「自分の父親が亡くなって相続が発生した場合、母親の認知症がかなり進んでいた。」というケースは自分の両親がともに同世代であるならば当然想定される状況でしょう。
つまり、相続手続きをする場合に、相続人のなかに認知症の人がいるケースです。
このような場合、「どの遺産を誰が取得するか」という話し合い、つまり「遺産分割協議」が有効に成立しない可能性があります。
上記の例でいうと母親が認知症になっている場合、その進行状況にもよりますが遺産分割協議の前提となる「意思能力」があるかどうかが重要なポイントになります。
「意思能力」とは、自己の行為の結果を判断することができる能力のことをいいます。
遺産分割協議の場面でいえば、亡くなった人の遺産をどのように分割するのかについて遺産分割協議に参加した人はきちんと理解していることが当然必要になります。
このことを理解・認識できていない場合は、たとえ形式的に遺産分割協議書ができあがっていたとしても遺産分割協議は無効になる恐れがあります。
参考 民法第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。 |
では相続人に認知症の人がいる場合に遺産分割協議が必要な場合、どうしたら良いのかというと、「成年後見制度」の利用を検討することになります。
認知症の進行状況等によって後見・補佐・補助の審判が家庭裁判所から出ると、後見人・保佐人・補助人が選任されます。
保佐人・補助人は遺産分割協議の代理権が付与されている必要がありますが、認知症になっている相続人のために後見人・保佐人・補助人が遺産分割協議に参加することになります。
成年後見制度の利用を検討するきっかけとして、このような「相続人に認知症の人がいる」場面でというケースが多くみられるようです。
成年後見制度を利用するためには家庭裁判所に申立をする必要があります。
千葉家庭裁判所の後見サイトは記載例も載っていて一般の方でも利用しやすいサイトになっています。
参考 千葉家庭裁判所の後見サイト |