスムーズに成年後見の設定を済ませられるようになることは良いことだと思いますし、このようなことの積み重ねが成年後見制度を社会に浸透させていくことに繋がるのだと思います。

 

コロナ禍における成年後見人の役割

2021-02-03

 

【コロナ禍で後見人が医療で直面していること】

 新型コロナウィルスに関連して成年後見制度を利用している方のワクチン接種の問題を含めコロナ禍で成年後見人が医療で直面する課題は様々ですが、2019年5月に厚生労働省から発表されている「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」がありますので、成年後見人としては「意思決定が困難な人への支援」の1つとしてこれを参考にする必要があります。

 そもそも 医療行為については、成年後見人には同意権限がありませんから、成年後見制度を利用している人(被後見人)本人の意思を確認するのが原則です。その上で、本人の医療に係る意思決定が困難であるということであれば、成年後見人はその意思決定を支援するために行動しなければなりません。

 上記ガイドラインでは、意思決定が求められる時点で被後見人本人の意思が確認できない場合には、本人にとって最善の方針をとることを基本に、医師だけではなくケアマネジャー、介護事業者など本人に関係する人たちとの間(医療・ケアチーム)で話合いを行っていくことが必要とされています。

【プロセスガイドライン】

 しかし単に「本人にとっての最善の方針」と言っても何を基準に話し合えば良いのか、ということになってしまいそうですが、2018年3月に厚生労働省から発表された改訂「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(プロセスガイドライン)の考え方も踏まえるようにと上記ガイドラインでは案内されています。

 このプロセスガイドラインでは、

①家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
②家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
③家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、 本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
④このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。

とされています。

 成年後見人としては独善的に判断し行動することなく、日常の後見業務において本人を取り巻く関係者と定期的に意見交換をしつつ、本人に医療行為が必要になった場合でも即応できるような体制を構築しておく必要があります。特に被後見人本人は高齢者であったり常に介護が必要な環境にある方が多く「いつ何があるか分からない。」ということが日常となっています。

 また上記プロセスガイドラインの④にあるように記録を残しておくことも成年後見人の責任の所在を命確認する上でも非常に大切なことといえます。

 成年後見のページはこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン

2020-11-08

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」が意思決定支援ワーキング・グループによって策定されたことが私も所属している成年後見センター・リーガルサポートのホームページで公表されました。裁判所のホームページでも公表されています。

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(裁判所)

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(成年後見センター・リーガルサポート)

意思決定支援ワーキング・グループは
・最高裁判所
・厚生労働省
・日本弁護士連合会
・成年後見センター・リーガルサポート
・日本社会福祉士会
によって構成されていました。

これまでの経緯としては
平成28年5月13日に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行

これにもとづいて内閣府に成年後見制度利用促進委員会が設置され具体的に議論

平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定

平成30年6月21日に成年後見制度利用促進専門家会議を設置

令和2年3月17日に成年後見制度利用促進専門家会議による成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書

といった流れがありました。

成年後見制度利用促進委員会や成年後見制度利用促進専門家会議には実務家・学者のほか、家族会の代表なども委員として議論に参加しています。
少なくとも利用者を無視した机上の議論にはなってはいないのではないかと思います。

「成年後見制度利用促進基本計画」というと「利用促進」という用語に目が行ってしまいがちですが実際の基本計画では、利用促進以外にも「利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善」が含まれています。

特に中間報告書等にある「意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされているものもある」という指摘は、いまだに「後見人は財産管理だけをしておけば良いんだ」などと考えている(と思われる)一部の専門職後見人に対する厳しい批判ともいえます。

また上記ガイドラインに関する意思決定支援ワーキング・グループに最高裁判所も加わっているということや裁判所のホームページでも公表されていることから、専門職後見人に対する監督機関としての家庭裁判所としても被後見人等に対する後見人の意思決定支援を重要視していくことになるのだと思います。

上記ガイドラインでは後見人が本人の意思決定支援をする際にその都度アセスメントシートを作成し記録していくことになっています。
後見人として意思決定支援をした結果はもとより、意思決定支援をした過程を明確にするようになっています。

