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保証人のための情報提供義務(2020年4月1日改正民法施行)

2020-05-11

2020年4月1日施行の改正民法では、保証人を保護するための制度として情報提供義務の制度が新設されました。
自分が保証人になる前、保証人になった後、主債務者が支払いを遅滞した場合の3つの場面で債務の内容や主債務者の財産、収支の状況などをきちんと確認できるようにして保証人に不測の損害が発生しないようにするための制度です。


  1. 保証人になる前(民法第465条の10第1項)
  2. 保証人になった後(民法第458条の2)
  3. 主債務者が支払いを延滞した場合(民法第458条の3第1項)

    1.保証人になる前(民法第465条の10第1項)
    事業のために負担する債務について保証人になることを他人に依頼する場合の情報提供義務(民法第465条の10第1項)
    事業のために自分が負担する債務について、他人に保証人になること依頼する場合は、保証人になるかどうかの判断材料として
    ①自分(主債務者)の財産や収支の状況
    ②その債務以外に債務がある場合はその額、返済状況(きちんと返済できているか)
    の情報を提供する義務があるということになります。

    参照条文 民法第465条の10第1項
    (契約締結時の情報の提供義務)
    主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
    ① 財産及び収支の状況
    ② 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
    ③ 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

    2.保証人になった後(民法第458条の2)
    主たる債務者から委託を受けて保証人になった人は、「債権者に対して」、主たる債務について支払状況に関する情報提供を求めることができます。
    情報提供の請求を受けた債権者としては、「債務者の情報」を第三者である保証人に開示することになるので個人情報の第三者提供にあたることになりますが
    民法第458条の2は、個人情報保護法には抵触しないということになります。

    参照条文 民法第458条の2
    (主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
    保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

    3.主債務者が支払いを延滞した場合(民法第458条の3第1項)
    主たる債務者が分割払いの支払いを延滞したりして、分割払いの利益を喪失し残金一括請求の対象になった場合、債権者は2ヶ月以内に保証人に対して通知しなければならないことになっています。
    これは、主たる債務者が一括請求を受けると遅延損害金も多額になり、その分だけ保証人の負担も増加することから、保証人を保護するために早めに主たる債務者が経済的危機にあることを知らせる制度です。

    参照条文 民法第465条の3第1項
    (主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
    主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。

     

     


    ◆このように事業のために負担する債務を保証する人に対する保護規定が新設された訳ですが、民法でこのような規定を置かなければならないほど保証人への負担が問題になっているということでもあります。
    事情は人それぞれであり一概には言えませんが、保証人になる場合にはくれぐれも慎重な判断が必要です。


公証人による保証意思確認手続き

2020-05-10

2020年4月1日に施行された改正民法により「公証人による保証意思確認手続き」という制度が新設されました(民法第465条の6)。

事業用の融資を受ける際に、保証人になろうとする個人は、公証人から保証意思の確認を受ける必要があります。
この確認手続きをせずに保証人になった場合は、その契約が無効になります。


この規定の対象とならない場合は次のケースです(民法第465条の9)。
①借入をする債務者が法人で、保証人になる個人がその法人の役員や議決権の過半数を有する株主の場合
②借入をする債務者が個人で、保証人になる個人が共同事業者である場合や事業に従事している配偶者の場合


このような制度ができた理由としては
事業経営をしている人から頼まれて親戚や知人が安易に保証人になってしまった結果、多額の保証債務の請求をされることになるケースを防止するためとされています。
「保証人だけにはなってはいけない」などと言われていても人付き合いの関係で断り切れずに保証人になってしまった結果、事業と全く関係の無い金銭の請求をされることになり
最悪の場合、やむを得ず自己破産を選択することになってしまったという事例もあります。
今回新設された公証人による保証意思の確認制度によりそのような事例が抑制されることが期待されています。

実際の手続きの流れ

保証契約をする前(保証契約締結の日前1ヶ月以内)に、公証役場に出向いて手続きをする必要があります。

公証人から確認される事項としては本人確認は当然のことですが
①保証をしようとしている主債務の具体的な内容を認識しているか
②保証をすることで自らが代わりに支払などをしなければならなくなるという大きなリスクを負担するものであることを理解しているか
③主債務者の財産・収支の状況等について主債務者からどのような情報の提供を受けたか
④保証人になろうと思った動機・経緯
などがあります。

公証人からの保証意思確認手続きが終わると公正証書(保証意思宣明公正証書)が作成されます。

この保証意思確認手続きの手数料(公証人に支払う手数料)は、1通 Ⅰ万1,000円です。

参考条文

(公正証書の作成と保証の効力)
民法 第465条の6
第1項 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
第2項 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
① 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
② 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
③ 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
④ 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
第3項 前2項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。

敷地権の登記がされる前に購入したマンションの権利証はどれ?  

