Archive for the ‘遺産承継’ Category
遺言書を作っておいた方が良いケースとは?
遺言書は作るのも作らないのも本人の自由ですが、故人が「遺言書を作っておいてくれて良かった」というケースがあります。
よく目にするのがご夫婦の間に子供がいないというケースです。
①夫Aが遺言を遺さずに死亡した場合
Aの遺産は、法定相続人BCDで話し合い(遺産分割協議)をして誰が何を取得するかを決める必要があります。
妻Bは、夫Aの姉・兄に話を持ちかけなければなりません(遺産分割協議の申入れ)。
夫Aの生前からCDらとある程度交流があれば問題は生じないかもしれません。
逆にCDらと交流がなかったり、あまり良い関係ではないという場合は、連絡を取るのも気が引けるという方もいるようです。
実際に連絡を取ってみたけれど
「何も返事がない」、「取り分を要求された」、「弁護士から連絡が来た」などという事態となり、
精神的負担とともに時間・費用がかかることがあります。
②夫Aが遺言で「全財産を妻Bに相続させる」と遺して死亡した場合
Aの遺産は、遺言書の内容に従い妻Bに帰属することになります。
Aの姉・兄の同意や印鑑証明書を取り付ける必要はありません。
Aの姉・兄には遺留分もありませんから後日「遺留分侵害額請求」をされる心配もありません。
遺言書があるとないとで①と②のように妻Bの環境は大きく異なることになります。
この記事の冒頭にも記載したとおり、遺言書を作るのも作らないのも本人の自由なのですが
①と②のような違いを生じさせることになるのが遺言書であるということは知っておいていただきたいところです。
相続放棄をしたら生命保険金はもらえない?
夫が生前、妻を受取人として生命保険をかけていました。
夫が死亡し、妻は相続放棄の手続きを家庭裁判所で行いました。
妻は、相続放棄をしたので上記生命保険金を受け取ることはできないでしょうか?
夫が契約していた生命保険契約は、夫が死亡したら妻が保険金を受取ることができる受取人に指定したものです。
妻は夫の死亡により保険金請求権という妻固有の権利を取得することになります。
これは夫の死亡を原因として取得する権利ではありますが、
あくまで妻固有の権利であって夫の遺産ではありません。
よって妻はたとえ亡夫について相続放棄をしていたとしても自分が受取人になっている生命保険金を受け取ることができます。
相続放棄についてはこちらのページをご覧ください。
自筆証書遺言保管制度について
日本財産管理協会の登録更新
遺産管理業務その他の財産管理業務をおこなうのに必要なスキルを身につけるため、一般社団法人日本財産管理協会の登録更新研修を受講し、登録証が交付されました。
「財産管理マスター」という名称を使って良いとのことですが、過去には使用した経験も機会もありませんでした。
平成34年まで有効とのことですが、それまでの間も研修を受けてスキルアップに励みたいと思います。
遺産分割協議書の取り交わし
相続登記を申請する場合、遺産分割協議書を作成して民法に定める法定相続分とは異なる割合で、特定の相続人に名義を変更することが多いと思います。
遺産分割協議書の形式として、1枚の遺産分割協議書に相続人全員が署名・実印を押して完成させる場合と、相続人が各自1枚ずつ「遺産分割協議証明書」に署名・実印を押して完成させる場合があります。
「1枚の遺産分割協議書に相続人全員が署名・実印を押す」形式ですと、相続人全員が一同に集まって1枚の遺産分割協議書に署名・実印を押すとか、「持ち回り」で相続人どうしで順番に遺産分割協議書に署名・実印の押印をしていくとかになります。「法事などの機会に」という場合は、事前に実印を持ち寄ってもらうということになりますがどうしても手間がかかることになります。
そこで「遺産分割協議証明書」として、相続人が各自1枚ずつ「遺産分割協議証明書」に署名・実印を押して完成させる方法をとるケースもあります。
相続人各自から「遺産分割協議証明書」に署名・実印の押印していただく形ですと、相続人に全員集まってもらって署名・実印を押してもらう必要はありませんし、遺産分割協議書の持ち回りのやりとりも必要ありません。各相続人が遺産分割協議証明書に自分だけ署名・実印の押印をすれば足りることになりますので、司法書士と各相続人とのやりとりだけで済むということになります。
遺産分割協議書も遺産分割協議証明書も効力は全く同じです。
相続登記や遺産承継業務に付随して司法書士も遺産分割協議書の作成を承っておりますのでお気軽にご相談ください。