Author Archive
遺贈があったら登記をしておく
相続登記と遺贈の登記が違う点はいろいろありますがその1つについて説明します。
遺贈とは、遺言によって他人に財産を与えることを指します。
遺贈には2種類あります。包括遺贈と特定遺贈です。
包括遺贈は、遺言する人の全財産に対する割合を定めて他人に財産を与える方法です。
特定遺贈は、遺言する人の全財産ではなく、目的物を指定して他人に財産を与える方法です。
包括遺贈で財産を与えるとされた人(受遺者)は、包括受遺者と呼ばれます。
包括受遺者は、遺贈をした人の戸籍上の法定相続人ではない第三者であっても、相続人の同じような権利義務をもつとされています。
つまり通常の相続が発生したのと同じような状態になるということです。
通常の相続ですと、たとえば自宅の登記名義を何年もそのままにしていたというケースもよく見聞きします。
また万が一、他の共同相続人が勝手に民法の法定相続分にしたがった共同相続の登記をしたからといって、登記された自分の法定相続分が第三者に移転してしまうということは犯罪でもない限り考えられません。
しかし、相続人の同じ権利義務をもつとされている包括遺贈の場合は、その遺言書を使って遺贈による所有権移転登記をしておかないと第三者に対抗できないとした裁判例(東京高等裁判所昭和34年10月27日判決。所有権確認等請求事件 )もあります。
この判決文では、「民法第177条によりその遺贈による所有権取得の登記をしなければその 取得を以て第三者に対抗することができない」という表現になっています。
ということで、もし自分に包括遺贈がされたことを知ったらなるべく早く登記手続きを進めたほうが良いでしょう。
特定遺贈の場合は、目的物を指定して財産を与えられますから、遺言であっても財産を与えるという効果自体、生前に贈与が行われるのと同じことなので、遺贈の目的物が不動産の場合ですと、やはりきちんと登記をしておかないと第三者に対抗できなくなってしまいます(最高裁判所昭和39年3月6日判決。第三者異議事件)。
この判決文では、「遺贈は遺言によつて受遺 者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限と するものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与 と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を 原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じない」という表現になっています。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家族信託専門士
家族信託普及協会の家族信託専門士研修を受講しました。
無事に研修を修了し家族信託専門士の認定証もいただけました。
家族信託を一般の方に安心して利用していただくために今後とも研鑽に励んでいきたいと思います。


千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家族信託のセミナー

1月27日に「家族信託と実家の土地の上手な活用セミナー(主催:旭化成ホームズ)」で家族信託について講師を務めさせていただきました。
きちんとしたセミナールームでさすが大手のハウスメーカーさんという感じでした。
5つのケーススタディとして
・認知症対策としての家族信託
・共有不動産のトラブル回避
・高齢者オーナーの資産管理
・相続対策としての建物建築
・家督相続と孫への資産承継
を紹介して家族信託と成年後見、遺言の違いについても解説させていたただきました。
家族信託のお話をする場合、成年後見(、任意後見)制度や遺言について説明が必須ですし、司法書士もそれらに精通していないと専門家を名乗れないところがありますが、セミナーの参加者の方たちもすでにご自身でかなり情報収集をされている印象がありました。
私としては第2部の土地の上手な活用セミナーで紹介された特定空き家のお話が興味深かったです。
特定空き家については後日あらためて紹介したいと思います。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家庭裁判所の審理期間
成年後見、保佐、補助の申立書を家庭裁判所に提出してから、実際に成年後見人、保佐人、補助人が選任されるまでどれくらい時間がかかりますか?と審理期間についてお問い合わせを頂くことがあります。
審理期間については最高裁判所の家庭局が統計を出しています。「成年後見事件の概況」(裁判所のウェブサイト)
平成28年1月から12月までのデータによると成年後見関係事件の終局事件合計が3万4,346件でそのうち
1ヶ月以内に終局したものが全体の45.5%
1ヶ月を超えて2ヶ月以内に終局したものが全体の31.9%
2ヶ月を超えて3ヶ月以内に終局したものが全体の12.0%
3ヶ月を超えて4ヶ月以内に終局したものが全体の約5.3%
