法定相続情報証明制度は、相続手続きに必要な被相続人の除籍謄本や相続人の戸籍謄本の束を1枚の証明書にまとめたものを法務局で発行してもらう制度のことを指します。
相続手続きにおいて、この「法定相続情報」が必須というわけではありません。
しかし、「法定相続情報」があると金融機関などでの手続きが戸籍謄本の束をボンッと渡してコピーをしてもらう従来の方式よりも早く進みます。
このページの目次
【法定相続情報について】
相続が発生すると、銀行や法務局、証券会社等で必ず要求されるのが「相続関係が証明できる除籍謄本や戸籍謄本」です。
これらは、亡くなった人(被相続人)の法定相続人が誰なのかを、金融機関や法務局で確認する必要があるために要求されています。
「相続関係が証明できる除籍謄本や戸籍謄本」としては、被相続人の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本が必要となります。
被相続人の出生時、つまり出生届にもとづいて記載された時の除籍謄本ですから、戸籍の筆頭者(昔の呼び名では戸主)は、被相続人の親や祖父母などになっているはずです。
また被相続人が結婚すると新しく被相続人かその配偶者が筆頭者になる戸籍謄本が新しくできますし、本籍地を別の場所に移す(転籍)をすれば新しく戸籍謄本ができます。
このように「相続関係が証明できる除籍謄本や戸籍謄本」、つまり被相続人の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本というと通常は、3通から4通くらいになりますが
何カ所も転籍していたり結婚・離婚・養子縁組などでもその都度戸籍が作成されるのでそれ以上の通数になってしまうこともよくあります。
そのため「戸籍の束」の状態になってしまうわけです。
法定相続情報制度ができる前までは、この「戸籍の束」を被相続人名義の財産がある銀行・証券会社・法務局に原本を提出し、法定相続人を確認してもらっていました。
銀行や証券会社ではこの「戸籍の束」をコピーして保管しているようなので当然時間も手間もかかります。
また銀行や証券会社によってですが戸籍謄本等の有効期限を設定しているところもありますから、A銀行、B銀行・・と手続きを進めている打ちにいつの間にか戸籍謄本の有効期限が過ぎてしまった、という事態もあります。
「法定相続情報証明制度」を利用すれば、このような手間と時間をかけずに相続手続きが進められるようになりました。
銀行・証券会社に対して「法定相続情報」という証明書を提出するだけで上記のような何通にもなる「戸籍の束」を提出しなくても良くなったわけです。
実際に銀行や証券会社の窓口で相続手続きをしてみると分かることですが、「戸籍の束」を提出して戻してもらうのはかなりの時間がかかります。
コピーを取ってもらうのは銀行や証券会社の人ですが、それを待っている時間、相続センターにいったん提出して原本を返送してもらうまでの日数を考えると
「戸籍の束」ではなく「法定相続情報」の証明書で済ませたほうがお手軽といえます。
【法定相続情報を取得するには】
「法定相続情報」を利用するには管轄法務局に対して、「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」という書類を提出します。
この「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」には、戸籍謄本・除籍謄本、法定相続情報一覧図、申出人の本人確認書類などを添付します。
法務局に「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」を提出して数日で「法定相続情報」の証明書が交付されます。
この証明書は無料で発行してもらうことができますし、必要応じて何通でも発行してもらうことができます。また後日再発行してもらうこともできます。
参考 法定相続情報に関する法務局のウェブサイト
当事務所に「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の作成代行、添付書類としての戸籍謄本・除籍謄本の取り寄せ代行もご依頼いただけます。
【法定相続情報証明制度の申出に必要な書類】
「法定相続情報証明制度」の申出を法務局に対して行う際の必要書類としては次のようなものがあります。
1.法定相続情報一覧図 相続登記の際に必要となる相続関係説明図と似ていますが、法定相続情報の場合は様式が少し異なります。詳しくは法務局のウェブサイトに説明があります。 |
2.被相続人の出生時から死亡時まで連続した除籍謄本 相続登記の場合は、被相続人が当時12歳くらいまでさかのぼれば手続きができますが、法定相続情報の場合は出生時までさかのぼったものが必要とされています。 |
3.被相続人の最後の住民票除票または戸籍の附票 |
4.相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)または戸籍抄本(一部事項証明書) 法定相続情報証明として相続人の住所も記載してほしい場合は住民票(または戸籍の附票等)が必要になります。 |
5.申出人の本人確認書類 住民票・戸籍の附票・申出人が自ら原本証明をした運転免許証のコピー等 |
★代襲相続の場合 →たとえば被相続人の長男が被相続人よりも先に死亡していて、その長男に子供(被相続人の孫にあたる人)がいる場合は、その長男について出生~死亡まで連続した除籍謄本が必要です。 |
★数次相続の場合 →たとえば被相続人の長男が被相続人より後に死亡していて、長男の法定相続人がいる場合は、その長男の法定相続人が証明できる戸籍謄本等が必要です。 |
★「法定相続情報証明制度」の申出を法務局に対して行うのを司法書士に依頼する場合は委任状が必要です。 |
【法定相続情報証明制度にかかる費用】
法務局に「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」を提出して「法定相続情報」の証明書が交付してもらうのは、ご自分で手続きをされるのであれば無料です。
当事務所に「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」の作成・提出・証明書の交付を依頼される場合の費用は以下のとおりです(消費税別)。
相続登記の手続きと同時に申し出を行う場合 | 1万円~(相続関係の複雑さによって加算されることがあります、) |
遺産承継業務と同時に申し出を行う場合 | 遺産承継業務に含まれますので司法書士の費用は別途かかりません。 |
【ご相談・お問い合わせ】
法定相続情報証明制度に関するご相談・お問い合わせは無料です。下記お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。