さまざまな賃料(家賃)回収の法的手段

大家さん(オーナーさん)が、家賃を滞納している賃借人から滞納家賃の回収をしたいと考えたとき、どんな選択肢があって、そのうちどの方法を利用すれば一番効率的に目的達成ができるのかを知っておくことは、今後同じような場面に出くわしたときにも応用できるはずですからとても大切なスキルになってきます。

前提としてあたりまえのことですが、賃料(家賃)というのは、大家さん(オーナーさん)が、その賃貸物件を借りている賃借人に対して請求する金銭債権、つまり「●●円を支払ってください!!」と請求できる権利です。

その権利を行使するために何ができるか、というと任意で請求するか、裁判所の手続きを利用して請求するかのどちらかしかありません。

具体的に賃料回収の選択肢としては以下のようなものがあります。ちなみに必ず以下の項目を順番にすべて進めていかなければならないという訳ではありません。事案ごとにどの方法をどのタイミングで選択するかを判断します。

  • 手紙で「支払ってください。」と請求する方法
  • 内容証明郵便で「支払ってください。」と請求する方法
  • 支払督促を利用する方法
  • 少額訴訟を利用する方法
  • 通常訴訟を利用する方法

 

【手紙で「支払ってください。」と請求する方法】

大家さんが賃借人の家賃滞納を認識したら、通常ですと賃借人に対し、電話またはお手紙で「家賃支払いが遅れていることの催促」をすることでしょう。ここでいう請求はまさにこのことです。

司法書士が大家さんから委任を受けて支払いを催告する書面を送ることもありますが、当事務所では次に挙げる内容証明郵便で通知することもあります。

 

【内容証明郵便で「支払ってください。」と請求する方法】

内容証明郵便で家賃支払いが遅れていることの通知をする場合、その通知だけでは上のお手紙とあまり違いがなくなってしまいます。内容証明郵便で家賃を滞納している賃借人に通知をする場合は、滞納家賃の回収実現に向けた法的要件を満たすために必要な事項を漏れなく記載することが大事です。

特に後に挙げる支払督促、少額訴訟、通常訴訟でものちのち証拠資料としてこの内容証明郵便が利用されるので何度も出し直すことのないように注意が必要です。

※内容証明郵便についてのページ

 

【支払督促を利用する方法】

支払督促は、簡易裁判所の書記官によって金銭の支払いを債務者に命じてもらう手続きです。少額訴訟や通常訴訟と違って「書面審査」で簡易裁判所から「支払督促」という書面が債務者宛に届きます。

債務者に支払督促が届いた後、債務者が何も異議を述べないでいると申立をした債権者は強制執行をするための準備に取りかかることができるため、少額訴訟や通常訴訟よりも手軽に債権回収ができます。

しかし、債務者から支払督促に対して異議が出されると、支払督促は自動的に通常訴訟手続に移行することになります。

この支払督促を滞納家賃の回収の場面に当てはめると、債務者は家賃(賃料)を滞納している賃借人になりますが、この賃借人が支払督促を簡易裁判所から受け取った場合、異議を出すことが予想される場合(賃料を支払わないことや賃貸借契約の内容に争いがあるなど)は、支払督促を利用しても結局通常訴訟に移行してしまうので、あまり意味がないということになります。

また滞納家賃の回収だけではなく賃貸物件の明渡し請求も必要な場合は、支払督促は利用できません。支払督促は金銭の支払請求だけを対象としているからです。

 

【少額訴訟を利用する方法】

少額訴訟は、簡易裁判所において60万円以下の金銭の支払い請求を目的とする手続きですから未払家賃(賃料)の支払いを求める場合にも利用できます。

通常訴訟手続と異なり、1回の審理だけ終わるという特徴があり迅速な裁判が期待できますが、少額訴訟を利用することについて相手から異議が出ると通常訴訟手続に移行するのは支払督促と同じです。賃貸借契約の内容等に争いがあるような場合は利用価値に乏しい制度といえます。

 

【通常訴訟を利用する方法】

通常訴訟は、裁判所に訴状を提出して紛争解決のために権利の存否等を求める手段です。未払賃料(家賃)回収のために通常訴訟を利用するには、大家さん(オーナーさん)にその請求をする権利があることを認めてもらうために主張・立証をしっかり行う必要があります。

訴状だけを裁判所に出しても、主張・立証が不十分だと未払賃料(家賃)回収が実現できない場合もあります。

通常訴訟で未払賃料(家賃)回収を目指すためには事前の準備がとても重要です。当事務所の司法書士は簡易裁判所での訴訟代理権を有する法務大臣認定司法書士です。

 

【まとめ】

このようにひとくちに賃料(家賃)回収といっても選択肢はさまざまで、実際のケースで何が一番最適な方法なのかを判断する前に専門家のアドバイスを受けることを強くお勧めします。特に賃料回収の手続き経験が豊富な司法書士に依頼された方が適切な手段を提案できます。小川直孝司法書士事務所では滞納家賃の回収や賃貸物件明渡しの相談・お見積もりは無料です。お気軽にお問い合わせください。

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