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【こんな人には家族信託がおすすめ!】
家族信託は次のような方にご利用いただきたい制度です。
- 自分のことで子供たちに迷惑を掛けたくない。
- 将来認知症になったとき、空き家になる自宅を売却して老人ホームの入所費用に充てたい。
- 親が認知症になっても家族だけでできる安心な財産管理の仕組みが欲しい。
- 相続が続くことで遺産が拡散してしまうことを避けたい。
たとえば・・・
- 実家で1人暮らしの親についてこれからの財産管理に不安を感じている。
- 両親が認知症になったら施設に入所することになるが実家を売却しないと入所費用が払えないが、認知症になったら実家売却が難しいと聞いて不安。
- 施設に入所するけど今は手放したくない。
- 高齢の親が持っているアパートの管理が不安。
- 障がいを持つ親族に財産を遺すつもりだが彼に遺産が渡った後、誰かがきちんと世話をしてくれるかが不安。
- 親族で共有名義になっている土地がある。
- 中小企業の事業承継を考えているが、税金面や跡継ぎを誰にするか分からないことが多いが会社の顧問に家族信託のことを聞いてもはっきりしない。
【家族信託とは】
家族信託とは、信託法という法律にもとづく「家族による財産管理の仕組み」のことです。
母Aが娘Bに自分の財産の一部の管理をお願いする契約をし、たとえ母Aが将来認知症になって意思表示ができなくなったとしても、当初の契約の内容に従って娘Bが母Aのために財産管理をし続ける、というイメージです(下図参照)。
ここで財産を託す母Aのことを信託法では「委託者」、財産の管理を託される娘Bのことを「受託者」、娘Bの財産管理によって利益を受ける人のことを「受益者」といいます。
ここでは「委託者」と「受益者」は同じ人物のAですが、用語も意味も異なります。
このように家族信託では、家族間の「契約」にもとづいて財産管理がなされますので、成年後見制度とは違い基本的に裁判所による関与はありません。
一方で、家族信託は信頼関係にもとづく契約による財産管理ですから、当事者は契約書の内容はもちろん、信託に関する法令をきちんと理解して正しく利用することが前提となります。また受託者の信託事務をチェックする立場の信託監督人や受益者代理人の設置も重要です。
このため家族信託を組成するためには家族信託に精通した専門家のサポートが必須となります。ただ家族信託は弁護士や司法書士などの法律専門職であれば誰でも取り扱っている訳ではなく、家族信託を得意としていない、取り扱ったことのない専門職もいます。また信託の「登記」は取り扱う専門家がさらに限られてきます。
当事務所では民事信託士・家族信託専門士の資格を有する司法書士が家族信託について親切丁寧にご案内をしてお客様の状況に即した適切な家族信託のプランをご提案します。
ご相談・見積もりは無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
【家族信託をすると何が変わるの?】
◆家族信託をすると、委託者の財産(信託財産)は、受託者に完全に移転します。
こう説明しますと「えーっ!、私(委託者)の財産は無くなっちゃうの?」と不安に思われる方もいるかもしれませんが信託の考え方としてはあくまで委託者の財産が受託者(財産を管理処分する人)に移転するということになります。
ただし、受託者に移転した信託財産は、受託者がもともと持っている固有財産とはきちんと区別して受託者が「信託の目的」に従って、「受益者」のために、管理・処分等をしていくことになります。これを分別管理義務や善管注意義務という用語で表現します。
つまり信託された財産というのは、委託者から受託者に完全に移転するので委託者の固有財産ではなくなる(委託者の固有財産から分離する)し、受託者の固有財産でもない(受託者が自分の好き勝手に使って良い財産でもない)という訳です。「信託は水の上に浮かぶ油」と表現されることもあります。
では信託財産は信託契約によってどこに行ってしまうのか?というと、家族信託契約で定められた「信託の目的」達成のためだけに信託財産は存在するということになります。
ということは、家族信託契約で一番大事なことは、「何のために信託をするのか?」=「信託の目的は何なのか?」ということになります。
たとえば信託の目的として「委託者が認知症その他の病気で意思表示ができなくなっても、安心して老後の生活か送れるようにする。」と定めてあればその目的達成のためだけに受託者は信託された財産を管理していく「義務」があることになります。
ここにこそ「認知症対策としての家族信託」の意義があります。
◆不動産についても家族信託契約をすると「所有権移転登記」という形式で登記をすることになります。
「売買」や「贈与」ではなく「信託」を原因として受託者に所有権が移転しますので登記簿にもちゃんと「信託」という登記原因が記載されます。
このような所有権移転登記がされることによって、信託契約に売却可能との定めがあれば受託者は自ら信託財産としての不動産を売却することができるようになります。
委託者が認知症になっていても実家の売却が可能になる「実家売却信託」がこれに当たります。
◆現金(金銭)についても、委託者から受託者に所有権が移転しますから、受託者はその現金を自分が元々持っている現金としっかり区別して管理していかなければなりません。
「現金を区別して管理する」というと、どういう方法が思い浮かぶでしょうか?
