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家族信託入門セミナー第2回目
介護事業者向けの家族信託入門セミナーの第2回目を開催しました。前回の復習を兼ねて成年後見制度などとの違いや家族信託の手続きの流れをお話しさせていただきました。セミナールームの場所がわかりにくかったようでお越しいただいた方にはご迷惑をおかけしてしまいました。自分でも数日前に信託の研修を受けてきた身ですが一般の方に分かりやすくフィードバックできればと考えております。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
建物明渡請求事件の研修
東京司法書士会の民事裁判実務研修を受講してきました。
私は千葉司法書士会の所属なので他会からの参加になります。
テーマは「建物明渡請求事件を中心とした簡裁訴訟手続」でした。
建物明渡請求事件は、当事者が死亡していたり、行方不明になっていたり、占有状態が入り組んでいたりと権利関係が複雑なケースがあります。
今回の講師の先生は元裁判所書記官ということもあり実務に沿ったとても分かりやすい内容でした。

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相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
個人が相続によって土地の所有権を取得したのに、相続の所有権移転登記をしないまま死亡した場合、その死亡した人の名義にする登記については登録免許税がかからないことになりました(租税特別措置法第84条の2の3第1項)。
適用期間は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間とのことです。
このような規定ができたのは、相続登記が未了のまま放置されることが多くなっていることへの対応策のようです。
具体的に現在生きている人の誰が財産を取得するかは話し合いが付いていないけど、その前の代の名義(自分たちの亡父母など)にすることまでは話が付いているような場合には、利用できる制度なのかもしれません。

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高齢者職権消除の取り扱い
成年後見業務や相続登記業務で戸籍謄本や除籍謄本を目にする機会が多いのですが、戸籍上では生存していることになっているけれども、生年月日から推測すると明らかに生存しているわけないでしょうという年齢に達しているのに死亡の記載がなく、住民登録も消除されていて戸籍の附票にも記載がないケースがあります。
戸籍上の生年月日から推定すると、どうみても生存しているとは思われないような場合には、役所が職権で死亡した旨を戸籍に記録する運用があります(平成2年3月1日法務省民事局二課通達)。
この場合、戸籍に死亡の記載がされても戸籍行政上の便宜的な取り扱いなので法律的に死亡したということにはなっていません。
なので戸籍に高齢者職権消除の記載がされただけでは、相続が開始したとはいえず相続登記も進められないことになります。
この理由としては、被相続人の戸籍に死亡の記載がなされても単に戸籍行政上の便宜によるもので失踪宣告のような法的効果を生ずるものでないからと考えられています。
つまり、戸籍上で高齢者職権消除の処理がされただけでは、相続登記はできないということは気をつけておかなければなりません。
では法的にその人が死亡したと認めてもらうためにはどうしたら良いかということになりますが、
考えられる方法としては3つで、
1.失踪宣告の制度を利用するか、
2.死亡届を提出できるかを検討するか、
3.戸籍法第89条の規定による死亡の報告によるか
になります。
戸籍を見ていて「高齢者につき死亡と認定平成30年2月4日許可同月日除籍」という記載があったら要注意です。

