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遺言執行者の指定
遺言書を作成する場合、公正証書遺言であれば遺言の中身だけではなく、「遺言執行者」も定められていることがほとんどだと思いますが、自筆証書遺言の場合、「誰に何を相続させる」といった遺言の内容だけが書かれていることも多く、「遺言執行者」の指定がなされていないケースがよくあります。
「遺言執行者」とは、遺言の内容にしたがって実際に銀行や証券会社で解約手続きや売却手続きをしたり、土地・建物の名義変更手続をする人のことをいいます。
| 参考 民法第1012条 第1項 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。 第2項 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。 |
もっとも遺言書の内容が、「特定の相続人」に、「特定の遺産」を「相続させる」というものであった場合は、遺言者が死亡すると「直ちに」その遺産がその相続人に承継されることになります(平成3年4月19日の最高裁判決)。この遺言によって特定の不動産を相続させるとされた相続人は、直ちに不動産の相続登記を単独で申請することができます。
つまりこの場合、遺言執行者も基本的に不要になります。
ただし、遺言書の内容が、「相続人またはそれ以外の人」に、「特定の不動産」を「遺贈する」というものであった場合は、遺言者の法定相続人または遺言執行者と遺贈を受ける人(受遺者)が共同で登記申請をする必要があります。この場合、遺言書に「遺言執行者」の指定がなされていれば、法定相続人が多数存在するような場合でも、遺言執行者と受遺者の2名だけで手続きをすることができます。法定相続人の一部が手続きに協力してくれない場合や、行方不明になっている場合などをイメージしてみると、遺言執行者を指定しておくことの重要性がお分かりいただけるのではないでしょうか。
実際に遺言者が死亡して遺言の内容を実現しようという段階になって、銀行や証券会社、法務局などに出向いても手続きがなかなか前に進まない、ということにならないように遺言書を作成する場合には、遺言執行者の指定を忘れずにしておくことが必要です。
| 参考 民法第1006条 第1項 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。 |

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
受託者の事務を第三者に委託すること
家族信託で受託者となった人は、家族信託の契約で定められた「信託の目的」に従って事務を遂行する義務を負います。
ただ家族信託の受託者といっても、その事務だけをして生活しているわけではなく、受託者個人の生活と並行して家族信託の受託者としての事務もしていくことになりますから、どうしても自分だけではまかないきれない部分も出てくるかもしれません。
そこで信託法では、信託契約の中であらかじめ信託事務を第三者に委託することを定めることができるようになっています。信託契約の中で信託事務を第三者に委託する旨の定めがなくても、「信託の目的」に照らして第三者に委託することが相当と認められる場合には、信託事務を第三者に委託することができます。信託契約の中で信託事務を第三者に委託することを禁じる定めがあっても、第三者に委託することがやむを得ない場合には、信託事務を第三者に委託することができます。
参考 信託法第28条
受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を第三者に委託することができる。
一 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託する旨又は委託することができる旨の定めがあるとき。
二 信託行為に信託事務の処理の第三者への委託に関する定めがない場合において、信託事務の処理を第三者に委託することが信託の目的に照らして相当であると認められるとき。
三 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託してはならない旨の定めがある場合において、信託事務の処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるとき。
では、受託者は誰でも好きな人に信託事務を委託できるのでしょうか?この点については、信託法第35条に規定があります。
参考 信託法第35条第1項
第28条の規定により信託事務の処理を第三者に委託するときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。
つまり、受託者が第三者に信託事務を委託するための条件としては、「信託の目的に照らして」「適切な者」に信託事務を委託する必要があるということになります。
受託者が適当に好きな人を選んで信託事務を委託するのではなく、家族信託契約で定めた「信託の目的」を読み直して、その信託事務を遂行するのが「適切な」第三者に委託する必要があります。受託者から信託事務を委託される人としては、少なくとも当該家族信託契約の内容を理解していることが最低限必要とされていることはお分かりいただけると思います。
家族信託契約の受託者としては、信託事務を第三者に委託する場合を想定し、具体的に誰に信託事務を委託するのか決めておく必要があります。「自分の仕事が忙しい」などの理由で家族信託の受託者としての事務がおろそかになると、受益者に損害を与えることにもなりかねません。
家族信託契約を組成する場合は、受託者の責任という観点からこのようなことについても十分検討していくことが求められています。

