Archive for the ‘家族信託’ Category
障がいのある方のご家族向けオンラインセミナー(ふくし信託株式会社)
7月29日(土) 13:30~15:00
「障害のある方のご家族に知って頂きたい 信託と後見のお話~親なき後の支援及び財産管理を考える~」というテーマでふくし信託株式会社がZoomセミナーを開催するようです。
ふくし信託株式会社は、民事信託の受託者として検討できる法人です。
民事信託では受託者が個人の場合、常に受託者死亡による交代のリスクがありますが法人を受託者にすることができれば安心という側面もあります。
小川司法書士事務所の家族信託のページはこちら
みずほ信託銀行の認知症サポート信託
みずほ信託銀行で「認知症サポート信託」というサービスがあります。
●500万円以上の金銭を信託することが必要。
●認知症と診断された後に利用できるサービス。
●1件あたり10万円以上の生活資金、医療費、介護費等の支払。
●手続き代理人が実際の請求書や領収書を提出して銀行が内容をチェックしてから支払に応じる。
●手続き代理人になれるのは本人の3親等内の親族、弁護士、司法書士のみ。
●信託報酬は1ヶ月3000円から5000円(税抜)。
という感じのサービスのようです。
メインバンクがみずほ信託銀行という方は元気なうちに契約しておくと良いかもしれません。
認知症サポート信託
みずほ信託銀行に【認知症サポート信託】という商品がありました。
公正証書で信託契約書を作成するようなことは必須ではなく証書が発行される、「手続代理人」という立場の人が本人が認知症になった場合は銀行に診断書を提出する必要がある等、家族信託(民事信託)とは似て非なるもののようですが認知症対策として本人の財産をしっかり管理・活用としていくという目的では同じなのかなという印象です。
本人に成年後見人が選任された場合はその成年後見人の意向に従うとされているようですが、成年後見人がこの商品を解約することも想定しているのでしょうね。
家族信託の受託者の義務~帳簿の作成・保管~
家族信託がスタートすると、受託者は信託に関する事務について帳簿を作成して保管しておく義務があります。このことについて解説したページがこちらです。
認知症になっても家族が預金の解約ができる制度?
2021年3月22日から三菱UFJ銀行などで予約型代理人制度というサービスがスタートするそうです。
預金口座を持っている親御さんが元気なうちに「配偶者または2親等内の血族」等を代理人として銀行に登録しておいて(代理人の予約)、いざ親御さんが認知症になってしまったときは、その代理人が銀行所定の診断書を提出することで預金者が認知症になっても代理人が銀行から預金や投資信託の解約等ができるようになるとのことです。
これまででも一部の金融機関では親族に対して「代理人カード」の発行をしてくれていましたが、2021年2月に全国銀行協会が公表した「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方」に即応したサービスといえます。
このようなサービスを利用することで、親御さんの医療費や生活費にあてることができる、というメリットがあります。
このサービスや上記全国銀行協会のプレスリリースを見て「もう成年後見制度は必要ないじゃないか。」とか「家族信託は必要ない。」などと誤解される向きもあるようですが、このようなサービスはあくまで銀行等の個別の対応です。
成年後見制度との比較でいうと、成年後見制度はサポートが必要となるご本人の財産管理だけでなく身上監護(生活全般のサポート)も対象となります。
認知症等でサポートが必要な方にとってはたとえばA銀行の預金の引き出しを親族ができるようになるだけでは十分とはいえない場合もあります。
家族信託との比較でいうと、家族信託で受託者が委託者のために管理するのは信託契約で定めた信託財産ですから、たとえば「A銀行の預金口座」ではなく、「不動産」や「金銭」といったものになります。
認知症対策で家族信託が有効だと利用者の多くが実感するのは、この「不動産」の管理・処分の場面が多いようです。
また実際にこのサービスを利用して代理人に予約された特定の親族が、認知症になった親御さんの預金の引出しをした場合、その使途(何に使ったのか)を監督したり精査したりする仕組みが用意されているのか、用意されてない場合トラブルの元にならないのかが気になります。
高齢者の保有資産の有効活用という視点も透けて見える気がするのですが、成年後見制度の利用促進との関係も含めて今後の運用に注目です。
家族信託に関する質問
家族信託に関する質問【家族信託は自分たちだけでもできますか?】について記事を追加しました。
家族信託契約のタイミング
家族信託をすることをメリットを理解して「よし、我が家でも家族信託で認知症対策をしていこう。」と決断しても「時すでに遅し」ということもあります。
私の事務所にご相談に見えた方には、残念ながら家族信託を断念したという方が何人かいます。
家族信託を断念した理由は、財産を持っている「親御さんがすでに認知症になってしまっている」ためです。
家族信託は「契約」である以上、当事者すべて(特に財産を託す委託者)に契約締結能力が必要とされています。
認知症対策としての家族信託では、親御さん(委託者兼受益者)が将来認知症になったとしても、契約書に定めたとおりの管理・処分を信頼できる家族に託す、という契約をしますから契約締結時点でその内容をしっかり理解していることが必要となります。「親御さんがすでに認知症になってしまっている」と家族信託契約はできないのです。
家族信託契約書は公正証書で作成されたものが必要とする取り扱いをほとんどの金融機関がしているのも、委託者兼受益者の契約締結時の判断能力を少しでも担保したいという意図があるように思います。
また家族信託契約の手続きを進めて行くにはある程度の日数がかかります。
