Archive for the ‘紛争解決の方法’ Category
千葉司法書士会による法の日法律相談
毎年10月1日は「法の日」ということで今年も千葉司法書士会で10月初めに県内各所で無料相談会を実施します。
詳しくは千葉司法書士会のサイトを確認してみてください。
いのちを守る何でも相談会
東京司法書士会から無料相談会の広報が回ってきました。
司法書士と精神保健福祉士等が
・いじめ
・くらし
・しごと
・こころ
・家族
・お金
についての相談を受けてくれるそうです。
9月から来年の3月まで
面談相談は毎月第4月曜日の18時から21時で予約不要
電話相談は毎月第1月曜日と第3月曜日の18時から20時30分まで
電話 0120-107-123
平日の夜の時間帯なのでお仕事終わりの方も相談しやすいかもしれません。
賃借人の死亡と保証人の責任
アパートの1室を借りていた人(賃借人)が契約途中で死亡してしまった場合、大家さんと賃借人との間の賃貸借契約の事後処理について相談を受けることがあります。
大家さんから相談を受ける場合は、保証人への請求方法についてや原状回復の負担についての相談があります。
死亡した賃借人の相続人(親御さんの場合もありますし、お子さんの場合もあります)から相談を受ける場合は、相続人としてどこまで対応しなければならないのか?や相続放棄についての相談もあります。
もちろん1つの賃貸借契約について大家さん、賃借人の相続人の双方から相談を受けることはできません(司法書士倫理第61条の業務を行い得ない事件)。
今回は賃借人が死亡した場合の保証人の責任の範囲について見てみます。
2020年4月1日に施行された改正民法第465条の4の規定です。
第465条の4(個人根保証契約の元本の確定事由) 第1項 次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。 1 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。 2 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。 3 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。 第2項 前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。 1 債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。 2 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。 |
民法第465条の4第1項第3号によれば、賃借人が死亡すると保証人の債務の元本が確定するとなっています。
つまり、賃借人死亡以後に賃貸借契約において何らかの債務が発生したとしても保証人はその債務について責任を負わないということになっています。なお改正民法によるこの取り扱いは、賃貸借契約が2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約について適用されることになっています。
このような改正がさなされたのは、保証人が個人である場合、どこまで保証人としての責任を負うことになるかがあいまいで不測の損害を被ることのないようにするためだとされています。ちなみに保証人が保証会社のような法人の場合は、この規定は適用されません。
この点、賃借人の死亡が室内での自殺によるものだった場合は事情が異なります。
以後賃貸ができなくなった等による損害についてどう考えるかが問題となります。この損害自体、賃借人の死亡以後に発生するものであり保証人は改正民法の規定により債務の元本確定後の債務として責任を負わないようにも思えます。
しかしこのような場合、以後大家さんが賃貸できなくなった等による損害は、賃借人の自殺という生前の行為によって発生したものなので死亡時点ではもう発生していた債務であると考えることになります。
つまり、賃借人の死亡が室内での自殺によるものだった場合は、以後賃貸ができなくなった等による損害について極度額の範囲内で責任を負うということになっています。
保証人の責任
個人が保証人になる場合の保証の範囲について2020年4月1日に施行された改正民法によって変更が加えられました。
- 自分の父親が有料老人ホームに入所する際に子供が保証人になる場合
- 自分の子供が賃貸アパートに入居する際に実家の母親が保証人になる場合(イラスト参照)
などが関係してくる話です。
重要な変更点としては、
- 個人が保証人になる場合、「極度額の設定」が必要
- この「極度額」を定めない保証契約は無効
- この「極度額」を定める契約は書面か電磁的記録でしなければ無効 といったものになります。
これまでは、個人が誰かの保証人(一定の範囲に属する不特定の債務を保証する形式の保証人)になる場合、
保証契約の中で「金●●円までに限り保証する」などという保証限度額のようなものはありませんでした。
このため保証人に対して請求される金額にも際限が無いことになってしまい保証人が予期しなかったような責任追及をされる可能性がありました。このように保証人を一定の範囲で保護するためにその責任をあらかじめ限定するものとして「極度額」が設定されることになりました。
民法第465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等) 第1項 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの (以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、 その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。 第2項 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。 第3項 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。 |
たとえばAがBから100万円を借りる契約の保証人にCがなったというのであればCはその100万円を借りたことについてAに対し保証人としての責任を負うことになります。
しかしAがBから借りたお金を返さないまま行方不明になったような場合、保証人であるCは、Aに対して100万円とそれにともなう遅延損害金等を支払義務があります。
これに対し民法第465条の2でいう個人根保証契約は
たとえばAがBとの間で「金銭消費貸借取引(お金の貸し借り)を継続的にする」という契約をした場合、この契約についてAの保証をしたCは、
AがBとの間で継続的に取り交わされる金銭消費貸借取引について保証するのですから、その取引額がいくらになっていようとAの保証人としての責任を負ってしまうことになるのを「極度額」を設定することで
