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「相続登記はお早めに」と司法書士が勧める理由
相続登記のご相談で意外と多いのが、「かなり前に名義人が亡くなっているのに名義をそのままにしていた。」というケースです。
「うちは相続税もかからないし」と相続登記をしないままでもデメリットはないと考える人もいるようですが、実際に相談を受ける司法書士としては「相続登記はお早めに」と勧めています。その理由を説明いたします。
相続登記の手続きをしないでいると、
・相続人が亡くなってしまい次の相続が発生してしまい当事者が増えて手続きが複雑になる。
相続開始当時は相続人が子供2名(A・B)だけだったのに、何も手続きをしないまま数年放置していたところ、Aが死亡してしまった。
Aの相続人は妻と子供2名(C・D・E)となり、BはC・D・Eと遺産分割協議をすることになります。
このくらいなら、義理の妹と甥・姪との関係ですからまだ連絡も付くし合意も可能かもしれませんが、さらに何も手続きをしないままBも死亡してしまったらどうでしょう。
Bの相続人が妻と子供2名(F・G・H)だったとすると、いとこ同士で遺産分割協議ということになります。相談者の中には、いとこ同士で長年連絡を取っていないとか、どこに住んでいるかも分からないなどという方もいらっしゃいました。
こうなると、遺産分割協議がうまくいくのかも分からない状態となり、「不動産は処分してしまおう」とか「建て替えをしよう」などと考えていたことも白紙になってしまうこともあり得ます。
・当時は話し合いがついていたのに、「事情が変わった」・「そんな話は知らない」などと相続トラブル(争族)になる。
同じく相続開始当時は相続人が子供2名(A・B)だけだったのに、Aが死亡してしまったケースで、Aが生前Bとの間で「不動産は売却して代金を半分に分けよう」という話をしていたとしても、遺産分割協議書を残していなかったために、Aの相続人から「そんな話は聞いていない」と言われて、結局弁護士を立てて交渉をしてもらうことになってしまった、という話もあります。
・売却や銀行からの資金借り入れ(担保提供)が予定通り進まない。
相続対象になっている不動産は名義変更の登記なんてしなくてもに住み続けていればいいやと安易に考え、そのままにしていたが建物が老朽化して建て替えをしたいと思うようになった。
ハウスメーカー経由で住宅ローンの相談を銀行の窓口でしたところ、「相続登記をしてください」と言われた。
相続登記と言っても法定相続人が多数で遠方に住んでいる人もいたり、なかには認知症になって成年後見人をつける必要があるらしい。成年後見人をつけるのは時間がかかるらしく建物の取り壊しも勝手にはできそうにない。取り壊しも容易にできないのなら建て替えも難しいかもしれない。というケースもあります。
そこで
不動産登記の専門家である司法書士に早めに相談することをおススメします。
小川司法書士事務所の相続サポートでは
・遺産分割協議書の作成
・戸籍謄本、除籍謄本の収集
・相続関係説明図の作成
・相続登記申請
・登記事項証明書の取得
・預貯金の解約
まで対応しております。
柏市、 松戸市、我孫子市、流山市、野田市にお住いの方々の相続手続きに便利です。
柏駅南口から徒歩4分。9時~21時まで。土日祝日も予約可。ご相談は無料です。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
受信料支払債務の消滅時効
当事務所ではメール・電話での個別の法律相談は受け付けておりませんのでご了承ください。
NHK(日本放送協会)に対する受信料支払債務の消滅時効の援用について触れたものとして平成29年12月6日の最高裁大法廷判決があります。
前提知識として放送法64条1項の規定を見ておきますと、
放送法64条1項
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(略)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
ここで条文上、「契約をしなければならない」となっている点に違和感があるかもしれません。
「契約自由の原則」という言葉を大学の一般教養で耳にしたことがあるかもしれませんがここではその例外として「契約が強制されている」わけです。
上記最高裁判決では、この放送法64条1項があるにも関わらず、契約に応じない人がいる場合
放送法64条1項は「契約の締結を強制する旨を定めた規定であり(略)承諾をしない場合には,日本放送協会がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって上記契約が成立する。」としています。
またこの規定が憲法違反ではないかとの主張に対しては、憲法に違反しないと判示しています。
これを前提にNHK(日本放送協会)と「契約を締結した者は(略)、同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する。」と判示しています。
契約が成立している以上、その契約にもとづいて受信料の支払義務も発生するという内容の判決です。
そしてこの受信料債権については、契約成立後に履行期が到来するものを除き契約成立時から消滅時効が進行する旨も判示しています。
受信料の支払義務についての時効期間は5年とされていますから(最高裁平成26年9月5日第二小法廷判決)、契約成立時から5年、または契約成立後に履行期が到来した受信料の支払債務についてはそこから5年経過すると消滅時効の援用の可能性が出てくるということになります。
消滅時効については、5年経過していても「時効の援用」をしないと時効の効力を主張できないことになっています(不確定効果説の停止条件説)から、消滅時効を主張したいと考えている方は5年の経過だけで安心しないで、必ず「時効の援用」をする必要があります。