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保証人のための情報提供義務(2020年4月1日改正民法施行)
2020年4月1日施行の改正民法では、保証人を保護するための制度として情報提供義務の制度が新設されました。
自分が保証人になる前、保証人になった後、主債務者が支払いを遅滞した場合の3つの場面で債務の内容や主債務者の財産、収支の状況などをきちんと確認できるようにして保証人に不測の損害が発生しないようにするための制度です。
- 保証人になる前(民法第465条の10第1項)
- 保証人になった後(民法第458条の2)
- 主債務者が支払いを延滞した場合(民法第458条の3第1項)
1.保証人になる前(民法第465条の10第1項)
事業のために負担する債務について保証人になることを他人に依頼する場合の情報提供義務(民法第465条の10第1項)
事業のために自分が負担する債務について、他人に保証人になること依頼する場合は、保証人になるかどうかの判断材料として
①自分(主債務者)の財産や収支の状況
②その債務以外に債務がある場合はその額、返済状況(きちんと返済できているか)
の情報を提供する義務があるということになります。参照条文 民法第465条の10第1項
(契約締結時の情報の提供義務)
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
① 財産及び収支の状況
② 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
③ 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容2.保証人になった後(民法第458条の2)
主たる債務者から委託を受けて保証人になった人は、「債権者に対して」、主たる債務について支払状況に関する情報提供を求めることができます。
情報提供の請求を受けた債権者としては、「債務者の情報」を第三者である保証人に開示することになるので個人情報の第三者提供にあたることになりますが
民法第458条の2は、個人情報保護法には抵触しないということになります。参照条文 民法第458条の2
(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。3.主債務者が支払いを延滞した場合(民法第458条の3第1項)
主たる債務者が分割払いの支払いを延滞したりして、分割払いの利益を喪失し残金一括請求の対象になった場合、債権者は2ヶ月以内に保証人に対して通知しなければならないことになっています。
これは、主たる債務者が一括請求を受けると遅延損害金も多額になり、その分だけ保証人の負担も増加することから、保証人を保護するために早めに主たる債務者が経済的危機にあることを知らせる制度です。参照条文 民法第465条の3第1項
(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)
主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
◆このように事業のために負担する債務を保証する人に対する保護規定が新設された訳ですが、民法でこのような規定を置かなければならないほど保証人への負担が問題になっているということでもあります。
事情は人それぞれであり一概には言えませんが、保証人になる場合にはくれぐれも慎重な判断が必要です。

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公証人による保証意思確認手続き
2020年4月1日に施行された改正民法により「公証人による保証意思確認手続き」という制度が新設されました(民法第465条の6)。
事業用の融資を受ける際に、保証人になろうとする個人は、公証人から保証意思の確認を受ける必要があります。
この確認手続きをせずに保証人になった場合は、その契約が無効になります。
この規定の対象とならない場合は次のケースです(民法第465条の9)。
①借入をする債務者が法人で、保証人になる個人がその法人の役員や議決権の過半数を有する株主の場合
②借入をする債務者が個人で、保証人になる個人が共同事業者である場合や事業に従事している配偶者の場合
このような制度ができた理由としては
事業経営をしている人から頼まれて親戚や知人が安易に保証人になってしまった結果、多額の保証債務の請求をされることになるケースを防止するためとされています。
「保証人だけにはなってはいけない」などと言われていても人付き合いの関係で断り切れずに保証人になってしまった結果、事業と全く関係の無い金銭の請求をされることになり
最悪の場合、やむを得ず自己破産を選択することになってしまったという事例もあります。
今回新設された公証人による保証意思の確認制度によりそのような事例が抑制されることが期待されています。
実際の手続きの流れ
保証契約をする前(保証契約締結の日前1ヶ月以内)に、公証役場に出向いて手続きをする必要があります。
公証人から確認される事項としては本人確認は当然のことですが
①保証をしようとしている主債務の具体的な内容を認識しているか
②保証をすることで自らが代わりに支払などをしなければならなくなるという大きなリスクを負担するものであることを理解しているか
③主債務者の財産・収支の状況等について主債務者からどのような情報の提供を受けたか
④保証人になろうと思った動機・経緯
などがあります。
公証人からの保証意思確認手続きが終わると公正証書(保証意思宣明公正証書)が作成されます。
この保証意思確認手続きの手数料(公証人に支払う手数料)は、1通 Ⅰ万1,000円です。
参考条文
(公正証書の作成と保証の効力)
民法 第465条の6
第1項 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
第2項 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
① 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
② 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
③ 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
④ 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
第3項 前2項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。

