任意後見契約と死後事務委任契約は別
【任意後見契約】
いまは元気で何でも自分でできるけど、もし認知症などで判断能力がなくなってしまった場合、自分で預貯金の管理や賃貸借契約の手続きができなくなったり、入院や施設入所の手続きができなくなることが考えられます。
このような場合に困らないように、いまのうちから後見人を自分で選んでおくことができます。
そのような自分で後見人を契約で選んでおくことを「任意後見契約」といいます。
【任意後見人の仕事は死亡時まで】
認知症になった場合に備えて任意後見人を選んでおけば、「死後事務」についても任意後見人にやってもらえると思われるかもしれませんが任意後見契約と死後事務委任契約は「別の制度」で「適用場面も異なります」から「任意後見人」という立場だけでは「死後事務」はカバーできません。
【死後事務の例】
死後事務の例としては以下のようなものがあります。
○死亡届の提出
○友人や親族など自分のことを知らせたい人たちへの連絡
○葬儀や火葬、納骨についての手続き
○電気・ガス・水道・携帯電話などの公共料金の解約手続き
○施設を利用していた場合は、施設利用契約の解約手続き
○病院で亡くなった場合は、入院費用の精算手続き
○身の回りの遺品整理
【任意後見事務の例】
任意後見事務の例としては以下のようなものがあります。
○預貯金の管理
○不動産の管理
○役所に対する手続き
○施設利用料の支払い
○医療費の支払い
○入院手続き
○身の回りのこと
【まとめ】
●任意後見契約は本人が死亡すると、終了してしまいますので任意後見人は死後事務委任契約を別途締結していない限り、死後事務を遂行することはできません。
●また任意後見契約は、委任した人が認知症などにならないと効力が発生しませんから、認知症にならないまま死亡した場合は、やはり任意後見人は死後事務を遂行する立場に成り得ません。
このように任意後見契約と死後事務委任契約は別のものです。
死後事務を誰かにやってもらいたい場合は、死後事務委任契約を締結しておく必要があるということになります。
小川司法書士事務所では、
●任意後見契約
●死後事務委任契約とも
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