調停の当事者が遠隔地に居住している場合等で、調停の場所に出席することができない場合でも、事前に調停委員会や裁判官から提示された調停条項案を受諾すれば、調停の合意が成立したものとみなすという規定があります(家事事件手続法第270条)。ただし、離婚・離縁についての調停事件については、この規定は適用されません。
家事事件手続法第270条
(調停条項案の書面による受諾)
1 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。
2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。
条文上の規定では「遠隔の地に居住していること」とありますが、つづけて「その他の事由により」とあります。具体的には、長期の病気や身体障碍、高齢によるものなどが含まれます。