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受託者が死亡した場合
家族信託で「委託者」から財産を預かり管理・運用していく立場の「受託者」が死亡してしまったとしても、その「信託」は終了しません。
■信託法第56条第1項第1号をみると、受託者が死亡すると、受託者の「任務が終了する」旨が規定されていますが、「信託が終了する」とは規定されていないことからも明らかです。
■また受託者としての地位は相続の対象にはならないので、受託者の相続人が受託者の地位を承継するわけではありません。
■さらに信託財産は、受託者個人の財産ではありませんから、受託者の相続財産には含まれません。
■信託法第60条第1項、2項では、家族信託で受託者が死亡して「受託者の任務が終了」した場合、その相続人の義務として、知れたる受益者に死亡の旨を通知したり、新受託者が信託事務を引継ぐまで信託財産を保管すべき旨を定めています。
これらのことからも信託法は、受託者が死亡したことをもって直ちに信託が終了するとは考えていないことが分かります。
それでは、受託者が死亡すると、家族信託自体はどのような状態になるのでしょうか。
■最初に決めた信託契約や遺言による信託の定めの中で、当初の受託者が死亡した場合に備えて、つぎの受託者(第二次受託者)の指定があれば、その人が家族信託の引受けをして受託者としての任務を引き継ぐことになります。
■信託契約や遺言による信託の定めの中で、当初の受託者が死亡した場合、つぎの受託者(第二次受託者)の指定がなかった場合や、第二次受託者の指定があっても、その人が受託者の任務を引き受けなかった場合は、委託者と受益者との合意で、新しい受託者を選任できます(信託法第62条第1項)。この時点で受益者と合意する委託者自身もいないという場合は、受益者が単独で受託者を選任することができます(信託法第62条第8項)。
■信託契約や遺言による信託の定めの中で、「受託者がいなくなったときは、受益者が受託者を指名する。」旨を定めておくこともできますので、委託者と協議する必要もなくなります。この時点で委託者が認知症になっているような場合でもスムーズに新しい受託者を決めることができるわけです。
■仮にこのようなルートを辿ることがなくても必要な場合は、利害関係人の申立によって裁判所から新受託者を選任してもらうこともできます(信託法第62条第4項)。
このように受託者が死亡しても、次の受託者を選任するための手続きがあるのですが、受託者が死亡してもそのまま放置してつぎの受託者も就任しない状態が1年間継続してしまうと、せっかく組成した信託自体が終了してしまいますので注意が必要です(信託法第163条第3号)。
家族信託では、委託者のために信託契約を組成しているわけで、受託者が死亡したことだけで信託契約自体を終了させるのは、本来の信託の目的からは考えられないと思いますので、受託者が死亡しても家族信託が存続できるように、次順位の受託者を定めておくのが委託者にとって一番安心なのではないでしょうか。

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遺贈があったら登記をしておく
相続登記と遺贈の登記が違う点はいろいろありますがその1つについて説明します。
遺贈とは、遺言によって他人に財産を与えることを指します。
遺贈には2種類あります。包括遺贈と特定遺贈です。
包括遺贈は、遺言する人の全財産に対する割合を定めて他人に財産を与える方法です。
特定遺贈は、遺言する人の全財産ではなく、目的物を指定して他人に財産を与える方法です。
包括遺贈で財産を与えるとされた人(受遺者)は、包括受遺者と呼ばれます。
包括受遺者は、遺贈をした人の戸籍上の法定相続人ではない第三者であっても、相続人の同じような権利義務をもつとされています。
つまり通常の相続が発生したのと同じような状態になるということです。
通常の相続ですと、たとえば自宅の登記名義を何年もそのままにしていたというケースもよく見聞きします。
また万が一、他の共同相続人が勝手に民法の法定相続分にしたがった共同相続の登記をしたからといって、登記された自分の法定相続分が第三者に移転してしまうということは犯罪でもない限り考えられません。
しかし、相続人の同じ権利義務をもつとされている包括遺贈の場合は、その遺言書を使って遺贈による所有権移転登記をしておかないと第三者に対抗できないとした裁判例(東京高等裁判所昭和34年10月27日判決。所有権確認等請求事件 )もあります。
この判決文では、「民法第177条によりその遺贈による所有権取得の登記をしなければその 取得を以て第三者に対抗することができない」という表現になっています。
ということで、もし自分に包括遺贈がされたことを知ったらなるべく早く登記手続きを進めたほうが良いでしょう。
特定遺贈の場合は、目的物を指定して財産を与えられますから、遺言であっても財産を与えるという効果自体、生前に贈与が行われるのと同じことなので、遺贈の目的物が不動産の場合ですと、やはりきちんと登記をしておかないと第三者に対抗できなくなってしまいます(最高裁判所昭和39年3月6日判決。第三者異議事件)。
この判決文では、「遺贈は遺言によつて受遺 者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限と するものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与 と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を 原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じない」という表現になっています。