被後見人本人と後見人との関係はとかく外部から見えにくいものになりがちですが、このようなアセスメントシートがあれば被後見人本人の意思決定支援の過程も検証できるようになると思います。

実際の後見実務は、利用者ごとに事情が異なっていて定型的な対応をしていれば良いというものではありませんし、後見人も日々試行錯誤を繰り返して利用者本人や周囲の人々に接していますが、人間関係も含め本当に難しい仕事です。

成年後見センター・リーガルサポートの会員向け研修でも講師が話をされていましたが、意思決定支援を踏まえた後見事務において大事なことは、いろんな人から意見を求めて意思決定支援をすること、1人で決めないことに尽きるようです。

後見人の印鑑証明書

2020-08-25

後見人がその事務を行っている時に、後見人の資格で自分の印鑑証明書を関係機関に提出する場面が結構あります。

被後見人名義の銀行口座に後見人の設定をする場面では金融機関によって取り扱いが異なりますが後見人の印鑑証明書を提出し、届出書にも実印を押すことを求められることがあります。

また被後見人名義の不動産を売却する場合にも後見人が被後見人を代理して不動産売却手続きを行いますから登記義務者としての印鑑証明書は、後見人の印鑑証明書が必要となるわけです。

ちなみに家庭裁判所では後見人の印鑑を届出ることができることになっていてこの印鑑を使用して不動産の売却のための所有権移転登記に必要な印鑑証明書とすることができます。

参考 不動産登記規則48条1項3号
裁判所によって選任された者がその職務上行う申請の申請書に押印した印鑑に関する証明書であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したものが添付されている場合

司法書士や弁護士など親族以外が成年後見人になっている場合、後見人の住所として登記される住所が
個人の住所ではなく事務所所在地であることも多くこのような規定や取り扱いがあるとその後見人にとっては便利です。

参考 家庭裁判所への印鑑届(山形家庭裁判所のサイト)

 

 

後見制度支援信託

2020-08-16

後見制度支援信託とは、成年後見開始の審判を受けた被後見人の財産管理の方法の1つとして活用される信託のことをいいます。

被後見人の財産が多額な場合、後見人にそのすべての財産を管理させることが適当でないと家庭裁判所が判断した場合、その指示によってその後見人が普段使う予定のない金銭を信託銀行等に信託させ、日常的に使う金銭のみをその後見人に管理させる仕組みです。

民法等の法律でこの後見制度支援信託について定めたものありませんが家庭裁判所の後見監督の中で運用されています。
このような運用が生まれた背景としては、後見人による被後見人の財産横領事案が続いたためとも言われています。

後見制度支援信託は、法定成年後見制度と未成年後見制度でのみ運用がされています。
保佐・補助・任意後見では後見制度支援信託は利用されません。以下未成年後見制度は除いて説明していきます。

被後見人の財産のうち、後見人が普段使う予定のない金銭がいくらなのか、日常的に使う金銭がいくらなのかについては当然ですが事案によって異なります。

たとえば被後見人の財産(金銭)が3,000万円あったとすると、そのうちの2,500万円を後見制度支援信託によって信託銀行に預け、残りの500万円を後見人が日常的に管理する、といった仕組みになります。

「普段使う予定のない金銭を信託銀行等に信託する」といっても、後見人が信託銀行等で普通に口座開設をする訳ではありません。
家庭裁判所の指示のもと、信託契約の締結をすることになります。なので、信託銀行等も家庭裁判所発行の指示書(金○○万円を信託する契約を締結することを指示するもの)がないと後見制度支援信託による口座開設には応じてくれません。

参考 大阪家庭裁判所の書式

このように後見制度支援信託は、信託銀行等に「金銭」を信託するものですから、金銭以外の財産(有価証券や不動産)は、いくらその額が大きくてもその対象にはなりません。
ただ被後見人の保有資産に有価証券等(株式・投資信託等)が多く含まれている場合は、後見人によってそれらを売却・解約させ、現金化し後見制度支援信託を利用させるようにするケースもあります。

上記の例で、後見人が普段使う予定の500万円の金銭では後見人の仕事をしていくのに足りなくなってしまう場合も出てきます。
たとえば、施設入所をすることになったとか、重い病気にかかってしまい医療費や介護費用が増加してしまった場合などです。
そのような場合、後見人は家庭裁判所に申立をして、後見制度支援信託で信託している金銭から一時金の交付をうけるよう指示書を受けることもできます。