時効の援用の具体的な方法としては、相手方に対し、「時効を援用します」という通知を出すことになりますが、後日、通知を「出した」・「出していない」などと争いになることを防止するために、時効援用通知は内容証明郵便で行うことが一般的です。

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相続放棄と年金
相続放棄の申述にあたり「自分は相続放棄をしても問題ないだろうか?」と心配になるケースがあるようです。
たとえば亡くなられた方には多額の負債があり、相続人の妻としては相続放棄をしたいと考えているが、亡くなった夫が年金受給者だった場合、相続放棄をしてしまうと妻の遺族年金がもらえなくなってしまうのではないか?という心配です。
また未支給年金の手続きもできなくなってしまうのではないかと心配される方もいます。
しかし遺族年金も未支給年金も亡くなった夫名義の相続財産ではありません。
つまり相続人としての立場ではなく、受給権者個人の立場で受け取るものですので、相続放棄をしたかどうかに関係ありません。
国民年金法には次のように定められています。
(未支給年金)
第19条 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、
その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、
その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
この「自己の名で」というのは、その人の固有の立場でという意味ですから、亡くなった人の相続人としてという意味ではないことが明らかです。
最高裁判所の判例でも国民年金法第19条について「相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたもの」としています(平成7年11月7日最高裁第三小法廷判決)
結論
遺族年金も未支給年金も相続財産とはみなされないため、それらを受給した後でも相続放棄はできる。
ということになります。

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被相続人の債務
相続手続きを進めるにあたり、プラスの財産をどう分配するかという点に興味が集中しがちですが、マイナスの財産(消極財産)についてもきちんと把握しておく必要があります。
相続税の申告が必要な場合には、被相続人の債務が一定の条件でプラスの財産から控除されることになっていますから、何が被相続人の債務になるのか把握しておくことは重要です。
被相続人の債務控除については相続税法に以下のような規定があります。
相続税法
第13条(債務控除)
相続又は遺贈(略)により財産を取得した者が第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
① 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
② 被相続人に係る葬式費用
相続税法
第14条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
これらの規定からいえることは、相続税の計算において控除される債務は
「相続開始の際に現存するもの」で、「確実と認められるもの」に限られるということです。
この文言を見ると当たり前のことしか規定していないようにも思われますがこれらの規定が裁判で争いになったものとしては被相続人が負っていた連帯保証債務があります。
連帯保証債務は、相続税法第14条1項にいう「確実と認められるもの」にあたらないという判例(東京高裁判決平成12年1月26日)があります。
その理由としては、連帯保証人は主たる債務者が債務を履行すればその責任を免れるし、仮に連帯保証人が債務を履行することになっても、主たる債務者への求償が予定されているのだから債務を履行することが「確実と認められない」というものです。
もっとも連帯保証人が保証債務を履行するということは、保証人から主たる債務者への求償などできない状況のことが多いでしょうからこのような場合には、「確実と認められるもの」とされるようです。
実際には個別事案での事実認定によるとしかいえませんが、相続開始時点において相続人は被相続人に連帯保証債務があるかどうかまで把握できる状況にないこともあります。
当事務所ではこのようなケースに限らず、相続税の申告が必要なケースではそのプロである税理士の先生にお願いして一緒に相続手続きを進めるようにしています。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
妻の相続権
夫と死別した妻が、数年後に別の男性と再婚した場合、その妻は死別した前夫の遺産を相続できるでしょうか。という質問をいただくことがあります。
結論から言うと、相続することができます。
妻は、婚姻中に夫が死亡したのですから、その時点で夫の法定相続人になります。
その法定相続人としての地位は、たとえ別の男性と再婚したとしても消えてなくなるわけではありません。
相談者の方には感覚的なものとして「死別して再婚してしまったのだから相続なんてできない」というお話をされる方もいらっしゃいますが、たとえ相続しないということであっても、前夫の遺産分割協議で「相続しない」旨の遺産分割協議書にサインをする等の意思表示をしないと前夫の遺産承継は進まないことになりますので注意が必要です。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
委託者の地位の移転
家族信託で委託者というのは、受託者に信託財産の管理を任せる人のことをいいますが、その地位が移転する場面というものが考えられるのでしょうか。
信託法第146条には次のような規定があります。
第1項 委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。
