Archive for the ‘不動産登記’ Category

相続登記で被相続人の同一性を確認するための書類

2018-01-24

相続登記では、登記記録に記載されている人と亡くなった人が同一人物であるかどうか、つまり被相続人の同一性確認のために、被相続人の戸籍謄本に記載されている氏名・本籍と、登記記録上の氏名・住所が同一かどうかを証明する必要があります。

被相続人の本籍と登記記録に記載されている本人の住所が同じなら、戸籍謄本が被相続人の同一性を確認するための書類となります。

本籍と登記記録に記載されている住所が異なる場合は、住所を確認するために本籍の記載のある住民票の除票や戸籍の附票によって証明する必要があります。

このような住民票の除票や戸籍の附票の他にも、所有権に関する被相続人名義の登記済権利証を提供しても良いとされています(平成29年3月23日付法務省民二第175号)。

住民票の除票や戸籍の附票は、亡くなってから5年以上経過すると取得することができなくなってしまうことがほとんどなので、そのような場合には、所有権に関する被相続人名義の登記済権利証を利用すると便利です。

もし所有権に関する被相続人名義の登記済権利証もなくしてしまっていて提出できないという場合には、固定資産税評価額証明書や上申書等の書類で代用することになりますが、事前に法務局に相談しておくなどの対応が必要になります。

時効取得の要件としての自主占有

2017-11-12

民法第162条の規定が時効取得に関するものです。

1.20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2.10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

この規定から、時効取得が成立するためには、
①所有の意思をもった占有(自主占有)
②平穏かつ、公然とした占有
③一定期間占有が継続していること(20年間または10年間)
④③が10年間の場合は、占有の開始時に、善意かつ無過失であること
が必要とされています。

ここで①の所有の意思をもった占有(自主占有)とは、どのようなことをいうのかがわかりにくいと思います。

所有の意思をもった占有(自主占有)とは、自分ものだと思って占有することをいいます。時効取得という一定の期間の経過を経て所有権を原始取得するという制度があるとおり、その時点で実際に所有権を有している必要はありません。

自主占有という用語の反対は、他主占有という用語になります。
他主占有とは、自主占有以外の占有とされていますので、所有の意思をもっていない占有ということになります。具体的には、実際の所有者から借りている状態の占有や、実際の所有者から預かっている状態の占有をいいます。

ですから、実際の所有者から土地を借りている人(借地人)が、その占有期間が10年経とうが20年経とうが、自主占有ではなく、他主占有なのですから、民法第162条による時効取得は成立しないわけです。

土地を貸していた人にとっても、いきなり借地人が「時効取得で俺のものだ」と言われてもビックリしてしまいますよね。

ところで農地の時効取得については農地法の許可は不要とされていますが、農地法の許可がない状態での占有は、そもそも所有権が移転していないのだから、所有の意思をもった占有(自主占有)といえるのだろうかという問題があります。

事例としては、A名義の農地をBが買いたいということで売買契約を締結し、BはAに売買代金も支払い、占有も開始していた、農地法の許可が得られないまま10年または20年が経過したようなケースです。

最高裁判所第一小法廷は、占有における所有の意思の有無の判断基準について、昭和45年6月18日判決において、「占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあつても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきであり、原審の確定した事実によれば、前示の賃貸借が農地調整法5条(昭和21年法律第42号による改正前のもの)所定の認可を受けなかつたため効力が生じないものであるとしても、上告人の占有をもつて他主占有というに妨げなく、同旨の原審の判断は正当として首肯することができる。」と判示して、所有の意思は、占有開始の原因から外形的客観的に定められるとしました。

よって、農地法の許可がなくても、占有開始時点で所有の意思をもった占有であると外形的客観的に判断できれば、自主占有であるといえることになります。

上の判例は、他主占有であることを認定した事案ですが、自主占有であることを認定した事案としては、最高裁判所第一小法廷昭和52年3月3日の判決「農地を賃借していた者が所有者から右農地を買い受けその代金を支払つたときは、当時施行の農地調整法4条によつて農地の所有権移転の効力発生要件とされていた都道府県知事の許可又は市町村農地委員会の承認を得るための手続がとられていなかつたとしても、買主は、特段の事情のない限り、売買契約を締結し代金を支払つた時に民法185条にいう新権原により所有の意思をもつて右農地の占有を始めたものというべきである。」

最高裁判所第二小法廷平成13年10月26日の判決「農地を農地以外のものにするために買い受けた者は,農地法5条所定の許可を得るための手続が執られなかったとしても,特段の事情のない限り,代金を支払い当該農地の引渡しを受けた時に,所有の意思をもって同農地の占有を始めたものと解するのが相当である。」
があります。