また年間収支予定がマイナスになることが確実に予想され、定期的に信託財産から金銭の交付を受ける必要がある場合は、後見制度支援信託による信託銀行等との契約締結の際に「定期交付金」という形で信託財産から定期的に日常的に使う金銭を管理している銀行口座に送金してもらう仕組みもあります。

後見制度支援信託を利用した場合、被後見人が委託者兼受益者となり、被後見人が死亡するとその信託は終了します。
後見制度支援信託によって信託された財産は、被後見人(委託者兼受益者)の相続財産として相続人に帰属することになります。

このように後見制度支援信託は、後見人に多額の財産を管理させないようにして横領行為など不正事案を防止することに役立つ制度です。
ただし、後見制度支援信託を利用するためには上述のような信託銀行等との契約締結が必要となり、そのために別の後見人が選任されることになりますので後見人の報酬も別途発生することになります。

被後見人の財産が多額に場合、この後見制度支援信託を利用する方法の他に、後見監督人を選任して後見人の財産管理をチェックしていく方法で後見人の不正防止を図っていくケースもあるようです。

成年後見の申立人としての四親等内の親族

2019-05-05

成年後見の申立てができる人は民法で規定されています。

『民法第7条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、
家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、
後見開始の審判をすることができる。』

ここでいう「四親等内の親族」とは具体的にどのような関係の人のことをいうのかについて説明します。

まず民法でいう「親族」とはどのような意味なのか。

ここでいう「親族」と、いわゆる「親戚」では意味が違いますので注意が必要です。
いわゆる「親戚」というのはその人の「家族以外」で、血縁や婚姻関係によって結びつきがある人のことを指します。
また「親戚」という言葉自体、民法では使用されていません。

『民法第725条
次に掲げる者は、親族とする。
一  六親等内の血族
二  配偶者
三  三親等内の姻族』

ここでまた「血族」・「姻族」という言葉が出てきました。
「血族」とは、血のつながった人のことをいいます。実親子(自然血族)以外にも養親子も含まれます(法定血族)。
「姻族」とは、婚姻関係をきっかけとした配偶者の血族、さらに血族の配偶者のことをいいます。

これではイメージが難しいので、「四親等内の親族」の具体的な関係を挙げてみます(以下算用数字で表記していきます。)

1親等の血族は、父母、子供
2親等の血族は、祖父母、兄弟姉妹、孫
3親等の血族は、曾祖父母、ひ孫、おじおば、おい・めい
4親等の血族は、高祖父母、玄孫(やしゃご=ひ孫の子)、いとこ、姪孫(おい・めいの子)

1親等の姻族は、配偶者の父母、子の配偶者
2親等の姻族は、配偶者の祖父母・兄弟姉妹、自分の兄弟姉妹・孫の配偶者
3親等の姻族は、配偶者の曾祖父母・甥姪、おじおば・おい・めい・ひ孫の配偶者

こう見てくると、「四親等内の親族」というのは、かなり広範囲の関係者が含まれるのではないかと思われますが、実際に家庭裁判所に対し成年後見の申立てを検討する場合には、これら「四親等内の親族」と本人との関係が希薄、または全く関係が無いという場合が多く、ましてや親等が遠いほど成年後見の申立人になってくれるというケースも少なくなってくるようです。

こういった関係の方々が、申立人になってくれない理由の一つには、家庭裁判所への申立費用の負担が原則として、本人ではなく申立人となっていることもあるのではないかと思います。

成年後見制度の申立費用としては、後見開始であれば収入印紙数千円と、切手代数千円ですが、精神鑑定が必要となればさらに数万円、申立て手続き自体を弁護士に依頼すれば数万円から数十万円、申立書の作成のみを司法書士に依頼したとしても数万円の費用がかかるわけです

こういった費用を負担してまでこれまで疎遠な関係であった親族のために申立人になってくれるかというと実際問題としてなかなか厳しいものがあるようです。
後見開始の審判の際に申立人から上申書等を提出すれば、裁判官の判断で「申立費用は本人の負担とする」旨の審判をしてもらえることもありますが、ここでいう申立費用は、申立てに要した印紙代等のことを指しています。

地域包括支援センター

2019-03-29

成年後見について相談したいけどどこに相談したら良いのかわからない。という方のためのお話です。

市役所だと介護保険課?障害福祉課?高齢者支援課?
成年後見は裁判所に申立てをするらしいから裁判所?