4ヶ月を超えて5ヶ月以内に終局したものが全体の約2.4%
5ヶ月を超えて6ヶ月以内に終局したものが全体の約1.2%
6ヶ月を超えて終局したものが全体の1.7%
となっています。
全体の7割以上が「申立をしてから2ヶ月以内」に手続きが終わっているようです。
個人的には成年後見制度がスタートした頃からするとかなり短かくなったという印象があります。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
相続登記で被相続人の同一性を確認するための書類
相続登記では、登記記録に記載されている人と亡くなった人が同一人物であるかどうか、つまり被相続人の同一性確認のために、被相続人の戸籍謄本に記載されている氏名・本籍と、登記記録上の氏名・住所が同一かどうかを証明する必要があります。
被相続人の本籍と登記記録に記載されている本人の住所が同じなら、戸籍謄本が被相続人の同一性を確認するための書類となります。
本籍と登記記録に記載されている住所が異なる場合は、住所を確認するために本籍の記載のある住民票の除票や戸籍の附票によって証明する必要があります。
このような住民票の除票や戸籍の附票の他にも、所有権に関する被相続人名義の登記済権利証を提供しても良いとされています(平成29年3月23日付法務省民二第175号)。
住民票の除票や戸籍の附票は、亡くなってから5年以上経過すると取得することができなくなってしまうことがほとんどなので、そのような場合には、所有権に関する被相続人名義の登記済権利証を利用すると便利です。
もし所有権に関する被相続人名義の登記済権利証もなくしてしまっていて提出できないという場合には、固定資産税評価額証明書や上申書等の書類で代用することになりますが、事前に法務局に相談しておくなどの対応が必要になります。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
「遺言による信託」と「遺言信託」
信託というと、財産を託す人と財産を託される人、委託者と受託者との間の「契約」であって、登場人物は二人以上必要、というイメージがあるかもしれませんが、遺言によって信託を設定することもできます。用語としては、「遺言による信託」です。遺言は単独行為ですから、一人で行うものです。
いっぽうで、銀行や信託銀行の前を通るとチラシやポスターで「遺言信託」という言葉を見かけることがあると思います。
この「遺言信託」は、家族信託でいう「遺言による信託」とはまったく違うものです。
司法書士事務所に信託の相談に来られる方の中にも、この点について勘違いをされている方がいらっしゃるのですが、銀行などで扱っている「遺言信託」というのは「商品名」として使用されているもので、信託法でいう「信託」のことを指しているわけではありません。
銀行などで扱っている「遺言信託」は、私の知る限り、銀行が、お客さんの遺言書の作成のサポートをしたり、作成された遺言書の保管をしたり、実際に遺言書を作成した人が亡くなった際の遺言執行をするサービスを指しています。遺言執行にあたり相続税の申告が必要な場合は、提携先の税理士を紹介されます。税理士の相続税理申告代理手数料は、この遺言信託の手数料には含まれず別途かかるようです。
遺言書の作成のサポート、作成された遺言書の保管、遺言執行者の引き受けは、いずれも銀行だけが取り扱うことのできる仕事ではありません。
私のような司法書士や弁護士でもごく普通の業務として携わっている仕事になります。
ちなみに同じく銀行の窓口などで見かける「遺産承継業務」も、司法書士や弁護士が業務として扱っている仕事です。
銀行口座を持っている人が遺言書を作りたいというタイミングが合えば、銀行の人にそのまま遺言書作成のサポートをお願いする、というのが銀行で扱っている「遺言信託」という「商品名」です。
銀行口座を持っている人が亡くなったということで、相続人の方が銀行の窓口でその申し出をした際に、ついでに遺産承継業務をそのまま銀行に頼む、というのが銀行で扱っている「遺産承継業務」という「商品」です。
いずれも「信託法」でいう「信託」とは全く違うものです。
どうしても「信託」ということばを結びつけるならば、「遺言信託」は「遺言書を作成してそれを銀行に預ける(信託)」というイメージなのでしょうか。
「遺言信託」で銀行に遺言書を保管してもらうにも保管料がかかります。
遺言書をつくった人以外の人に遺言書を保管してもらわなくても、万が一その人が遺言書を失くしてしまったら、公正証書遺言であれば公証役場で原本は保管されていますから
その謄本を発行してもらうことができます。
また日本公証人連合会では、遺言書検索システムがありますので、昭和64年1月1日以後に公正証書で遺言を作成した分については検索が可能になっています。
これらのことも踏まえて遺言書の作成、遺言執行、家族信託など財産の承継について考える場合は、それらの内容と共に、どこに何のサポートを依頼していくのが良いのかを検討していく必要があります。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