封筒を別にして管理? 金銭出納ノートをつけて管理?
法律で決められているわけではありませんが家族信託の実務では、信託契約後に銀行で「信託専用口座」という通帳を作ってもらい受託者はその口座で管理していくのが通常です。
家族信託に対応してくれる銀行や信用金庫などの金融機関も増えつつありますがまだ数は少ないです。また金融機関によって口座開設の際に手数料が必要なところや無料のところ、手続きにかかる手間と時間もさまざまです。家族信託をスタートする際にはこの点も専門家からアドバイスを受けておく必要があります。
ポイント!
- 家族信託をすると、信託財産の名義が受託者に移転する。
- 不動産は受託者名義に変更され、定めがあれば受託者が売却できる。
- 金銭は信託専用口座で管理する。
【家族信託を当事務所に依頼するメリット】
- 家族信託専門士、民事信託士の資格をもつ司法書士だから実務に精通していて安心。
家族信託(民事信託)契約は、委託者と受託者との間で取り交わされる契約ですが、民法・信託法などの法令をもとに締結されるものです。信託法の趣旨をしっかり理解しているのであれば、出回っている信託契約書のひな型に住所・氏名を当てはめて「はい、完成」ということはあり得ないわけで、そのご家族の状況に応じた法律関係を適切に信託契約書に反映させていく必要があります。
また家族信託(民事信託)では、受託者に完全に信託財産の所有権が移転するためどんなに家族間で信頼関係が構築されているからといっても、当事務所では受託者の財産管理をチェックする第三者が必要であると考えています。これが信託監督人や受益者代理人です。信託監督人や受益者代理人の存在を考慮せず信託契約を設計することは危険です。家族信託(民事信託)の相談先としては、この点を説明しているかどうかも重要な判断基準になると思います。 - 高齢のため事務所にまで来所できなくも自宅に出張相談が可能なので安心。
- 金融機関とのやりとりも司法書士が窓口になってくれるので安心。
- 登記手続きも司法書士が代理してくれるので安心。
- 信託契約後のアフターフォローもついているので安心。
- 信託契約後に相続税の申告が必要となった場合、信託を含む相続税に強い提携先の税理士を紹介してもらえる。
- 信託した不動産を売却する必要がある場合、売却の手配も依頼できる。
【家族信託を精通していない専門家に依頼すると生じうるデメリット】
- 家族信託契約にいたるまでスムーズに手続きが進まない恐れがある。
- 金融機関とのやりとりに不慣れでスムーズな口座開設ができない恐れがある。
- 信託の知識が欠けていると思わぬ課税処分や不利益を受ける恐れがある。
- 事前に信託についてきちんと理解をしてもらっていなかったために家族間で思わぬトラブルが発生する恐れがある。
家族信託を「成年後見制度を使わずに受託者が自由に委託者の財産を管理処分できるようにするための制度」としか理解していないまま家族信託の世界に突入してしまい、受託者による財産の浪費、使途不明金の支出等により家族間でトラブルが発生してしまったというケースも見聞きします。上で記載したような信託監督人・受益者代理人を設置していれば防げたトラブルだったかもしれないのに説明不足・理解不足だとすると「良かれと思って選択した家族信託」が悔やんでも悔やみきれない結果となることもあります。
ポイント! 家族信託に精通した専門家を選ぶ
【家族信託の流れ】
ご相談 |
当事務所でのご相談に際しては親切・丁寧を心がけております。 家族信託は、聞きなれない言葉が使用される分野です。お客様のご要望をお聞きしながら丁寧に制度の説明、プランのご提案をさせていただきます。個人情報の取扱にも細心の注意を払って、ご本人やご家族の今後の生活に最適な方法を一緒に考えていきます。 |
正式受任 |
家族信託の主人公である当事者の方に制度の内容・費用等をご理解いただき、納得していただいたら、家族信託設計に向けたサポートについて正式受任となります。 |
家族信託のプラン設計 |
司法書士がお客様からお聞きした情報やご希望をもとに、オーダーメイドで家族信託のプランを設計いたします。「誰に頼んでも同じ」ではないのが家族信託です。 プランについて説明の上、修正作業等を経てご家族に納得し、ご了解いただくまで数日から数週間かかる場合もありますが、これからのご家族の大事な制度設計になりますのでじっくり時間をかけて検討していただく必要があります。 |
公証人との打ち合わせ
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お客様から家族信託契約の内容についてご了解をいただくと、公証役場に公正証書作成の依頼をします。公証人の方に契約書案のチェックをしていただき修正すべ点があればお客様にも検討していただくこともあります。公証人からОKが出たら、実際に公正証書を作っていただく日程の調整をおこないます。 |