たしかに成年後見の申立て(後見・保佐・補助開始の申立て)をする先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所になりますが、家庭裁判所は申立てを受け付ける窓口であって、具体的なケースごとにその人が成年後見制度を利用した方が良いのかとか、他の制度との比較検討、アドバイス等はしてもらえません。

また成年後見制度を利用したいと決めても具体的にどこに相談したら良いのか分からないという方もいます。

実際のところはお住まいの市役所の窓口に相談にいけばその方の状況に応じて担当窓口に案内をしてくれるはずです。

しかしいろいろな窓口を紹介され、その都度最初から説明をするのも大変です。
できれば最初から担当窓口を知っていたほうが良いということになります。

地域包括支援センターは2005年に介護保険法の改正によりスタートしました。
各市区町村に設置されることになっていますが、外部委託によって地域に根付いた社会福祉法人が運営を受託している場合が多いです。

地域包括支援センターには介護はもとより成年後見制度についても専門知識を有した職員の方々がいますので相談される方の状況に応じて適切なアドバイスが受けられる仕組みになっています。

地域包括支援センターでは包括的支援事業として
・介護予防ケアマネジメント業務としてのケアプランの作成支援
・市民の各種相談への対応
・権利擁護業務としての虐待防止、成年後見制度の利用促進
・包括的・継続的ケアマネジメント支援業務としての医療・介護関係者間との連携などがあります。
また介護予防支援事業として要介護前の段階の要支援者へケアプランの作成等も行っています。

このように地域包括支援センターは、公的な機関として地域に密着した住民のための生活・福祉のために必要な援助、支援をする中核機関として機能しています。

成年後見制度に限らず、高齢者・障がい者の生活などで不安なことや困ったことなどがある場合は、お近くの地域包括支援センターに相談するのが安心です。

その上で、司法書士や弁護士等の専門家が必要になった際は、その引き継ぎなども行ってくれる場合もあります。
いきなり司法書士や弁護士等に相談するのもどうか、と考える方も地域包括支援センターにまず相談してから紹介してもらうというルートだと安心なのではないでしょうか。

実際、私の亡くなった母も介護保険を利用する段階になった際には、近くの地域包括支援センターに相談をしてケアマネージャーさんらと連携を取る手順を踏みました。

柏市、我孫子市、松戸市、野田市、流山市の地域包括支援センターは「東葛北部圏域」として千葉県のホームページに一覧があります。
こちら(.pdf)

お近くの地域包括支援センターを確認しておき、いざという時相談できるようにしておくと良いと思います。

家庭裁判所の審理期間

2018-01-25

成年後見、保佐、補助の申立書を家庭裁判所に提出してから、実際に成年後見人、保佐人、補助人が選任されるまでどれくらい時間がかかりますか?と審理期間についてお問い合わせを頂くことがあります。

審理期間については最高裁判所の家庭局が統計を出しています。「成年後見事件の概況」(裁判所のウェブサイト)

平成28年1月から12月までのデータによると成年後見関係事件の終局事件合計が3万4,346件でそのうち
1ヶ月以内に終局したものが全体の45.5%
1ヶ月を超えて2ヶ月以内に終局したものが全体の31.9%
2ヶ月を超えて3ヶ月以内に終局したものが全体の12.0%
3ヶ月を超えて4ヶ月以内に終局したものが全体の約5.3%
4ヶ月を超えて5ヶ月以内に終局したものが全体の約2.4%
5ヶ月を超えて6ヶ月以内に終局したものが全体の約1.2%
6ヶ月を超えて終局したものが全体の1.7%
となっています。

全体の7割以上が「申立をしてから2ヶ月以内」に手続きが終わっているようです。

個人的には成年後見制度がスタートした頃からするとかなり短かくなったという印象があります。

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