平均寿命
平成29年7月2日に厚生労働省から発表された「平成28年簡易生命表の概況」によりますと、男性の平均寿命は80.98年、女性の平均寿命は、87.14年だそうです。
男女ともに過去最高(男性80.75年、女性86.99年、ともに平成27年)を更新しているとのことです。
「平均寿命」といってもいま0歳の人の平均余命のことを指しているのであって、たとえばいま生きている私の余命が80.75歳まであるというわけではありません。
ただこの簡易生命表のデータを見ていくと、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるかという期待値などが掲載されています。
確実に言えることは、超高齢社会の中で自分はどのように生きていくか、65歳以上の5人に1人が認知症有病者になると言われている中で、どのように支えあっていくか少なくとも成年後見業務を遂行している立場の者としては、一般の方々よりは積極的に深く考えて立ち居振る舞いをしていかなければならないと感じている年末です。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家族信託と登録免許税
家族信託を利用して不動産を信託財産に組み入れる場合、所有権移転と信託の登記を申請することになります。
その場合の登録免許税は、原則として固定資産税評価額の0.4%です。土地については平成31年3月31日までは0.3%になっています。
通常の所有権移転登記の場合、登録免許税は2%ですから信託の登記を申請する場合、通常の所有権移転登記より低額になります。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家族信託と贈与税
家族信託では贈与税がかからないと言われることがあります。
結論から言うと「かからない場合もあるし、かかる場合もある。」ということになります。
信託では、「委託者」と「受託者」と「受益者」が登場するわけですが、委託者と受益者が同一人物である場合には、実質的に財産(利益)の移転はないため、贈与税の対象にはなりません(自益信託)。
これに対し、委託者と受益者が異なる場合は、信託契約を締結した時点で、委託者から受益者に財産が移転したとみなされますので、贈与税の対象になります(他益信託)。
家族信託においては、自益信託(委託者と受益者が同一人物である場合)を念頭に進めていくことがほとんどですから、家族信託契約をした途端に贈与税がかかるといったことはないでしょう。
しかし、税務面を考慮しないで安易に家族信託を組成してしまうと思わぬところで「こんなはずじゃなかった。」ということになってしまいますので注意が必要です。
家族信託を考える際には、受益者を誰にするか、どのような順序で受益者を並べるかが贈与税の面からも重要なポイントになってきます。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
市立柏の吹奏楽部チャリティーコンサート

柏市立柏高校の吹奏楽部のチャリティーコンサートに行ってきました。今年も各コンクールやコンテストで五冠を達成したとのことですが、それはそうでしょうと思えるほどで、とても高校生たちの演奏とは思えないほど素晴らしい内容のものを見せてもらえました。
あれだけの演奏を披露できるようにするためには、尋常ではない量の練習を毎日積み重ねてきているはずで素人の私は、ただただ感心するばかりでした。
もともと吹奏楽にはまったく興味のなかった私ですが、ここ数年知人に誘われて市立柏のチャリティーコンサートを見に行くようになりました。
今回改めて驚いたのは、ホールの後ろから入って来た吹奏楽部員の方たちの表情でした。私たち観客は、間近で彼らを目にすることになるわけですが、照明の暗い階段を駆け下りるときも部員の皆さんは、きちんと顔をあげてキリッとした表情で演奏・演技をされていました。演奏能力はもちろん、意識の高さを感じましたし、それが二百数十名の部員の方たちに共有されているようにも感じられ、ここに来るまでどれだけ練習してきたんだろうかと思いました。全く関係ない分野ですが自分も毎日の仕事を頑張らないといけないなぁと思い知らされた次第です。
市立柏高校吹奏楽部以外の演奏を知らない私ですが、すぐ近くでこのような素晴らしい演奏を観られるというのは幸せなことです。高校や先生はもちろん、後援会や柏市、柏市社会福祉協議会などもバックアップして成り立っている市立柏吹奏楽部は、最近はテレビなどでも取り上げられることの多くなりました。まだ実際にご覧になったことのない方は、是非一度その演奏を見に行っていただきたいです。
来年春には、招待で中国に遠征するとのことですが旅費は市立柏吹奏楽部が負担するそうなので募金も受け付けているそうです。アップした写真は柏音楽大使任命式の様子で公開可とのことでした。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