家族信託契約は定型のひながたで作成されるようなものではなく、依頼者の家族の状況や将来の制度設計・希望などをお伺いしてオーダーメイドで作成していくものですし、他の家族の方にも家族信託というものを理解し納得していただくことも必須です。
依頼者の中には、「急いでください!」という方もいますが、その点も含めて家族信託を検討している方は、家族信託の専門家への早めのご相談をお勧めしています。
受託者の事務を第三者に委託すること
家族信託で受託者となった人は、家族信託の契約で定められた「信託の目的」に従って事務を遂行する義務を負います。
ただ家族信託の受託者といっても、その事務だけをして生活しているわけではなく、受託者個人の生活と並行して家族信託の受託者としての事務もしていくことになりますから、どうしても自分だけではまかないきれない部分も出てくるかもしれません。
そこで信託法では、信託契約の中であらかじめ信託事務を第三者に委託することを定めることができるようになっています。信託契約の中で信託事務を第三者に委託する旨の定めがなくても、「信託の目的」に照らして第三者に委託することが相当と認められる場合には、信託事務を第三者に委託することができます。信託契約の中で信託事務を第三者に委託することを禁じる定めがあっても、第三者に委託することがやむを得ない場合には、信託事務を第三者に委託することができます。
参考 信託法第28条
受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を第三者に委託することができる。
一 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託する旨又は委託することができる旨の定めがあるとき。
二 信託行為に信託事務の処理の第三者への委託に関する定めがない場合において、信託事務の処理を第三者に委託することが信託の目的に照らして相当であると認められるとき。
三 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託してはならない旨の定めがある場合において、信託事務の処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるとき。
では、受託者は誰でも好きな人に信託事務を委託できるのでしょうか?この点については、信託法第35条に規定があります。
参考 信託法第35条第1項
第28条の規定により信託事務の処理を第三者に委託するときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない。
つまり、受託者が第三者に信託事務を委託するための条件としては、「信託の目的に照らして」「適切な者」に信託事務を委託する必要があるということになります。
受託者が適当に好きな人を選んで信託事務を委託するのではなく、家族信託契約で定めた「信託の目的」を読み直して、その信託事務を遂行するのが「適切な」第三者に委託する必要があります。受託者から信託事務を委託される人としては、少なくとも当該家族信託契約の内容を理解していることが最低限必要とされていることはお分かりいただけると思います。
家族信託契約の受託者としては、信託事務を第三者に委託する場合を想定し、具体的に誰に信託事務を委託するのか決めておく必要があります。「自分の仕事が忙しい」などの理由で家族信託の受託者としての事務がおろそかになると、受益者に損害を与えることにもなりかねません。
家族信託契約を組成する場合は、受託者の責任という観点からこのようなことについても十分検討していくことが求められています。
委託者の地位の移転
家族信託で委託者というのは、受託者に信託財産の管理を任せる人のことをいいますが、その地位が移転する場面というものが考えられるのでしょうか。
信託法第146条には次のような規定があります。
第1項 委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。
第2項 委託者が二人以上ある信託における前項の規定の適用については、同項中「受託者及び受益者」とあるのは、「他の委託者、受託者及び受益者」とする。
信託法第146条第1項の「受託者及び受益者の同意を得て」委託者の地位が移転する場合
受託者および受益者の同意を得た場合は委託者の地位を移転することができます。
委託者の地位が移転するということは、委託者が別の人になるということですから、
信託の関係当事者である受託者や受益者にとっても大変重要な変更にあたりますのでそれらの同意を必要としているわけです。
信託法第146条第1項の「信託行為において定めた方法に従い」委託者の地位が移転する場合
信託契約の中で委託者の地位が移転する場合を定めている場合は、その方法で委託者の地位が移転します。
たとえば信託契約の中に「受益権が移転したことにともない委託者の地位も移転する」という内容の定めがあった場合は
受益者が変更すると委託者の地位が移転することになります。
逆に委託者の地位を移転させたくないという場合は、そのような定めを信託契約の中に置いておけば委託者の地位を固定することが可能です。
パレット柏で家族信託入門セミナーを開催します。
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令和元年11月30日(土)午後1時~午後2時30分
パレット柏(柏市民交流センター・柏駅から徒歩3分)
■家族信託がなぜ認知症対策として注目されているのか?
■家族信託をすると財産管理がどのように変わるのか?
■家族信託の手続きはどのようにすれば良いのか?
などについて分かりやすく解説します。 ※このセミナーの受付は締め切りました。
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