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司法書士が本人確認情報を作成する方法
権利書が見つからない場合の対応策について以前記事を書きましたが、その中の1つである司法書士が本人確認情報を作成する方法についての記事を書きました。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
家族信託契約のタイミング
家族信託をすることをメリットを理解して「よし、我が家でも家族信託で認知症対策をしていこう。」と決断しても「時すでに遅し」ということもあります。
私の事務所にご相談に見えた方には、残念ながら家族信託を断念したという方が何人かいます。
家族信託を断念した理由は、財産を持っている「親御さんがすでに認知症になってしまっている」ためです。
家族信託は「契約」である以上、当事者すべて(特に財産を託す委託者)に契約締結能力が必要とされています。
認知症対策としての家族信託では、親御さん(委託者兼受益者)が将来認知症になったとしても、契約書に定めたとおりの管理・処分を信頼できる家族に託す、という契約をしますから契約締結時点でその内容をしっかり理解していることが必要となります。「親御さんがすでに認知症になってしまっている」と家族信託契約はできないのです。
家族信託契約書は公正証書で作成されたものが必要とする取り扱いをほとんどの金融機関がしているのも、委託者兼受益者の契約締結時の判断能力を少しでも担保したいという意図があるように思います。
また家族信託契約の手続きを進めて行くにはある程度の日数がかかります。
家族信託契約は定型のひながたで作成されるようなものではなく、依頼者の家族の状況や将来の制度設計・希望などをお伺いしてオーダーメイドで作成していくものですし、他の家族の方にも家族信託というものを理解し納得していただくことも必須です。
依頼者の中には、「急いでください!」という方もいますが、その点も含めて家族信託を検討している方は、家族信託の専門家への早めのご相談をお勧めしています。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
権利証がないと費用がかかる?
「権利証がないと費用がかかるんですか?」と質問されることがあります。この質問自体実は漠然としすぎているのですが今回は「権利証がないと必要がかかる?」について考えてみます。
土地・建物(マンションを含む)を売却したり、贈与をする場合は、権利証(登記識別情報通知)が必要です。
登記手続きを自分で申請する場合は、法務局に提出することになります。
司法書士に登記申請手続きを依頼する場合は、司法書士に預けることになります。
ところが権利証(登記識別情報通知)は、普段目にするものではなく土地・建物(マンション)を購入した際や、相続登記で自分の名義になったときに目にしたことがあるという方がほとんどかと思います。大切な書類ですから自宅の金庫に保管していたり銀行の貸金庫に保管していたりすれば安心ですが、不動産購入時の売買契約書と一緒にしていたりするといざという時に他の書類と混じってなかなか見つけられないという方もいます。
不動産売買の最終決済の時に「権利証を持ってきました。」と言って売主さんが提示した書類が権利証(登記識別情報通知)ではなく、登記簿謄本(登記事項証明書)だった、ということも私は数回経験しています。
その時点で登記申請に必要な「権利証がない」という状態ですので、そのままでは決済を通すことができません。
売主さんが単に権利証を忘れてきただけですぐ自宅に戻って権利証を取りに行けるということであれば、買主さん等の了解を得て権利証を待つこともありますが「権利証がどこにあるかも分からない」という状態ですと、その日の決済は中止ということになってしまいます。
通常はこのようなことにならないように事前に売主さんに必要書類を確認してもらうことが多いと思います。確認といっても何が権利証なのかが分からないという方もいるので、仲介の不動産会社の担当者や司法書士が書類を確認することになります。
事前の書類確認の時点で「権利証(登記識別情報通知)」がない、ということになると権利証(登記識別情報通知)がないことを前提に手続きを準備していく必要があります。
権利証(登記識別情報通知)がない場合の売買や贈与による所有権移転登記申請の方法としては