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家族信託専門士
家族信託普及協会の家族信託専門士研修を受講しました。
無事に研修を修了し家族信託専門士の認定証もいただけました。
家族信託を一般の方に安心して利用していただくために今後とも研鑽に励んでいきたいと思います。

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家族信託のセミナー
1月27日に「家族信託と実家の土地の上手な活用セミナー(主催:旭化成ホームズ)」で家族信託について講師を務めさせていただきました。
きちんとしたセミナールームでさすが大手のハウスメーカーさんという感じでした。
5つのケーススタディとして
・認知症対策としての家族信託
・共有不動産のトラブル回避
・高齢者オーナーの資産管理
・相続対策としての建物建築
・家督相続と孫への資産承継
を紹介して家族信託と成年後見、遺言の違いについても解説させていたただきました。
家族信託のお話をする場合、成年後見(、任意後見)制度や遺言について説明が必須ですし、司法書士もそれらに精通していないと専門家を名乗れないところがありますが、セミナーの参加者の方たちもすでにご自身でかなり情報収集をされている印象がありました。
私としては第2部の土地の上手な活用セミナーで紹介された特定空き家のお話が興味深かったです。
特定空き家については後日あらためて紹介したいと思います。

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家庭裁判所の審理期間
成年後見、保佐、補助の申立書を家庭裁判所に提出してから、実際に成年後見人、保佐人、補助人が選任されるまでどれくらい時間がかかりますか?と審理期間についてお問い合わせを頂くことがあります。
審理期間については最高裁判所の家庭局が統計を出しています。「成年後見事件の概況」(裁判所のウェブサイト)
平成28年1月から12月までのデータによると成年後見関係事件の終局事件合計が3万4,346件でそのうち
1ヶ月以内に終局したものが全体の45.5%
1ヶ月を超えて2ヶ月以内に終局したものが全体の31.9%
2ヶ月を超えて3ヶ月以内に終局したものが全体の12.0%
3ヶ月を超えて4ヶ月以内に終局したものが全体の約5.3%
4ヶ月を超えて5ヶ月以内に終局したものが全体の約2.4%
5ヶ月を超えて6ヶ月以内に終局したものが全体の約1.2%
6ヶ月を超えて終局したものが全体の1.7%
となっています。
全体の7割以上が「申立をしてから2ヶ月以内」に手続きが終わっているようです。
個人的には成年後見制度がスタートした頃からするとかなり短かくなったという印象があります。

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相続登記で被相続人の同一性を確認するための書類
相続登記では、登記記録に記載されている人と亡くなった人が同一人物であるかどうか、つまり被相続人の同一性確認のために、被相続人の戸籍謄本に記載されている氏名・本籍と、登記記録上の氏名・住所が同一かどうかを証明する必要があります。
被相続人の本籍と登記記録に記載されている本人の住所が同じなら、戸籍謄本が被相続人の同一性を確認するための書類となります。
本籍と登記記録に記載されている住所が異なる場合は、住所を確認するために本籍の記載のある住民票の除票や戸籍の附票によって証明する必要があります。
このような住民票の除票や戸籍の附票の他にも、所有権に関する被相続人名義の登記済権利証を提供しても良いとされています(平成29年3月23日付法務省民二第175号)。
住民票の除票や戸籍の附票は、亡くなってから5年以上経過すると取得することができなくなってしまうことがほとんどなので、そのような場合には、所有権に関する被相続人名義の登記済権利証を利用すると便利です。
もし所有権に関する被相続人名義の登記済権利証もなくしてしまっていて提出できないという場合には、固定資産税評価額証明書や上申書等の書類で代用することになりますが、事前に法務局に相談しておくなどの対応が必要になります。

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