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敷地権の登記がされる前に購入したマンションの権利証はどれ?
マンション(区分建物)を購入すると通常、購入した部屋(専有部分)はもちろん、底地部分(土地)の権利も取得することになります。
「敷地権の登記」がされているマンションであれば、専有部分と底地部分が一体化されたものとして処理されますのでマンション(区分建物)を購入し、売買の登記(所有権移転登記)をすれば、専有部分と底地部分の両方が登記されたことになります。
専有部分は一人が購入すれば持分は当然100%ですが、底地部分は通常マンション全体の専有部分合計床面積を分母にして当該専有部分を分子にした持分割合になったりします。
この考え方で行くとたとえばマンション全体の専有部分合計が1万㎡で、購入した部屋(専有部分)が80㎡だとすると、底地部分の共有持分は1万分の80という計算になります。
敷地権の登記がされたマンショでは底地部分の共有持分を「敷地権の割合」と表現し、「敷地権の割合は1万分の80」と登記されます。
ところが築年数の古いマンションでは、敷地権の登記がされておらず、区分建物(マンションの専有部分)と底地部分の共有持分が別々に登記されているものもあります。
このようなマンションを購入し、売買の登記(所有権移転登記)をする場合、専有部分と底地部分も別々に取り扱われますので、専有部分と底地部分も別々に権利証(登記済証)が発行されています。
このようなマンションでは、その後の登記手続き(売却、担保権設定、担保権抹消など)でもすべて、専有部分と底地部分の2つの不動産として登記をしていく必要があります。
たとえば専有部分については所有権移転による売買の登記申請ですが、底地部分については○○持分全部移転による売買の登記申請となります。
敷地権の登記がされたマンションであれば、単に所有権移転による売買の登記申請のみで完結します。
通常マンションの底地部分の共有持分は何十人、何百人で持ち合うことが多いと思いますが、彼らが売ったり買ったり担保をつけたり外したりとしていくうちに底地部分の登記簿は膨大な登記事項で埋め尽くされていきます。
実際、私も敷地権の登記がされていないマンションの底地の登記簿を閲覧する機会がありますが、該当箇所を探すのに相当労力を要します。
最悪なのは膨大な登記事項のある登記簿を閲覧していく中での閲覧漏れです。
さて、このように専有部分と底地部分の共有持分が別々に登記されているマンションについても後から敷地権の登記をすることができます。
敷地権の登記がされれば、専有部分と底地部分の共有持分は一体化して処分ができますので、例えば売却するにしても単に「所有権移転」と登記すれば良いということになります。
ただし、「敷地権の登記」というのは、専有部分と底地部分の処分を一体として行うことができるようになっただけであって、もともとあった権利証が1つになる訳ではありません。
「敷地権の登記がされる前」に購入したマンションを「敷地権の登記がされた後に」売却する場合、権利証は専有部分と底地部分別々になっていますので、それぞれの権利証を法務局に提出する必要があります。
このようなマンションの登記簿謄本(登記事項証明書)の所有者の欄にある法務局の受付番号(権利証の番号)を見ると、専有部分のものしか記載されていません。
このため売却の際(残金決済の場)に権利証として専有部分の権利証しか準備してこないと売却ができないことになってしまいますので注意が必要です。
もっとも司法書士が立会をするような売買手続きであれば、その司法書士から事前に案内があるはずです。
まとめ
◆敷地権の登記がされる前に購入したマンションの権利証は、専有部分と底地部分の2つが必要。
◆底地部分の共有持分の権利証の番号は登記簿(登記事項証明書)には載っていない。