寄与分の主張

2017-11-09

遺産分割協議の中で相続人から寄与分の主張がなされることがあります。

民法では、相続人のなかに長期にわたって献身的に亡くなった被相続人の療養看護等で支えてきた人で特に相続財産の維持や増加に貢献したような人に「寄与分」を認めることによって、各相続人間の公平を図ろうとしています。

民法第904条の2には次のような規定があります。
1.共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

2.前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

3.寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

4.第二項の請求は、第907条第2項の規定による請求があった場合又は第910条に規定する場合にすることができる。

民法第904条の2の規定を受けて、寄与分が認められるための要件としては
1.寄与行為の存在
2.寄与行為が「特別の寄与」と評価できること
3.被相続人の財産の維持または増加があること
4.寄与行為と被相続人の財産の維持と増加との間に因果関係があると評価できること
が挙げられています。

なので遺産分割協議のなかで「私は亡くなった母のために尽くした」と主張しても「特別の寄与」と認められる場合もありますし、「特別の寄与」と認められない場合もあるということになります。

民法第904条の2の規定を受けて、寄与行為の類型を整理してみると
1.家事従事による寄与行為
2.金銭等の財産給付による寄与行為
3.その他の方法(扶養)による寄与行為
4.療養看護による寄付行為
5.財産管理による寄付行為
6.上記5類型の複合による寄付行為
といったものになります。

これらの寄付行為について、「特別の寄与」と評価できるか、被相続人の財産の維持または増加があったのか、その因果関係があると言えるのかを検討してはじめて寄与分の有無が判断されることになります。

農地の時効取得

2017-11-08

農地を時効取得する場合、農地法の許可は不要です。
以下、最高裁判所第一小法廷昭和50年9月25日判決の判示です。

時効による農地所有権の取得については、農地法3条の適用はない。
「農地法3条による都道府県知事等の許可の対象となるのは、農地等につき新たに所有権を移転し、又は使用収益を目的とする権利を設定若しくは移転する行為に限られ、時効による所有権の取得は、いわゆる原始取得であつて、新たに所有権を移転する行為ではないから、右許可を受けなければならない行為にあたらないものと解すべきである。時効により所有権を取得した者がいわゆる不在地主である等の理由により、後にその農地が国によつて買収されることがあるとしても、そのために時効取得が許されないと解すべきいわれはない。」

つまり農地法の許可が必要な所有権移転というのは、新たに所有権を移転する行為を指すので、時効取得のような原始取得はこれにあたらないということです。

 

 

代償分割を利用した遺産分割協議

2017-11-06

故人の名義のマンションについて相続人A・B間の遺産分割協議の中で、相続人Aがそのマンションの名義を取得することになったけれど、そうするとAの相続分が、Bの相続分に比べてバランスが取れない(多すぎる)というケースがあります。

その分、Bには故人の預貯金を相続してもらえば良いのでしょうが、見合うだけの預貯金が遺されていない場合もあります。

ではこの場合、マンションの登記名義をA・B2名の共有にすれば良いという考え方もありますが、相続登記の名義を共有にしてしまうと、後々いざマンションを処分(売却)しようという段階になった場合、売主としてA・B双方がともに行動しなければならず、媒介契約、売買契約、残金決済等なにかと手間と時間がかかる場面で日程調整も含め苦労することが多くあります。

また相続登記を共有名義にしておくと、売る売らないの判断も独断で進めることができません。さらには、A・Bのうちどちらかが亡くなってしまい、さらに相続登記がされることになり、親戚とはいえ普段から交流のない者同士がマンションの共有名義となってしまうと、処分するのにもさらに苦労するかもしれません。

このような事態にならないようにマンションの名義はAさんのみとし、Bさんの相続分として、Aさん固有の財産(不動産でも金銭等でも可)をBさんに移転することを合意するという遺産分割協議の方法もあります。これを代償分割と呼んでいます。

相続税法基本通達19の2-8では、代償分割のことを「共同相続人又は包括受遺者のうちの1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割」と定義しています。

また家庭裁判所で行われている遺産分割調停でも、家事事件手続法第195条で債務を負担させる方法による遺産の分割として、「家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。」と規定しており、代償分割の運用がなされています。

実際に、Aがもともと所有していた不動産をBに移転する内容の遺産分割協議が成立した場合には、「遺産分割による贈与」や「遺産分割による売買」などという登記原因でAからBに所有権移転登記をすることができます。

 

特別養子の相続権

2017-11-05

特別養子とは、子どもの福祉のための養子縁組制度です。いろいろな事情によって実父・実母が養育できない場合、その子が家庭で養育を受けられるようにすることを目的としています。

特別養子縁組ができるのは、子どもの年齢が6歳になるまでです。ただし、6歳未満から事実上養育していたと認められた場合は8歳未満まで特別養子縁組が可能となっています。

