住宅ローンを完済して、銀行や取り扱いの会社から書類が送られてきたけど中味を確認しないままそのままにしていた。
先日書類の中味を確認したところ抵当権抹消登記をするようにとのことで抹消登記申請に必要な書類が入っていた。
しかも、書類には3ヶ月の有効期限があるとのことで、当然その期限は過ぎてしまっている。どうしたら良いか。というお問い合わせを頂くことがあります。
「3ヶ月の有効期限がある書類」というのは、抵当権者である金融機関等の代表者事項証明書のことを指していると思われます。
この代表者事項証明書自体は、法務局で誰でも(その金融機関以外の人でも)取得することができますので、有効期限である3ヶ月以内のものは追完可能です。またそもそも会社法人等番号を提供すれば代表者事項証明書の添付は省略できます。
ただし、住宅ローン完済当時の抵当権者(ほとんどの場合、会社)の代表者が、現在の代表者と違っている場合もあります。
その場合、送られてきた抵当権抹消書類のなかに入っている登記申請用の委任状には、住宅ローン完済当時の抵当権者の代表者が委任者として記載されているため、現在の代表者事項証明書に記載されている代表者と不一致となってしまいます。
もし会社法人等番号を提供しても住宅ローン完済当時の抵当権者の代表者の資格を証明することができないような場合は、登記事項証明書を添付する必要があります(平成27年10月23日民二第512号)。
このような場合、住宅ローン完済当時に抵当権者の代表者の代理権(当該登記申請に関するもの)は、代表者の退任をしても消滅しないことになっています(不動産登記法第17条)。
よって冒頭のお問い合わせに対する回答としては、当時の書類を利用することは可能ということになります。
ただ、実際には現在の抵当権者の代表者が誰なのかを確認する必要がありますし、場合によっては登記事項証明書を取得する必要もあります。抵当権者である相手方に問い合わせをして登記事項証明書の再発行をお願いすると先方で手配してくれるケースもありますが有料となることもあるようです。
また、司法書士が抵当権抹消登記の申請を代理する場合は、本人確認手続きが必要ですので、抵当権者に問い合わせをすることになり、結果として抵当権抹消書類の再発行手続きしてもらい、現在の代表者の名前で委任状や抵当権解除証書を再発行してもらうことも多くあります。