信託契約の公正証書作成
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原則として公証役場で家族信託契約の公正証書作成となります。ご本人のお体の状態によっては、ご自宅や入院先に公証人が出張をして公正証書を作成する場合もあります。 |
信託の登記
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信託財産の中に不動産がある場合は、受託者への所有権移転登記と信託の登記を申請します。受託者名義の権利証(登記識別情報通知)ができあがります。 |
信託専用口座の開設
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受託者の方に信託財産としての金融資産を管理していただくための銀行口座を開設していただき委託者からその口座に信託契約で決められた金額を送金をしていただくことになります。 |
家族信託契約がスタート |
信託の目的に従った財産管理がスタートします。司法書士が信託監督人や受益者代理人として受託者の行う信託事務を監督していくことで継続的にサポートをしていくこともあります。 税務上の手続きで、いろいろな心配が出てくるかもしれません。そのような場合でも、司法書士や提携先の税理士などがお客様をしっかりとサポートしてまいりますので安心です。 |
【家族信託の手続きにかかる費用】
家族信託契約を締結する場合、公正証書作成費用・登録免許税・司法書士手数料がかかります。
当事務所では、家族信託にかかる費用について、正式受任の前に必ず総費用をご案内し、内容をご確認いただいた上でサービスの提供をしております。つまり正式受任までは何度ご相談いただいても費用の請求は一切ありません。
またお電話等での費用のお問い合わせをいただく場合がありますが、家族信託契約は組成が複雑なためご家族の関係や財産の詳細を詳しく伺ってからでないと見積もりの提示が難しい場合があります。お電話等でのお問い合わせの場合、おおよその金額のご提示となりますのでご承知おきください。面談等でお見積りに必要な資料をご提供いただき次第、正確な費用をご案内致します。
【公正証書作成費用】(公証人手数料令第9条別表)
家族信託契約書の作成については法律上必ず公正証書にしなければならないという規定はありません。
しかし契約当時の意思能力の確認、本人確認を担保する趣旨で、公正証書での家族信託契約書の作成が家族信託の実務では求められています。
目的物の価額 |
公証人手数料 |
100万円以下 |
5000円 |
100万円を超え200万円以下 |
7000円 |
200万円を超え500万円以下 |
11000円 |
500万円を超え1000万円以下 |
17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 |
23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 |
29000円 |
5000万円を超え1億円以下 |
43000円 |
1億円を超え3億円以下 |
43000円に超過額5000万円までごとに |
3億円を超え10億円以下 |
95000円に超過額5000万円までごとに |
10億円を超える場合 |
249000円に超過額5000万円までごとに |
※この他収入印紙200円と謄本代が数百円かかります
【不動産を信託する場合の登録免許税】
土地(2026年3月まで) |
固定資産税評価額の0.3% |
建物 |
固定資産税評価額の0.4% |
※この他登記事項証明書取得費用実費等がかかります
【司法書士手数料】
家族信託サポート基本報酬 |
信託財産の評価額×1%(最低額は税込33万円) |
不動産の所有権移転・信託の登記申請報酬 |
固定資産税評価額に関わらず一律料金 |
※1 受益者を連続させる信託契約の場合は10%加算
※2 信託財産の評価額が1億円を超える場合は0.5%
※3 法務局管轄が2カ所以上になる場合は1カ所あたり5万円(税別)加算
※4 その他事案の難易度・特殊性・サービスの提供方法等によって、報酬額が加算になる場合がございます。詳しい費用の見積もり、ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
※5 司法書士が受益者代理人または信託監督人に就任する場合の報酬は、信託契約の中で定めます。