1.司法書士が本人確認情報を作成する方法 2.権利証(登記識別情報通知)がないまま法務局に申請する方法 3.公証人による本人確認手続きによる方法 |
があります。
いずれの方法も状況に応じて利用されている制度ですが、この記事のタイトルにもある「権利証がない場合に費用がかかる」のは、1.と3.です。
1.の「司法書士が本人確認情報を作成する」ためにはその作成した司法書士に手数料を支払う必要があります。
(なかには無料で作成してくれる司法書士もいるのかもしれませんが本人確認情報を作成すること自体司法書士にとってはリスクのある作業のため通常は手数料がかかると思います。)
3.の「公証人による本人確認手続き」の場合も公証人に手数料を支払う必要があります。
この点、2.の「権利証(登記識別情報通知)がないまま法務局に申請する方法」では申請者である売主に別途費用が発生するわけではありません。
このように権利証(登記識別情報通知)を紛失している場合の売買や贈与による所有権移転登記手続きにおいては、費用面から見ると「権利証(登記識別情報通知)がないまま法務局に申請する方法」が良いのではないかと感じられるかもしれません。
しかし、実際には上記1.から3.にはメリット・デメリットがあり、売主の希望で2.の「権利証(登記識別情報通知)がないまま法務局に申請する方法」を選択することができない場合もあります。というのもたとえば売買では、買主の都合、買主に住宅ローンで資金を融資する銀行の都合もありこの方法には応じられないということもあるからです。
具体的に権利証(登記識別情報通知)がない場合の売買や贈与による所有権移転登記申請の3つの方法について検討してみます(つづく)。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
同時に死亡すると相続にならない?
事故などによって親子が「同時に死亡した」場合、相続関係はどうなってしまうのか?という問題があります。
たとえば長男Cの祖父甲・父A・母Bがいたとして、同一交通事故でAとCが死亡した場合、父Aの相続人は誰になるのでしょうか?
この場合、同一事故で死亡したといっても、実際にAとCがまったく同じ瞬間に死亡したかどうかが分からないこともあります。
法務局に相続登記申請をする場合、被相続人の除籍謄本(除籍全部事項証明書)を提出するわけですが
戸籍の死亡欄には死亡年月日だけではなく死亡した時刻も記載されています。
これは死亡診断書(または死体検案書)の記載をもとに戸籍にも死亡時刻を記載しているからです。
よって、死亡日が同一であっても死亡時刻が違っていれば「同時に死亡した」ことにはならない訳です。
上の例で父Aが長男Cより少しでも先に死亡していれば、Aの相続人はBとCになります(妻と子)。
上の例で父Aが長男Cより少しでも後に死亡していれば、Aの相続人はBと甲になります(妻と父)。
そうすると「同時に死亡した」というケースなんてないんじゃないの?と考える方もいると思いますが
実際に除籍謄本に記載されている死亡事項をみると
「令和●年●月●日午後8時から翌日午前8時頃死亡」
「令和●年●月●日時刻不詳死亡」
「推定令和●年●月●日死亡」
などと記載されているケースもあります。
上の例で父Aも長男Cも同じように「令和●年●月●日時刻不詳死亡」と記載されていたら
どちらが先に死亡したかが判断できないことになってしまいます。
このような場合、「同時に死亡した」と判断せざるを得ないということになります(民法第32条の2)。
ここでようやく、親子が「同時に死亡した」場合、相続関係はどうなってしまうのか?という問題に戻ります。
「同時に死亡した」ということは、被相続人父Aが死亡したとき、長男Cは死亡していた=存在していないことになりますから
長男Cは父Aの相続人ではないことになります。つまりAC間では相続関係は発生しないということです。
父Aの相続人は妻BとAの父甲になります(妻と父)。
参考 民法第32条の2(同時死亡の推定) 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。 |
ちなみに上の例で長男Cに子供Dがいた場合は、Dは代襲相続人になります(民法第887条第2項)から、父Aの相続人は妻Bと孫Dになります。
参考 民法第887条(子及びその代襲者等の相続権) |