第2項 委託者が二人以上ある信託における前項の規定の適用については、同項中「受託者及び受益者」とあるのは、「他の委託者、受託者及び受益者」とする。
信託法第146条第1項の「受託者及び受益者の同意を得て」委託者の地位が移転する場合
受託者および受益者の同意を得た場合は委託者の地位を移転することができます。
委託者の地位が移転するということは、委託者が別の人になるということですから、
信託の関係当事者である受託者や受益者にとっても大変重要な変更にあたりますのでそれらの同意を必要としているわけです。
信託法第146条第1項の「信託行為において定めた方法に従い」委託者の地位が移転する場合
信託契約の中で委託者の地位が移転する場合を定めている場合は、その方法で委託者の地位が移転します。
たとえば信託契約の中に「受益権が移転したことにともない委託者の地位も移転する」という内容の定めがあった場合は
受益者が変更すると委託者の地位が移転することになります。
逆に委託者の地位を移転させたくないという場合は、そのような定めを信託契約の中に置いておけば委託者の地位を固定することが可能です。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
失踪宣告の効力発生日
相続人に行方不明の人がいる場合については「失踪宣告」という制度がありますが、失踪宣告の審判申立てを家庭裁判所に対して行ったあと、その審判が認容されると、その失踪者は死亡したものとみなされます。
死亡したものとみなされるということは、その人の財産関係や身分関係について「死亡」の効果が生じることになり「相続」が発生します。
いつ「相続」が発生するのか?ということですが、普通失踪の場合、期間満了時に死亡したとみなされ、特別失踪の場合は危難が去ったときに死亡したとみなされます。失踪宣告審判が確定した日ではありません。
実際に失踪宣告を受けた人の戸籍事項証明書でも戸籍事項として【失踪宣告】とあり
【死亡とみなされる日】令和●年●月●日
【失踪宣告の裁判確定日】令和●年●月●日
と記載されています。
失踪宣告を受けた人についての相続手続きをする場合は、この【死亡とみなされる日】を基準として考えていくことになります。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
準確定申告
ご家族が亡くなった場合、遺された人は相続手続に入る前にやらなければならないことがたくさんあります。
まず何から手を付けたら良いかが分からないという方もたくさんいらっしゃいます。
その中でもわかりにくいのが「準確定申告」です。
「確定申告」であれば見聞きすることもある思いますが、「準」という文字が頭に付いていることから分かるとおり「確定申告」とは違うものです。
「確定申告」は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、その所得金額から税額を計算して申告と納税をする制度です。
その申告は翌年の2月16日から3月15日までの間にしなければならないことになっています。
ところがある人が、その年の途中で亡くなってしまった場合は、その年の1月1日から死亡した日までの所得についても所得金額と税額を計算して申告をする必要があります。
これが「準確定申告」です。つまりその年の途中で亡くなった人は、「確定申告」のように1月1日から12月31日までで計算をすることはできなくなっていますから、1月1日から死亡日までで区切って税額を計算し申告をする必要があるということになります。
準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日から4ヶ月以内となっています。
死亡日が相続の開始があったことを知った日となることが多いでしょうから、「亡くなった日から4ヶ月以内に準確定申告をしなければならない」と覚えておけば良いかと思います。
準確定申告では死亡日までに亡くなった人が支払った医療費や社会保険料・生命保険料等の額が控除の対象となる可能性がありますので確認する必要があります。
また源泉所得として控除されていた分についても準確定申告をすることで還付される可能性もありますので注意が必要です。
確定申告も準確定申告も専門家に依頼する場合は、司法書士ではなく税理士さんになりますので、当事務所は提携先の税理士さんにバトンタッチしています。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
パレット柏で家族信託入門セミナーを開催します。
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■家族信託の手続きはどのようにすれば良いのか?
などについて分かりやすく解説します。 ※このセミナーの受付は締め切りました。

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。
ちば司法書士総合相談センター(松戸)
司法書士による無料相談をご希望の方で「ちば司法書士総合相談センター」をご存じない方が多いようです。
松戸会場(松戸商工会議所4階会議室)の場合、原則毎週土曜日の10時から4コマ(各60分)の相談枠があり、相談員2名体制ですから計8コマの枠があります。
相談員の司法書士と直接60分相談できるのでかなり詳しくお話ができると思います。
お申し込みは電話予約が必要なので当日会場に直接行っても相談はできません。
お申し込み電話番号は 043-204-8333 (ちば司法書士総合相談センター)

千葉県柏市で2002年に開設した司法書士事務所です。相続や遺言、家族信託など、相続手続きを中心に、丁寧かつわかりやすい対応を心がけています。「ちょっと聞いてみたい」そんな気持ちに寄り添えるよう、平日夜や土日祝のご相談にも対応しています。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。