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「相続登記はお早めに」と司法書士が勧める理由
相続登記のご相談で意外と多いのが、「かなり前に名義人が亡くなっているのに名義をそのままにしていた。」というケースです。
「うちは相続税もかからないし」と相続登記をしないままでもデメリットはないと考える人もいるようですが、実際に相談を受ける司法書士としては「相続登記はお早めに」と勧めています。その理由を説明いたします。
相続登記の手続きをしないでいると、
・相続人が亡くなってしまい次の相続が発生してしまい当事者が増えて手続きが複雑になる。
相続開始当時は相続人が子供2名(A・B)だけだったのに、何も手続きをしないまま数年放置していたところ、Aが死亡してしまった。
Aの相続人は妻と子供2名(C・D・E)となり、BはC・D・Eと遺産分割協議をすることになります。
このくらいなら、義理の妹と甥・姪との関係ですからまだ連絡も付くし合意も可能かもしれませんが、さらに何も手続きをしないままBも死亡してしまったらどうでしょう。
Bの相続人が妻と子供2名(F・G・H)だったとすると、いとこ同士で遺産分割協議ということになります。相談者の中には、いとこ同士で長年連絡を取っていないとか、どこに住んでいるかも分からないなどという方もいらっしゃいました。
こうなると、遺産分割協議がうまくいくのかも分からない状態となり、「不動産は処分してしまおう」とか「建て替えをしよう」などと考えていたことも白紙になってしまうこともあり得ます。
・当時は話し合いがついていたのに、「事情が変わった」・「そんな話は知らない」などと相続トラブル(争族)になる。
同じく相続開始当時は相続人が子供2名(A・B)だけだったのに、Aが死亡してしまったケースで、Aが生前Bとの間で「不動産は売却して代金を半分に分けよう」という話をしていたとしても、遺産分割協議書を残していなかったために、Aの相続人から「そんな話は聞いていない」と言われて、結局弁護士を立てて交渉をしてもらうことになってしまった、という話もあります。
・売却や銀行からの資金借り入れ(担保提供)が予定通り進まない。
相続対象になっている不動産は名義変更の登記なんてしなくてもに住み続けていればいいやと安易に考え、そのままにしていたが建物が老朽化して建て替えをしたいと思うようになった。
ハウスメーカー経由で住宅ローンの相談を銀行の窓口でしたところ、「相続登記をしてください」と言われた。
相続登記と言っても法定相続人が多数で遠方に住んでいる人もいたり、なかには認知症になって成年後見人をつける必要があるらしい。成年後見人をつけるのは時間がかかるらしく建物の取り壊しも勝手にはできそうにない。取り壊しも容易にできないのなら建て替えも難しいかもしれない。というケースもあります。

そこで
不動産登記の専門家である司法書士に早めに相談することをおススメします。
小川司法書士事務所の相続サポートでは
・遺産分割協議書の作成
・戸籍謄本、除籍謄本の収集
・相続関係説明図の作成
・相続登記申請
・登記事項証明書の取得
・預貯金の解約
まで対応しております。
柏市、 松戸市、我孫子市、流山市、野田市にお住いの方々の相続手続きに便利です。
柏駅南口から徒歩4分。9時~21時まで。土日祝日も予約可。ご相談は無料です。

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受信料支払債務の消滅時効
当事務所ではメール・電話での個別の法律相談は受け付けておりませんのでご了承ください。
NHK(日本放送協会)に対する受信料支払債務の消滅時効の援用について触れたものとして平成29年12月6日の最高裁大法廷判決があります。
前提知識として放送法64条1項の規定を見ておきますと、
放送法64条1項
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(略)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
ここで条文上、「契約をしなければならない」となっている点に違和感があるかもしれません。
「契約自由の原則」という言葉を大学の一般教養で耳にしたことがあるかもしれませんがここではその例外として「契約が強制されている」わけです。
上記最高裁判決では、この放送法64条1項があるにも関わらず、契約に応じない人がいる場合
放送法64条1項は「契約の締結を強制する旨を定めた規定であり(略)承諾をしない場合には,日本放送協会がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって上記契約が成立する。」としています。
またこの規定が憲法違反ではないかとの主張に対しては、憲法に違反しないと判示しています。
これを前提にNHK(日本放送協会)と「契約を締結した者は(略)、同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する。」と判示しています。
契約が成立している以上、その契約にもとづいて受信料の支払義務も発生するという内容の判決です。
そしてこの受信料債権については、契約成立後に履行期が到来するものを除き契約成立時から消滅時効が進行する旨も判示しています。
受信料の支払義務についての時効期間は5年とされていますから(最高裁平成26年9月5日第二小法廷判決)、契約成立時から5年、または契約成立後に履行期が到来した受信料の支払債務についてはそこから5年経過すると消滅時効の援用の可能性が出てくるということになります。
消滅時効については、5年経過していても「時効の援用」をしないと時効の効力を主張できないことになっています(不確定効果説の停止条件説)から、消滅時効を主張したいと考えている方は5年の経過だけで安心しないで、必ず「時効の援用」をする必要があります。
時効の援用の具体的な方法としては、相手方に対し、「時効を援用します」という通知を出すことになりますが、後日、通知を「出した」・「出していない」などと争いになることを防止するために、時効援用通知は内容証明郵便で行うことが一般的です。