特別養子が成立すると、特別養子になった子と、実父・実母との間の親族関係は終了することになります(民法第817条の9)。ただし婚姻障害事由(近親婚の禁止)は残ります。

よって特別養子となった子と実父・実母との間の相続関係は生じません。司法書士が相続登記の手続きをする場合、注意が必要な点です。

ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出子を特別養子とする場合は、実父・実母やその血族との親族関係は終了しません(民法第817条の9ただし書)。

抵当権抹消書類をそのままにしていた

2017-11-05

住宅ローンを完済して、銀行や取り扱いの会社から書類が送られてきたけど中味を確認しないままそのままにしていた。

先日書類の中味を確認したところ抵当権抹消登記をするようにとのことで抹消登記申請に必要な書類が入っていた。

しかも、書類には3ヶ月の有効期限があるとのことで、当然その期限は過ぎてしまっている。どうしたら良いか。というお問い合わせを頂くことがあります。

「3ヶ月の有効期限がある書類」というのは、抵当権者である金融機関等の代表者事項証明書のことを指していると思われます。

この代表者事項証明書自体は、法務局で誰でも(その金融機関以外の人でも)取得することができますので、有効期限である3ヶ月以内のものは追完可能です。またそもそも会社法人等番号を提供すれば代表者事項証明書の添付は省略できます。

ただし、住宅ローン完済当時の抵当権者(ほとんどの場合、会社)の代表者が、現在の代表者と違っている場合もあります。

その場合、送られてきた抵当権抹消書類のなかに入っている登記申請用の委任状には、住宅ローン完済当時の抵当権者の代表者が委任者として記載されているため、現在の代表者事項証明書に記載されている代表者と不一致となってしまいます。

もし会社法人等番号を提供しても住宅ローン完済当時の抵当権者の代表者の資格を証明することができないような場合は、登記事項証明書を添付する必要があります(平成27年10月23日民二第512号)。

このような場合、住宅ローン完済当時に抵当権者の代表者の代理権(当該登記申請に関するもの)は、代表者の退任をしても消滅しないことになっています(不動産登記法第17条)。

よって冒頭のお問い合わせに対する回答としては、当時の書類を利用することは可能ということになります。

ただ、実際には現在の抵当権者の代表者が誰なのかを確認する必要がありますし、場合によっては登記事項証明書を取得する必要もあります。抵当権者である相手方に問い合わせをして登記事項証明書の再発行をお願いすると先方で手配してくれるケースもありますが有料となることもあるようです。

また、司法書士が抵当権抹消登記の申請を代理する場合は、本人確認手続きが必要ですので、抵当権者に問い合わせをすることになり、結果として抵当権抹消書類の再発行手続きしてもらい、現在の代表者の名前で委任状や抵当権解除証書を再発行してもらうことも多くあります。

 

 

物件所有者が亡くなっている場合の抵当権抹消登記

2017-11-05

住宅ローンが付いていたマンション物件の所有者が亡くなったので、団体信用生命保険の適用で住宅ローンが解除になった場合、抵当権抹消登記ができるようになりますが、当該マンションの相続登記をしないままで抵当権抹消登記の申請ができるでしょうか?というお問い合わせを頂くことがあります。

結論から言うと相続登記をしないままで抵当権抹消登記を申請することはできません。

相続による所有権移転登記をした後で、登記名義を受けた人が申請となって抵当権抹消登記を申請することになります。

ただし、マンションの名義が共有になっている場合、たとえばAB共有でAが死亡しAに関する相続登記をしていない場合、抵当権抹消登記が必要な場合ですと、共有に関する保存行為としてB1人から抵当権抹消登記の申請ができます。

なお抵当権抹消登記は、物件の所有者と抵当権者との共同申請で行いますので、司法書士は物件の所有者と抵当権者の双方から委任を受けて登記申請手続きを行うことになります。

抵当権抹消登記について詳しくはこちら

 

 

 

 

 

 

コンビニ交付に係る証明書等を提供して不動産登記の申請がされた場合の取扱

2017-10-20

コンビニ交付に係る証明書等を提供して不動産登記の申請がされた場合の取扱いについて法務省民二・民商第240号として法務省民事局民事第二課長法務省民事局商事課長から通知が出ています。

この通知によると、コンビニで発行される証明書とは、コンビニエンスストアに設置されているタッチパネル式の端末装置の IC カードリーダに事前に証明書等のコンビニ交付を受けるための情報が入力された住民基本台帳カードをかざして、本人確認を行った上、交付手数料を納めると、印鑑証明書や住民票の写し等として交付されるものとされています。

コンビニで発行される証明書等には、偽造防止策として、証明書等をコピー機で複写した場合に「複写」という文字(けん制文字)が浮かび上がる措置に加えて、証明書等の裏面に偽造防止検出画像及びスクランブル画像を印刷する措置が施されています。