2020-05-07

マンション(区分建物)を購入すると通常、購入した部屋(専有部分)はもちろん、底地部分(土地)の権利も取得することになります。
「敷地権の登記」がされているマンションであれば、専有部分と底地部分が一体化されたものとして処理されますのでマンション(区分建物)を購入し、売買の登記(所有権移転登記)をすれば、専有部分と底地部分の両方が登記されたことになります。

専有部分は一人が購入すれば持分は当然100%ですが、底地部分は通常マンション全体の専有部分合計床面積を分母にして当該専有部分を分子にした持分割合になったりします。
この考え方で行くとたとえばマンション全体の専有部分合計が1万㎡で、購入した部屋(専有部分)が80㎡だとすると、底地部分の共有持分は1万分の80という計算になります。
敷地権の登記がされたマンショでは底地部分の共有持分を「敷地権の割合」と表現し、「敷地権の割合は1万分の80」と登記されます。

ところが築年数の古いマンションでは、敷地権の登記がされておらず、区分建物(マンションの専有部分)と底地部分の共有持分が別々に登記されているものもあります。
このようなマンションを購入し、売買の登記(所有権移転登記)をする場合、専有部分と底地部分も別々に取り扱われますので、専有部分と底地部分も別々に権利証(登記済証)が発行されています。

このようなマンションでは、その後の登記手続き(売却、担保権設定、担保権抹消など)でもすべて、専有部分と底地部分の2つの不動産として登記をしていく必要があります。
たとえば専有部分については所有権移転による売買の登記申請ですが、底地部分については○○持分全部移転による売買の登記申請となります。
敷地権の登記がされたマンションであれば、単に所有権移転による売買の登記申請のみで完結します。

通常マンションの底地部分の共有持分は何十人、何百人で持ち合うことが多いと思いますが、彼らが売ったり買ったり担保をつけたり外したりとしていくうちに底地部分の登記簿は膨大な登記事項で埋め尽くされていきます。
実際、私も敷地権の登記がされていないマンションの底地の登記簿を閲覧する機会がありますが、該当箇所を探すのに相当労力を要します。
最悪なのは膨大な登記事項のある登記簿を閲覧していく中での閲覧漏れです。

さて、このように専有部分と底地部分の共有持分が別々に登記されているマンションについても後から敷地権の登記をすることができます。
敷地権の登記がされれば、専有部分と底地部分の共有持分は一体化して処分ができますので、例えば売却するにしても単に「所有権移転」と登記すれば良いということになります。

ただし、「敷地権の登記」というのは、専有部分と底地部分の処分を一体として行うことができるようになっただけであって、もともとあった権利証が1つになる訳ではありません。
「敷地権の登記がされる前」に購入したマンションを「敷地権の登記がされた後に」売却する場合、権利証は専有部分と底地部分別々になっていますので、それぞれの権利証を法務局に提出する必要があります。

このようなマンションの登記簿謄本(登記事項証明書)の所有者の欄にある法務局の受付番号(権利証の番号)を見ると、専有部分のものしか記載されていません。
このため売却の際(残金決済の場)に権利証として専有部分の権利証しか準備してこないと売却ができないことになってしまいますので注意が必要です。
もっとも司法書士が立会をするような売買手続きであれば、その司法書士から事前に案内があるはずです。

まとめ

◆敷地権の登記がされる前に購入したマンションの権利証は、専有部分と底地部分の2つが必要。
◆底地部分の共有持分の権利証の番号は登記簿(登記事項証明書)には載っていない。

「相続登記はお早めに」と司法書士が勧める理由

2020-05-06

相続登記のご相談で意外と多いのが、「かなり前に名義人が亡くなっているのに名義をそのままにしていた。」というケースです。

「うちは相続税もかからないし」と相続登記をしないままでもデメリットはないと考える人もいるようですが、実際に相談を受ける司法書士としては「相続登記はお早めに」と勧めています。その理由を説明いたします。

 

相続登記の手続きをしないでいると、

・相続人が亡くなってしまい次の相続が発生してしまい当事者が増えて手続きが複雑になる。

相続開始当時は相続人が子供2名(A・B)だけだったのに、何も手続きをしないまま数年放置していたところ、Aが死亡してしまった。

Aの相続人は妻と子供2名(C・D・E)となり、BはC・D・Eと遺産分割協議をすることになります。

このくらいなら、義理の妹と甥・姪との関係ですからまだ連絡も付くし合意も可能かもしれませんが、さらに何も手続きをしないままBも死亡してしまったらどうでしょう。

Bの相続人が妻と子供2名(F・G・H)だったとすると、いとこ同士で遺産分割協議ということになります。相談者の中には、いとこ同士で長年連絡を取っていないとか、どこに住んでいるかも分からないなどという方もいらっしゃいました。

