知っておくべき遺言書の種類

2020年7月10日から法務局での自筆証書遺言保管制度がスタートしました。

これは自分で書いた遺言(自筆証書遺言)を法務局に持参し手数料を支払った上で、その原本を保管してくれる制度です。

法務局で自筆証書遺言の原本を保管してくれるため、紛失や盗難の心配はありません。

また実際に遺言書を使って手続きをする際にも、従来自筆証書遺言であれば必要とされていた家庭裁判所による検認手続きも不要となります。

くれぐれも注意していただきたいのは、法務局では持ち込まれた自筆証書遺言が適法なものかどうか、有効なものかどうかについては受付の段階で審査はしてくれないということです。自筆証書遺言を法務局で保管してもらい実際に遺言書を使って相続手続きをしようとしたら「実は無効な遺言書だった。。」ということにならないように自筆証書遺言の内容についてしっかり検討しておく必要があります。

 

【遺言書の種類はいろいろ】

遺言書といっても実はいろいろな種類があります。民法では遺言書の方式についての規定があります。

民法第960条

遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

「この法律」というのは、民法のことですから、遺言を有効にするためには民法の規定に定めたとおりに手続きを踏む必要があるということになります。

遺言の種類としては次のようなものがあります。

普通方式の遺言 自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
特別方式の遺言 死亡時危急時遺言
伝染病隔離者遺言
在船者遺言
船舶遭難者遺言

このページでは一般的な普通方式の遺言(自筆証書遺言と公正証書遺言)について説明します。

 

【自筆証書遺言】

自筆証書遺言は、民法第968条に規定されています。

民法第968条

第1項 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

第2項 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

第3項 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自署し、これに印を押さなければならない。

自筆証書遺言は「自筆」とあるように手書きで作成するものですが、相続財産目録の部分については自筆でなくても良いとされています。たとえば登記簿謄本(登記事項証明書)や通帳のコピーを本体部分と一体のものとして添付すれば足りるとされています。ただし目録部分の用紙には、署名・捺印が必要なので注意が必要です。

自筆証書遺言の場合、体裁としては

  • 作成した日付
  • 氏名
  • 押印

が最低限必要です。

 

【自筆証書遺言のメリット】

自筆証書遺言のメリットとしては以下のような点があります。

  • 自分で作成できるので費用がかからない
  • 自分で作成するので他人に知られることがない

 

【自筆証書遺言のデメリット】

自筆証書遺言のデメリットとしては以下のような点があります。

  • 法的知識が不十分なまま作成してしまうと、遺言書の方式が民法の規定に反していて無効になる危険がある
  • 本文を手書きで書く必要があるので手間がかかる。書き損じた場合、書き直しをするか訂正をするにも民法の規定(民法第968条第3項の規定)通りに訂正しないと無効になる。
  • 作成した自筆証書遺言をどこに保管するかの問題
    →この問題については2020年7月10日からスタートした法務局での自筆証書遺言保管制度が役に立ちそうです。

※このように自筆証書遺言は手軽に作成できるのですが、遺言書の形式や遺言書内容自体が有効なものでないとせっかく作った遺言も無駄になってしまうこともありますので自筆証書遺言を作成する場合は、事前に法律専門家のアドバイスを受けた方が良いと思います。

 

【公正証書遺言】

公正証書遺言は、民法第969条に規定されています。

民法第969条

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 証人二人以上の立会いがあること。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

このように公正証書遺言を作成するには方式が厳格に決まっていて、基本的に公証人の指示に従って手順が進みます。

法律の専門家である公証人が作成する証書ですから後日、方式が違っていて無効になるとか、内容が無効であるなどといった心配はありません。

公正証書遺言の特徴としては、

  • 遺言者本人のほかに「証人」が2名立ち会う
  • 遺言者は、公証人の面前で遺言の趣旨を口授する
  • 公証人が証書を作成する

といった点があります。

 

【公正証書遺言のメリット】

公正証書遺言のメリットとしては以下のようなものがあります。

  • 法律専門家の公証人が作成してくれるから方式・内容について心配がない
  • 遺言書の謄本や正本をなくしてしまったとしても、公証役場で原本を保管してくれているので、再度謄本を作成してもらえる。
  • 自筆証書遺言(法務局保管でないもの)のように家庭裁判所の検認手続きが不要
  • 公正証書遺言があるかどうか公証役場で検索してもらえる(請求要件あり)

 

【公正証書遺言のデメリット】

  • 作成費用がかかる
  • 立ち会ってくれる証人に遺言の内容を知られてしまう
  • 遺言書作成を公証人に依頼をしてから作成当日まで少し日数がかかる

司法書士の立場からは、自筆証書遺言よりも公正証書遺言のほうが法的安定性の点で優れているため「どっちが良いですか?」と聞かれたら「公正証書遺言」と答えることになります。

※小川直孝司法書士事務所では、遺言書作成サービスのご相談・お見積もりは無料です。

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