このコンビニで発行される証明書等を提供して不動産登記の申請がされた場合の法務局側の取扱いについて、上記通知によると、従来の市役所等で発行された証明書と取り扱いが異なる点としては、証明書等の「裏面」について、専用の読取機を使用して偽造防止検出画像の確認を行うことになっています。

法務局においてこの審査を行っても、なお証明書等の真贋について疑義があるときは、当該証明書等を発行した市区町村に対して偽造の有無等を問い合わせて確認をするものとし、その問い合わせ方法については、次のとおりとするとなっていて

(1)印鑑証明書については、あらかじめ印鑑証明書を発行した市区町村の担当者に連絡を取った上で、印鑑証明書の原本を当該市区町村あてに持参又は送付をする方法によるものとする。なお、送付の方法による場合には、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによるものとする。おって、この場合には、市区町村から問い合わせに対する回答がされるまでの間、印鑑証明書の写しを申請情報と併せて保管しておくものとする。
(2)住民票の写しについても、(1)と同様とする。
ただし、市区町村に対して住民票め写しに記載された事項を電話やファックスにより確認することができる場合には、これらの方法によることも差し支えない。
という取り扱いのようです。

上記の確認を行った場合には、当該確認を行った旨を申請情報又は証明書等の適宜の欄に記載するものとする。となっています。

今回この通知を記事にしたのは、相続登記の添付情報として印鑑証明書の原本還付を受ける際に印鑑証明書のコピーを添付するのですが、いつものとおりに印鑑証明書の表面だけをコピーして登記申請をしたところ、コンビニ発行の印鑑証明書については、表面だけではなく裏面もコピーするようにと法務局から指摘を受けたのがきっかけです。

上記通知にもあるように、コンビニ発行の印鑑証明書には裏面に偽造防止検出画像があり、友人の司法書士に確認したところ、それを専用の読取機を使用して偽造防止検出画像の確認を行っている関係で裏面のコピーも必要なのではないかとのことでした。

予告登記とその抹消手続き

2017-10-19

平成16年に不動産登記法が改正されていますが、改正前の不動産登記法では「予告登記」という制度がありました。
「予告登記」とは、登記原因の無効や取消しを理由として、裁判所に登記抹消や登記回復の訴訟が起こされた場合に、裁判所が「登記をめぐって裁判が行われている最中なので、裁判結果によって影響を受ける可能性があるよ」ということを登記簿(登記記録)を見た人に予告するために登記することをいいます。裁判所は、法務局に登記するようにと嘱託して法務局が予告登記として登記することになります。

たとえばA名義の土地についてBに売買を原因として所有権移転がなされた場合、Aが原告として、Bを被告として、ABの間の売買契約の無効を主張して所有権移転登記の抹消登記請求訴訟を提起した場合に、この予告登記がされていました。

この土地を買い受けようとする第三者は、登記簿(登記記録)を見れば現在B名義となっているのだからBから買い受ければ良いと思って売買契約を締結しようと思うかもしれませんが、AB間に売買契約をめぐるトラブルがあって訴訟の結果によっては、所有権を取得できなくなる恐れがあります。そこで一般の第三者に警告するために、現在この土地については訴訟が提起されていますと公示するように裁判所が法務局に嘱託して登記をするという制度でした。

この予告登記は、単に警告の効果を持つだけで登記としての対抗力(権利を第三者に法的に主張できる効力)はありませんが、この制度を悪用して競売の邪魔をしたりする事例やそもそもの存在意義の乏しさが指摘されてきたこともあり平成16年の不動産登記法の改正によって制度自体が廃止されました。

ところが、平成16年の不動産登記法改正前に登記されてきたこの「予告登記」が現在も残っている場合があります。

そのような場合、制度自体が廃止されていますので予告登記の抹消手続きが必要となるわけですが、不動産登記規則附則18条にその手順についての規定があり、「不動産登記法の施行に伴う登記事務の取扱いについて(通達)(平成17年2月25日法務省民二第457号)」にも説明があります。

■不動産登記規則附則18条
(予告登記の抹消)
第18条  登記官は、職権で、旧法第三条に規定する予告登記の抹消をすることができる。
2  登記官は、この省令の施行後、登記をする場合において、当該登記に係る不動産の登記記録又は登記用紙に前項の予告登記がされているときは、職権で、当該予告登記の抹消をしなければならない。

■平成17年2月25日法務省民二第457号
(予告登記の取扱い)
既存の予告登記の職権抹消
(2)規則附則第18条の規定により職権で予告登記を抹消するときは、権利部の相当区に「不動産登記規則附則第18条の規定により抹消」と記録するものとする。

ということで、対象となる不動産について、何か登記申請をする際に合わせて、残っている「予告登記」を法務局(登記官)の職権で抹消手続きをしてもらえるということになっています。

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