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相続放棄と年金
相続放棄の申述にあたり「自分は相続放棄をしても問題ないだろうか?」と心配になるケースがあるようです。
たとえば亡くなられた方には多額の負債があり、相続人の妻としては相続放棄をしたいと考えているが、亡くなった夫が年金受給者だった場合、相続放棄をしてしまうと妻の遺族年金がもらえなくなってしまうのではないか?という心配です。
また未支給年金の手続きもできなくなってしまうのではないかと心配される方もいます。
しかし遺族年金も未支給年金も亡くなった夫名義の相続財産ではありません。
つまり相続人としての立場ではなく、受給権者個人の立場で受け取るものですので、相続放棄をしたかどうかに関係ありません。
国民年金法には次のように定められています。
(未支給年金)
第19条 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、
その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、
その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
この「自己の名で」というのは、その人の固有の立場でという意味ですから、亡くなった人の相続人としてという意味ではないことが明らかです。
最高裁判所の判例でも国民年金法第19条について「相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたもの」としています(平成7年11月7日最高裁第三小法廷判決)
結論
遺族年金も未支給年金も相続財産とはみなされないため、それらを受給した後でも相続放棄はできる。
ということになります。

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被相続人の債務
相続手続きを進めるにあたり、プラスの財産をどう分配するかという点に興味が集中しがちですが、マイナスの財産(消極財産)についてもきちんと把握しておく必要があります。
相続税の申告が必要な場合には、被相続人の債務が一定の条件でプラスの財産から控除されることになっていますから、何が被相続人の債務になるのか把握しておくことは重要です。
被相続人の債務控除については相続税法に以下のような規定があります。
相続税法
第13条(債務控除)
相続又は遺贈(略)により財産を取得した者が第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
① 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
② 被相続人に係る葬式費用
相続税法
第14条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
これらの規定からいえることは、相続税の計算において控除される債務は
「相続開始の際に現存するもの」で、「確実と認められるもの」に限られるということです。
この文言を見ると当たり前のことしか規定していないようにも思われますがこれらの規定が裁判で争いになったものとしては被相続人が負っていた連帯保証債務があります。
連帯保証債務は、相続税法第14条1項にいう「確実と認められるもの」にあたらないという判例(東京高裁判決平成12年1月26日)があります。
その理由としては、連帯保証人は主たる債務者が債務を履行すればその責任を免れるし、仮に連帯保証人が債務を履行することになっても、主たる債務者への求償が予定されているのだから債務を履行することが「確実と認められない」というものです。
もっとも連帯保証人が保証債務を履行するということは、保証人から主たる債務者への求償などできない状況のことが多いでしょうからこのような場合には、「確実と認められるもの」とされるようです。
実際には個別事案での事実認定によるとしかいえませんが、相続開始時点において相続人は被相続人に連帯保証債務があるかどうかまで把握できる状況にないこともあります。
当事務所ではこのようなケースに限らず、相続税の申告が必要なケースではそのプロである税理士の先生にお願いして一緒に相続手続きを進めるようにしています。

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妻の相続権

夫と死別した妻が、数年後に別の男性と再婚した場合、その妻は死別した前夫の遺産を相続できるでしょうか。という質問をいただくことがあります。
結論から言うと、相続することができます。
妻は、婚姻中に夫が死亡したのですから、その時点で夫の法定相続人になります。
その法定相続人としての地位は、たとえ別の男性と再婚したとしても消えてなくなるわけではありません。
相談者の方には感覚的なものとして「死別して再婚してしまったのだから相続なんてできない」というお話をされる方もいらっしゃいますが、たとえ相続しないということであっても、前夫の遺産分割協議で「相続しない」旨の遺産分割協議書にサインをする等の意思表示をしないと前夫の遺産承継は進まないことになりますので注意が必要です。

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