こうなると、遺産分割協議がうまくいくのかも分からない状態となり、「不動産は処分してしまおう」とか「建て替えをしよう」などと考えていたことも白紙になってしまうこともあり得ます。

・当時は話し合いがついていたのに、「事情が変わった」・「そんな話は知らない」などと相続トラブル(争族)になる。

同じく相続開始当時は相続人が子供2名(A・B)だけだったのに、Aが死亡してしまったケースで、Aが生前Bとの間で「不動産は売却して代金を半分に分けよう」という話をしていたとしても、遺産分割協議書を残していなかったために、Aの相続人から「そんな話は聞いていない」と言われて、結局弁護士を立てて交渉をしてもらうことになってしまった、という話もあります。

・売却や銀行からの資金借り入れ(担保提供)が予定通り進まない。

相続対象になっている不動産は名義変更の登記なんてしなくてもに住み続けていればいいやと安易に考え、そのままにしていたが建物が老朽化して建て替えをしたいと思うようになった。

ハウスメーカー経由で住宅ローンの相談を銀行の窓口でしたところ、「相続登記をしてください」と言われた。

相続登記と言っても法定相続人が多数で遠方に住んでいる人もいたり、なかには認知症になって成年後見人をつける必要があるらしい。成年後見人をつけるのは時間がかかるらしく建物の取り壊しも勝手にはできそうにない。取り壊しも容易にできないのなら建て替えも難しいかもしれない。というケースもあります。

 

 

 

 

そこで

不動産登記の専門家である司法書士に早めに相談することをおススメします。

小川司法書士事務所の相続サポートでは

・遺産分割協議書の作成

・戸籍謄本、除籍謄本の収集

・相続関係説明図の作成

・相続登記申請

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まで対応しております。

柏市、 松戸市、我孫子市、流山市、野田市にお住いの方々の相続手続きに便利です。

柏駅南口から徒歩4分。9時~21時まで。土日祝日も予約可。ご相談は無料です。

 

失踪宣告の効力発生日

2019-11-17

相続人に行方不明の人がいる場合については以前「失踪宣告」という制度を説明したことがありますが、失踪宣告の審判申立てを家庭裁判所に対して行ったあと、その審判が認容されると、その失踪者は死亡したものとみなされます。

死亡したものとみなされるということは、その人の財産関係や身分関係について「死亡」の効果が生じることになり「相続」が発生します。

いつ「相続」が発生するのか?ということですが、普通失踪の場合、期間満了時に死亡したとみなされ、特別失踪の場合は危難が去ったときに死亡したとみなされます。失踪宣告審判が確定した日ではありません。

 

実際に失踪宣告を受けた人の戸籍事項証明書でも戸籍事項として【失踪宣告】とあり

【死亡とみなされる日】令和●年●月●日

【失踪宣告の裁判確定日】令和●年●月●日

と記載されています。

 

失踪宣告を受けた人についての相続手続きをする場合は、この【死亡とみなされる日】を基準として考えていくことになります。

準確定申告

2019-11-17

ご家族が亡くなった場合、遺された人は相続手続に入る前にやらなければならないことがたくさんあります。

まず何から手を付けたら良いかが分からないという方もたくさんいらっしゃいます。

その中でもわかりにくいのが「準確定申告」です。

「確定申告」であれば見聞きすることもある思いますが、「準」という文字が頭に付いていることから分かるとおり「確定申告」とは違うものです。

「確定申告」は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、その所得金額から税額を計算して申告と納税をする制度です。
その申告は翌年の2月16日から3月15日までの間にしなければならないことになっています。

ところがある人が、その年の途中で亡くなってしまった場合は、その年の1月1日から死亡した日までの所得についても所得金額と税額を計算して申告をする必要があります。
これが「準確定申告」です。つまりその年の途中で亡くなった人は、「確定申告」のように1月1日から12月31日までで計算をすることはできなくなっていますから、1月1日から死亡日までで区切って税額を計算し申告をする必要があるということになります。

準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日から4ヶ月以内となっています。
死亡日が相続の開始があったことを知った日となることが多いでしょうから、「亡くなった日から4ヶ月以内に準確定申告をしなければならない」と覚えておけば良いかと思います。

準確定申告では死亡日までに亡くなった人が支払った医療費や社会保険料・生命保険料等の額が控除の対象となる可能性がありますので確認する必要があります。
また源泉所得として控除されていた分についても準確定申告をすることで還付される可能性もありますので注意が必要です。

確定申告も準確定申告も専門家に依頼する場合は、司法書士ではなく税理士さんになりますので、当事務所は提携先の税理士さんにバトンタッチしています。

パレット柏で家族信託入門セミナーを開催します。

2019-10-27

恒例の家族信託入門セミナーを開催します。 (定員20名・先着順予約制・参加は無料)

令和元年11月30日(土)午後1時~午後2時30分

パレット柏(柏市民交流センター・柏駅から徒歩3分) 

パレット柏の地図

■家族信託がなぜ認知症対策として注目されているのか?