その「極度額」の範囲までの保証人の責任しか負わないということになります。
身近な場面では冒頭にあげたような事例
・自分の父親が有料老人ホームに入所する際に子供が保証人になるという、有料老人ホームとの間で取り交わすホーム内での事故等に起因する賠償責任についての保証契約
・自分の子供が賃貸アパートに入居する際の保証人に自分がなる場合の賃借人の不法行為等による賠償責任についての保証契約
などがありますが個人根保証契約について「極度額」の設定が書面等でされていないものは契約自体が無効になります。
よく言われることですが、保証人になる場合は慎重に判断することが必要です。自分が予期していない範囲まで責任を負うような内容になっていないか、契約書をよく確認する必要があります。
司法書士による無料法律相談フリーダイヤル
千葉司法書士会では無料電話相談を行っています。当番の司法書士が直接応対してくれています。
0120-971-438(千葉県内からしか繋がりません)
毎週月曜日・水曜日 午後2時~午後5時まで
毎週土曜日 午前10時から午後0時、午後1時から午後3時まで
(祝日・年末年始・夏季休業時等は休み)
つながりやすい時間帯は後半だと思います。
受信料支払債務の消滅時効
当事務所ではメール・電話での個別の法律相談は受け付けておりませんのでご了承ください。
NHK(日本放送協会)に対する受信料支払債務の消滅時効の援用について触れたものとして平成29年12月6日の最高裁大法廷判決があります。
前提知識として放送法64条1項の規定を見ておきますと、
放送法64条1項
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(略)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
ここで条文上、「契約をしなければならない」となっている点に違和感があるかもしれません。
「契約自由の原則」という言葉を大学の一般教養で耳にしたことがあるかもしれませんがここではその例外として「契約が強制されている」わけです。
上記最高裁判決では、この放送法64条1項があるにも関わらず、契約に応じない人がいる場合
放送法64条1項は「契約の締結を強制する旨を定めた規定であり(略)承諾をしない場合には,日本放送協会がその者に対して承諾の意思表示を命ずる判決を求め、その判決の確定によって上記契約が成立する。」としています。
またこの規定が憲法違反ではないかとの主張に対しては、憲法に違反しないと判示しています。
これを前提にNHK(日本放送協会)と「契約を締結した者は(略)、同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する。」と判示しています。
契約が成立している以上、その契約にもとづいて受信料の支払義務も発生するという内容の判決です。
そしてこの受信料債権については、契約成立後に履行期が到来するものを除き契約成立時から消滅時効が進行する旨も判示しています。
受信料の支払義務についての時効期間は5年とされていますから(最高裁平成26年9月5日第二小法廷判決)、契約成立時から5年、または契約成立後に履行期が到来した受信料の支払債務についてはそこから5年経過すると消滅時効の援用の可能性が出てくるということになります。
消滅時効については、5年経過していても「時効の援用」をしないと時効の効力を主張できないことになっています(不確定効果説の停止条件説)から、消滅時効を主張したいと考えている方は5年の経過だけで安心しないで、必ず「時効の援用」をする必要があります。
時効の援用の具体的な方法としては、相手方に対し、「時効を援用します」という通知を出すことになりますが、後日、通知を「出した」・「出していない」などと争いになることを防止するために、時効援用通知は内容証明郵便で行うことが一般的です。
ちば司法書士総合相談センター(松戸)
司法書士による無料相談をご希望の方で「ちば司法書士総合相談センター」をご存じない方が多いようです。
松戸会場(松戸商工会議所4階会議室)の場合、原則毎週土曜日の10時から4コマ(各60分)の相談枠があり、相談員2名体制ですから計8コマの枠があります。
相談員の司法書士と直接60分相談できるのでかなり詳しくお話ができると思います。
お申し込みは電話予約が必要なので当日会場に直接行っても相談はできません。
お申し込み電話番号は 043-204-8333 (ちば司法書士総合相談センター)
千葉司法書士会の無料電話相談
千葉司法書士会では毎週月曜日と水曜日の午後2時から午後5時まで無料電話相談を行っています。
千葉県内からのお電話のみの受付です。
午後2時台は電話が集中しますので午後4時以降が比較的つながりやすいです。
近くの司法書士を紹介してほしいというお電話でも対応してくれます。
遺産分割調停が不成立に終わった場合
遺産分割調停が不成立に終わった場合、その事件は遺産分割審判に自動的に移行されます(家事事件手続法272条第4項)。
ちなみに離婚調停の場合は審判に自動的に移行されないので離婚請求訴訟を提起する必要があります。
家事事件手続法
(調停の不成立の場合の事件の終了)
第272条第1項
調停委員会は、当事者間に合意(第277条第1項第1号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第284条第1項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。
第4項
第1項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。
遺産分割の調停期日に出頭できないとき
調停の当事者が遠隔地に居住している場合等で、調停の場所に出席することができない場合でも、事前に調停委員会や裁判官から提示された調停条項案を受諾すれば、調停の合意が成立したものとみなすという規定があります(家事事件手続法第270条)。ただし、離婚・離縁についての調停事件については、この規定は適用されません。
家事事件手続法第270条
(調停条項案の書面による受諾)
1 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会(裁判官のみで家事調停の手続を行う場合にあっては、その裁判官。次条及び第二百七十二条第一項において同じ。)から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなす。
2 前項の規定は、離婚又は離縁についての調停事件については、適用しない。
条文上の規定では「遠隔の地に居住していること」とありますが、つづけて「その他の事由により」とあります。具体的には、長期の病気や身体障碍、高齢によるものなどが含まれます。
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