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相続放棄をした人の子の相続権
相続放棄申述の申立をして受理された人の子供は、被相続人の相続をする権利があるでしょうか?
相続放棄をした人の子供、つまり被相続人の孫に相続権があるのか、ないのかという問題です。
いわゆる代襲相続では、被相続人より先に子が死亡していれば、その死亡した子の子(つまり孫)にも相続権があります(民法第887条第2項)。
相続放棄をすると、「初めから相続人とならなかったものとみな」されますから(民法第939条)、被相続人が死亡すると代襲相続と同じようなイメージでその孫には相続権があるのではないかと考える方もいるようです。
しかし相続放棄をした人の子には、相続権はありません。
代襲相続が認められるのは
- 相続開始前の「死亡」
- 相続欠格
- 廃除 に限定されていて、相続放棄は含まれていないからです。
参考 民法第887条(子及びその代襲者等の相続権) |
参考 民法第939条(相続の放棄の効力) 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。 |
もちろん、相続放棄をした人自身が死亡した場合の相続については、その子は法定相続人ですから相続放棄等をしない限り相続権は認められます。

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相続分の譲渡
相続分の譲渡とは、個々の遺産の共有持分ではなく、相続財産全体に対する包括的な持分や法律的な地位を遺産分割協議の前に譲渡することを指します。
相続が発生して遺産分割協議をする際に、相続人の数が多いと意見がかみ合わずに話し合いもうまくまとまらない場合があります。
親が死亡して子供が数名であれば相続人の数が多いと感じることもないと思いますが、子供が親より先に死亡している代襲相続の場合や、親が死亡して相続手続きをしないまま年月が経ってしまいその子供も死亡してしまったような数次相続の場合などは相続人の数が増えてしまっている場合もあります。
たとえば相続人が自分以外に10人いた場合、そのうち7人は遺産分割協議の内容に合意しているのに他の3人が反対しているような場合です。
このような場合、相続人の1人の代理人として遺産分割協議に臨む弁護士さんは、当事者を絞るために「相続分の譲渡」の手法を使うことがあるようです。
上記の例で遺産分割協議をする場合、争っていない7人から相続分の譲渡を受け、争いのある3人だけを遺産分割協議の相手に絞ることができます。
相続分の相続人全員を話し合いのテーブルに着かせるより効率的というわけです。
参考 民法第905条(相続分の取戻権) 第1項 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。 第2項 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。 |
民法第905条は、相続分の譲渡について直接規定したものではありませんが、相続分の譲渡ができることを前提にして、その取戻しができる要件を定めています。
相続分の譲渡の相手方は他の相続人でも良いし、第三者でも良いとされています。
また相続分の譲渡は無償でも有償でも良いとされています。
ただし無償による相続分の譲渡は、譲渡した人が亡くなった場合、民法第903条の贈与にあたると判断されることもあり(平成30年10月19日最高裁判所第二小法廷判決)、遺留分侵害の可能性もあるので注意が必要です。

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会社への貸付金を原資に資本増加(新株発行)をする方法
資本増加による新株発行というと、実際に会社にお金を出資して株式を取得するというイメージが一般的だと思います。
しかし会社への出資は金銭に限られるものではなく、金銭債権による現物出資も可能とされています。
会社に対して貸付金がある人、たとえば小さい規模の会社であれば役員が会社に貸付金名目でお金を出しているケースもあります。
このような会社に対する貸付金は、会社にとっては「債務」となっていますが、これを「株式」と「交換」することによって、資本増加による新株発行を実現することができます。
このような会社への貸付金を原資に新株を発行することで会社の「債務」は減少し、「資本の額」は増加するためバランスシートの見栄えも良くなります。
ただし単にバランスシートの見栄えだけではなく会社の財務体制に関わることですから当事務所では事前に顧問の税理士ときちんと打ち合わせをしていただくようにしています。
このような「債務」と「株式」の「交換」のことを「Debt(負債) Equity(株式) Swap(交換)=デット・エクイティ・スワップ=DES」といいます。
DESによる資本増加の登記をする場合、当事務所では総数引受契約による募集株式の発行の形を取るお客様が多いです。その理由の1つには最短で同一日付で資本増加の効力発生までたどり着くことができる点があります。
DESによる資本増加の登記申請を総数引受契約による場合に必要な書類は
1.株主総会議事録
2.株主リスト
3.総数引受契約書
4.資本金計上に関する証明書
5.税理士等の証明書または総勘定元帳等の会計帳簿
となります。
参考 会社法第205条 (募集株式の申込み及び割当てに関する特則) 第1項 前二条の規定(注:募集株式の申込み.募集株式の割当てについての通知や割当の手続き)は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。 第2項 前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。 |
DESによる資本増加の登記に必要な印紙(登録免許税)は、増加する資本金の額の0.7%です。