■家族信託をすると財産管理がどのように変わるのか?

■家族信託の手続きはどのようにすれば良いのか?

などについて分かりやすく解説します。   ※このセミナーの受付は締め切りました。

完済したはずなのに抵当権の登記が残っている?

2019-06-19

いざマイホームを売却しようというときに、仲介を依頼している不動産屋さんから「抵当権が残っていますよ。完済しているのであれば早く抹消手続きをしてください。」と言われて慌てることがあります。

ご本人としては「何年も前に住宅ローンの返済は終わっているはずなのに抵当権残っているなんて・・」とそのまま司法書士事務所に相談にいらっしゃる方もいます。

住宅ローンの支払が全て終わると、ローン会社や銀行(抵当権者)から抵当権抹消登記手続に必要な書類が交付されます。

その書類をきちんと確認して抵当権抹消登記の手続をすれば良いのですが
「あぁやっと住宅ローンが終わった~」と安心して書類をそのままにしてしまう方もいます。

抵当権抹消登記手続に必要な書類としてローン会社や銀行(抵当権者)からは
■抵当権解除証書
■登記済証(登記識別情報)
■委任状
などが交付されますが、すぐに抵当権抹消登記手続をしないでいると上記のようにいざ不動産を売却しようとしても手続が止まってしまうことになりがちです。

特に
■抵当権解除証書
■委任状
については記載されている代表者(銀行だと頭取)がすでに交替してしまっていて代表者でなくなっているケースもよくあります。

この場合、
■抵当権解除証書
■委任状
を再発行してもらうとすると、すぐには対応してもらえないこともありますので事前に問い合わせるなどしてスケジュールを確認しておく必要があります。

また
■登記済証(登記識別情報)
はローン会社や銀行(抵当権者)が作成したものではなく法務局から発行されたものですので再発行はできません。

■登記済証(登記識別情報)をなくしてしまった、という場合は
通常の抵当権抹消登記申請手続とは別の手続で登記申請することになります。これが「事前通知による抵当権抹消登記手続」というものです。

「事前通知による抵当権抹消登記手続」

事前通知による抵当権抹消登記手続きの流れは以下のとおりです。

①ご本人がローン会社や銀行(抵当権者)に連絡をして「登記済証(登記識別情報)をなくしてしまった」旨を伝えます。そうすると、ローン会社や銀行(抵当権者)は、「事前通知による抵当権抹消登記手続」のために必要な書類を準備してご本人に交付してくれることになります。この交付してくれる書類のうち、通常の抵当権抹消登記申請手続とは異なる書類としては、ローン会社や銀行(抵当権者)の印鑑証明書があります。

②そのあとは法務局に抵当権抹消登記手続を申請します。

③登記申請を受け付けた法務局は、ローン会社や銀行(抵当権者)に対し、本人限定郵便で、「このような登記が申請されていますが、申請の内容が真実である場合は、通知を発送した日から2週間以内に委任状に押印した印を押印して、窓口に持参するか郵送してください」という内容の通知を発送します。

④③の通知を受け取ったローン会社や銀行(抵当権者)が、回答書を期限内に法務局に返送すれば確認されると、抵当権抹消登記が完了します。
もし回答期限内にローン会社や銀行(抵当権者)が回答書を返送しないと、抵当権抹消登記申請は却下されてしまいます。

(参考) 銀行やローン会社から書類の再発行をしてもらわずに昔交付された
■抵当権解除証書
■登記済証(登記識別情報)
■委任状
をそのまま利用して抵当権抹消登記手続きをする方法もあります。
不動産登記法第17条の規定(代理権不消滅)を利用した方法です。
ただこの規定は、当時の代表者(すでに退任しているはずです。)が今回登記申請をする人(本人又は司法書士)に在任当時、委任をした事実がないと利用することはできません。

このように住宅ローンを完済したのに、抵当権抹消登記手続をしないでいると手間のかかることになってしまいますので早めに手続きをすませた方がよいということになります。

小川直孝司法書士事務所では、「完済したはずなのに抵当権の登記が残っている場合」の手続についてもご相談を受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

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