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遺言執行者の通知義務
遺言書を作成する場合に大切なことは、遺言をする人が死亡した場合、「誰に」、「何を」ということを明確に定めておくことはもちろんですが、
実際にその遺言書の内容に従って、遺産の承継手続きをする人(=遺言執行者)も遺言書の中で決めておかないと、その後の手続きが面倒になる場合があります。
遺言執行者を関与させなくても(選任しなくても)遺言書の内容を実現できる場合は良いのですが、遺言で「第三者に遺産を贈与する」といった遺贈の形式をとっているような場合には遺言執行者がいないと実際の手続きがスムーズに進まないことになります。
遺言執行者が必要なのに遺言書の中に遺言執行者の指定がない場合は、家庭裁判所に対し、遺言執行者選任の申立をすることができます。
遺言執行者に指定または選任された人は就任承諾をした後、実際に遺言執行にとりかかるわけですが、2019年7月1日から施行された改正民法では、遺言執行者の仕事として「遺言の内容を相続人に通知する」ことが明確に定められました。
民法改正前でも法律専門家が遺言執行者になった場合は相続人に対して遺言の内容を通知していたケースがほとんどだと思いますが、一般の方が遺言執行者になった場合などで相続人に遺言の内容を通知せずにいつの間にか相続手続きが終わっていたということで新たなトラブルが発生したケースもあったようです。
相続人からすれば、遺言の内容によっては手続きに協力しなければならない場合もありますし、遺留分の請求をするかしないかの判断に際しても遺言の内容を確認する必要があります。
遺言執行者としては民法の条文で明確に通知義務が規定されたということに注意が必要です。
参考
改正前の民法第1007条(遺言執行者の任務の開始) | 改正後の民法第1007条(遺言執行者の任務の開始) |
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。 |
第1項 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わねければならない。 第2項 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。 |

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相続人に外国籍を取得した人がいる場合
相続登記の依頼を受けて亡くなった人の法定相続人の戸籍をたどっていくと、相続人である子が外国人と結婚し、外国人配偶者の国籍を取得していることがあります。
相続権の問題
被相続人が日本人で相続人の中に外国籍の人がいる場合、外国籍を取得した人は、遺産を相続する権利がなくなってしまうのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、外国籍を取得した場合でも適用される法律は被相続人の本国法ですから、自分の親の遺産についての相続権がなくなるわけではありません。「法の適用に関する通則法」に規定があります。
参考 法の適用に関する通則法第36条 相続は、被相続人の本国法による。 |
遺産分割協議の問題
外国籍を取得した人であっても自分の親の相続権はある、ということを踏まえて相続人を確定していくわけですが、外国人と結婚し外国人配偶者の国籍を取得した人は、それまで日本にあった戸籍から抜けることになります。
その人の連絡先が分かっていれば良いのですが、親族の中で連絡が取れる人が誰もいないケースだと、相続関係の確認作業は難航します。
この場合、相続人の中に連絡の取れない人がいるとして家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい遺産分割協議を進める選択肢もありますが、不在者財産管理人を選任してもらうためにはいろいろな調査や書類作成が必要です。調査といっても国外に問い合わせをする必要があり時間も費用もかかることを認識しておくことが必要です。

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執行役員と執行役
名刺に「執行役員」と記載されているものを見かけます。
「執行役員」と似た言葉に「執行役」がありますが、「執行役員」と「執行役」は違うものです。
「執行役」は、委員会設置会社において必ず置かなければならないと会社法に規定されている役員です。
参考 会社法第402条第1項 委員会設置会社には、一人又は二人以上の執行役を置かなければならない。 |
規模の大きい会社では、取締役会で決められた方針に従い、実際に業務を執行する機関として執行役が機能する仕組みを採用しているところもあります。
このような仕組みを採ることで、取締役会は執行役の業務執行を監督する立場として機能することができ、会社のガバナンスが効くことが期待されているようです。
同じく規模の大きい会社では、取締役の数も多くなっていた実情があり(大企業の会社の登記事項証明書を見ると取締役が何十人も記載されていたりします。)、会社として効率的な意思決定をし社会の動きに素早く対応していくために、取締役の数を減らしたほうが良いという考えにも合致する仕組みのようです。
「執行役」とは異なり、「執行役員」は、会社法で規定されている役員ではありません。
その会社内での呼称の1つで、「部長」とか「支店長」などと同じ役職の1つです。
「執行役員」の会社内での序列は、その会社内で決まるため外部の人が一概に判断することもできません。
執行役員でありかつ取締役でもあるケースもありますし、取締役ではない執行役員というケースもあります。
ただ業務執行を担当する役員であり会社から責任ある業務を任されている人であることは間違いないようです。
「執行役」と「執行役員」という言葉だけみると「執行役員」のほうが正式名称で取締役のようなイメージを持たれる方もいるようですが、実際は意味が異なるものだということになります。

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